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小野薬品工業

小野薬品工業は、大阪市に本社を置く、1947年設立の新薬メーカーです。「化合物オリエント」という独自の方法で研究開発を行っており、売上高に占める研究開発費の割合は国内製薬企業の中でもトップクラス。自社創製した免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体「オプジーボ」がヒットし、業績を大きく伸ばしています。

【小野薬品工業】業績は急拡大も…薬価に翻弄される「オプジーボ」

免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体「オプジーボ」の売上高が1000億円を突破し、業績が急拡大した小野薬品工業。しかし、「高額すぎる」との批判から突如薬価が引き下げられ、オプジーボは17年度、マイナス成長となる見通し。好業績から一転、大幅な減益を見込んでいます。

オプジーボが牽引して売上高52.7%増

小野薬品工業の2016年度の業績は、売上高2448億円(前年度比52.7%増)、営業利益723億円(136.9%増)と大幅な増収増益となりました。業績拡大を支えたのは、画期的な新薬として注目を集めるオプジーボ。小野薬品も同剤で一躍脚光を浴び、16年度は同社にとってまさに飛躍の年となりました。

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫に作用してがんを治療する薬剤で、あらゆるがんに効果を示すと期待されています。オプジーボも、14年に悪性黒色腫を対象に発売して以来、非小細胞肺がんや腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がんへと適応を広げてきました。

特に、患者数の多い肺がんへの適応拡大(15年12月)が契機となり、売り上げは爆発的に増加。16年度は前年度から828億円増加して、1000億円を突破しました。連結売上高の増加分のほとんどを、オプジーボ1剤で稼いだことになります。

売上高の推移の棒グラフ。小野薬品全体の売上高に占めるオプジーボの割合をグラフにしています。【売上高】2012年度:1454億円、2013年度:1432億円、2014年度:1358億円、2015年度:1603億円。

独自の研究開発体制「化合物オリエント」

オプジーボは小野薬品にとって12年ぶりの自社創製新薬。海外の大手製薬企業も開発に乗り出す中、世界に先駆けて開発に成功しました。

小野薬品は「化合物オリエント」という独自のスタイルで創薬研究を行っています。疾患領域を定めず、化合物をベースに新薬の創出を目指す手法で、疾患領域を定めて研究開発を行うほかの新薬メーカーとは対照的。開発のリスクは高くなりますが、新たな生命現象やユニークな理論に対する研究者の探究心が、革新的な医薬品の創製につながるといいます。

小野薬品の16年度の研究開発費は575億円。規模では国内大手製薬企業に劣るものの、売上高に占める研究開発費の割合は23.5%で、国内上場製薬企業の平均(13.6%) を大きく上回ります。オプジーボの適応拡大に向けて多くの臨床試験が走っており、17年度は16年度比120億円増の695億円 を研究開発に投じる計画。売上高に対する比率は27.4%まで高まる見通しです。

小野薬品工業の研究開発費の推移の棒グラフ(括弧内は売上高研究開発比率)。2013年度:444億円(31.0%)、2014年度:413億円(30.5%)、2015年度:434億円(27.1%)

研究開発のリスクを外部提携でカバー

「化合物オリエント」による創薬は、疾患領域を定める他社の手法と比べて開発の成功率が低くなってしまうリスクがあります。小野薬品はこれを回避するため、提携活動や開発品の導入活動を行っています。

05年には提携活動を専門的に行う「創薬事業部」を設置。国内外のバイオベンチャーや大学・研究機関と提携して、外部にある創薬の種や最先端技術の活用を進めています。14年には小野薬品が発見した新規化合物を東京大学などの大学や研究機関に提供する取組みも始めました。

開発品の導入にも積極的です。16年発売の多発性骨髄腫治療薬「カイプロリス」と、17年発売の二次性副甲状腺機能亢進症治療薬「パーサビブ」は、いずれも米アムジェンからの導入品。仏セルヴィエ社から導入したイバブラジンは、慢性心不全の適応で臨床第3相試験(P3)が進行しています。

さらに、オプジーボの開発をきっかけに、がんを重点領域に定めた疾患ベースの研究開発も開始しました。16年には国立がん研究センターと包括的な研究提携を締結。オプジーボの適応拡大に加え、米アレイ社から導入したMEK阻害薬BinimetinibやBRAF阻害薬EncorafenibなどもP3に控えており、がん領域のさらなる拡大を狙います。

オプジーボの薬価改定 好業績は1年止まり

発売からわずか3年足らずでブロックバスターに成長したオプジーボですが、17年度は一転、前年度を下回る見通し。高額な薬価が国会などでも取り上げられ、17年2月、通常の薬価改定の時期ではないにもかかわらず、薬価が半額(20mg1瓶は15万2000円から7万5100円、100mg1瓶は72万9849円から36万4925円)に引き下げられたからです。

競合するMSDの「キイトルーダ」が発売されたこともあり、17年度のオプジーボの売上高は840億円(19.2%減)となる見通し。新製品の発売で連結売上高は3.8%の増収を予想しますが、営業利益は30.8%減と大幅な減益を見込みます。

主な業績指標の推移の表。連結売上高、オプジーボの売上高、ロイヤルティなどの売上高、営業利益の4つの指標に分かれています。連結売上高:2015年度1603億円、2016年度2448億円、前年度比52.7パーセント、2017年度2540億円の見込み。オプジーボ売上高:2015年度212億円、2016年度1039億円、前年度比391.3パーセント。ロイヤルティなどの売上高:2015年度157億円、2016年度305億円、前年度比94.3パーセント、2017年度予想は510億円、前年度比67.2パーセントの見込み。営業利益:2015年度305億円、2016年度723億円、前年度比136.9パーセント、2017年度は500億円の見込み。

オプジーボは現在、8つの適応でP3試験が行われており、小野薬品は適応拡大で薬価引き下げの影響を補いたい考え。加えて、いずれもピーク時に100億円超の売り上げを見込む「カイプロリス」「パーサビブ」の発売も好材料です。

薬価に翻弄されるオプジーボですが、今後はキイトルーダに続く競合品の登場も予想されており、市場競争はより一層、激しくなります。小野薬品にとっても、オプジーボにとっても、本当の勝負はここからです。

小野薬品工業の主要製品

小野薬品工業の主要製品一覧リスト。製品別の2016年度売上高、前年比をまとめています。オプジーボ(免疫チェックポイント阻害薬)1039億円、前年比391.3パーセント。グラクティブ(糖尿病治療薬)294億円、前年比マイナス6.5パーセント。オパルモン(末梢循環障害治療薬)170億円、前年比マイナス25.0パーセント。リカルボン(骨粗鬆症治療薬)113億円、前年比0.0パーセント。オレンシア(関節リウマチ治療薬)116億円、前年比44.5パーセント。イメンド/プロイメンド(制吐薬)99億円、前年比4.3パーセント。リバスタッチ(認知症治療薬)89億円、前年比13.1パーセント。フォシーガ(糖尿病治療薬)78億円、前年比82.6パーセント。オノンカプセル(気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬)68億円、前年比マイナス24.2パーセント。オノアクト(頻脈性不動脈治療薬)57億円、前年比0.3パーセント。ステーブラ(過活動膀胱治療薬)48億円、前年比マイナス7.6パーセント。オノンドライシロップ(気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬)41億円、前年比マイナス26.7パーセント。フオイパン(慢性膵炎。逆流性食道炎治療薬)38億円、前年比マイナス25.7パーセント。キネダック(糖尿病性神経障害治療薬)29億円、前年比マイナス29.5パーセント。カイプロリス(多発性骨髄腫治療薬)20億円。パーサビブ(二次性副甲状腺機能亢進症治療薬)2億円

小野薬品工業のパイプライン

小野薬品工業の領域・フェーズ別パイプラインリスト。【がん】<フェーズ2>ニボルマブ(日欧/固形がん)、ニボルマブ(日欧/中枢神経系原発リンパ腫(卵巣原発リンパ腫)、ニボルマブ(日本/多発性骨髄腫)、ニボルマブ(日韓台欧/ウィルス陽性陰性固形がん)、メチロシン(日本/褐色細胞腫(チロシン水酸化酵素阻害作用))、BMS-986207(日本/固形がん(抗TIGHT抗体))、Tirabrutinib(日本/中枢神経系原発リンパ腫(Btk阻害作用))、ニボルマブ(ヨーロッパ/濾胞性リンパ腫)、ニボルマブ(ヨーロッパ/びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、ニボルマブ(ヨーロッパ/大腸がん)、Tirabrutinib(ヨーロッパ/B細胞リンパ腫(Btk阻害作用))、ONO-7579(ヨーロッパ/固形がん(Trk阻害作用))<フェーズ3>ニボルマブ(日韓台欧/食道がん)、ニボルマブ(日韓台欧/小細胞肺がん)、ニボルマブ(日欧/膠芽腫)、ニボルマブ(日欧/悪性胸膜中皮腫)、カルフィルゾミブ(日本/多発性骨髄腫(プロテアソーム阻害作用))、Encorafenib(日韓/悪性黒色腫(BRAF阻害作用))、ニボルマブ(韓欧/胃がん)、Binimetinib(韓国/大腸がん(MEK阻害作用))、ニボルマブ(日韓台欧/食道胃接合部がんと食道がん)、ニボルマブ(日韓台欧/肝細胞がん)、ニボルマブ(日本/尿路上皮がん)、ニボルマブ(日本/卵巣がん)、アナモレリン(日本/がん悪液質(グレリン様作用)、Encorafenib(韓国/大腸がん(BRAF阻害作用))、Binimetinib(日韓/悪性黒色腫(MEK阻害作用))、ニボルマブ(ヨーロッパ/多発性骨髄腫)<申請中>ニボルマブ(台湾/胃がん)【その他】<フェーズ2>オピカポン(日本/パーキンソン病(長時間作用型COMT阻害作用))、ONO-8577(日本/過活動膀胱(膀胱平滑筋弛緩作用))、SI-613(日本/腱・靭帯付着部症(NSAID結合ヒアルロン酸))、ニボルマブ(日本/敗血症)、ONO-4474(ヨーロッパ/変形性関節症(Trk阻害作用))、Tirabrutinib(アメリカ/シェーグレン症候群(Btk阻害作用))<フェーズ3>Abatacept(日本/ループス腎炎(T細胞活性化抑制作用))、Abatacept(日本/一次性シェーグレン症候群(T細胞活性化抑制作用))、イバブラジン(日本/慢性心不全(Ifチャネル阻害作用))、ランジオロール(日本/頻脈性不整脈(β1遮断作用))、Abatacept(日本/未治療の関節リウマチ(T細胞活性化抑制作用))、Abatacept(日本/多発性筋炎・皮膚筋炎(T細胞活性化抑制作用))、SI-613(日本/変形性関節症(NSAID結合ヒアルロン酸))、ランジオロール(日本/心室性不整脈(β1遮断作用))<申請中>Abatacept(日本/若年性特発性関節炎(T細胞活性化抑制作用))

小野薬品工業の年収

小野薬品工業の年収グラフ。2012年度:876.1万円、2013年度:873.2万円、2014年度:872.0万円、2015年度:877.5万円、2016年度:896.8万円

小野薬品工業の年度別平均年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数の推移表。【平均年収(単体)】2012年度:876.1万円、2013年度:873.2万円、2014年度:872.0万円、2015年度:877.5万円、2016年度:896.8万円【平均年齢(単体)】2012年度:39.8歳、2013年度:40.1歳、2014年度:40.4歳、2015年度:40.2歳、2016年度:40.9歳【平均勤続年数(単体)】2012年度:15.8年、2013年度:15.9年、2014年度:15.8年、2015年度:14.6年、2016年度:14.9年【従業員数(単体)】2012年度:2540人、2013年度:2608人、2014年度:2652人、2015年度:2902人、2016年度:3062人【従業員数(連結)】2012年度:2807人、2013年度:2858人、2014年度:2913人、2015年度:3116人、2016年度:3290人

小野薬品工業の基本情報

2017年12月

社名 小野薬品工業株式会社(ONO PHARMACEUTICAL CO.,LTD. )
本社所在地 大阪府大阪市中央区久太郎町1丁目8番2号
設立 1947年
資本金 173億円5800万円
上場 東証1部
代表者名 相良暁(代表取締役社長)
主な事業所所在地 【事業所】札幌市、仙台市、東京都中千代田区、横浜市、名古屋市、京都市、高松市、広島市、福岡市
【工場】大阪市、静岡県富士宮市
【研究所】大阪府三島郡島本町、福井県坂井市、茨城県つくば市

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