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エーザイ

エーザイは、1941年設立の新薬メーカーです。売上高は国内5位で、新薬のほかにも一般用医薬品や後発医薬品も手がけています。「ニューロロジー」「オンコロジー」の2領域に集中して事業を展開しており、最近では抗がん剤「ハラヴェン」「レンビマ」や、抗てんかん薬「フィコンパ」など自社創製の新薬を相次いで発売しました。

【エーザイ】「アリセプト」特許切れから7年 いまだ尾を引くパテントクリフ

「売上高8000億円」。これは、エーザイにとって因縁の数字です。認知症治療薬「アリセプト」のヒットで2009年に1度は越えたものの、その後は特許切れの影響が尾を引き、業績は低迷。前中期経営計画(11~15年度)で目標に掲げましたが大幅に未達で、現行の中計(16~20年度)で再びチャレンジします。長く続く業績の底を脱し、目標達成となるのでしょうか。

売上高 ピーク時から2500億円減

エーザイの2016年度の売上高は5391億円で、前年度比1.6%の減収となりました。抗がん剤「レンビマ」や不眠症治療剤「ルネスタ」が伸び国内の医療用医薬品は増収となったものの、薬価改定や円安の影響を受け、全体では減収となりました。

エーザイの主な業績指標の年度別推移グラフ。【売上高】2010年度:7689億円、2011年度:6480億円、2012年度:5737億円、2013年度:6004億円、2014年度:5485億円、2015年度:5479億円、2016年度:5391億円。【営業利益率】2009年度:10.8%、2014年度:5.2%、2016年度:11.0%。

エーザイの業績は底を這う状況が続いています。09年度に売上高は8032億円に達しましたが、この年をピークに業績は急落。ここ数年は5000億円台前半で推移しており、17年度も5755億円にとどまる見通しです。

業績低迷の要因は、それまで成長を牽引してきた主力2製品、認知症治療薬「アリセプト」とプロトンポンプ阻害薬「パリエット」の特許切れ。エーザイの代名詞であるアリセプトは97年に世界初の認知症治療薬として発売され、世界市場を席巻。ピーク時の09年度には世界で3228億円を売り上げました。

アリセプトに次ぐ主力品だったパリエットも合わせると、この年の売り上げは4708億円を記録。連結売上高の6割近くを、この2製品で叩き出していたことになります。

エーザイの主力製品売上高の推移グラフ。【売上高】2009年度:8032億円、2010年度:7689億円、2011年度:6480億円、2012年度:5737億円、2013年度:6004億円、2014年度:5485億円、2015年度:5479億円、2016年度:5391億円。【主力2製品の合計売上高】2009年度:4708億円、2011年度:2735億円。【アリセプト】2009年度:3228億円、2011年度:1471億円。

ところが、これら2製品の特許切れで状況は一変。アリセプトは10年に米国、11年に日本、12年に欧州で特許切れを迎え、売上高は11年度に1471億円と、ピークとなった09年度からわずか2年で半分以下に減少しました。アリセプトの売り上げ減少と軌を一にするように、エーザイの業績も低迷。長く先の見えないトンネルに入りました。

回復託す「グローバル4品目」

パテントクリフは新薬メーカーにとって宿命。乗り越えるには新薬を出し続けるしかありません。エーザイも10年以降、次の柱と期待する新薬4製品を相次いで発売しました。

4製品は、いずれも自社創製の抗がん剤「ハラヴェン」「レンビマ」と、抗てんかん薬「フィコンパ」、肥満症治療薬「ベルヴィーク」。エーザイはこれらを「グローバル4品目」を呼び、重点的に育成を図っています。

16年度の売上高は、ハラヴェンが373億円(前年度比7.1%減)、レンビマが215億円(87.0%増)、フィコンパが103億円(36.7%増)、ベルヴィークが37億円(16.0%減)。ハラヴェンも為替の影響を除けば1.7%増ですが、発売当初「20年度に1000億円」と意気込んでいたベルヴィークは振るいません。グローバル4品目の売上高は合わせても728億円。前年度から90億円伸びたものの、業績回復をリードするにはまだ物足りません。

エーザイのグローバル4品目の売上高年度別推移グラフ。2011年度:160億円、2012年度:231億円、2013年度:335億円、2014年度:454億円、2015年度:637億円、2016年度:728億円。

「ニューロロジー」「オンコロジー」2領域に集中

特許切れ後の低迷から抜け出せない中、エーザイは16年3月、「ニューロロジー(認知症疾患関連・神経変性疾患)」と「オンコロジー」に集中して事業を展開すると発表。それぞれの領域ごとに、研究から開発、販売の機能を1つのビジネスグループとして一元化し、パイプラインの生産性向上を図っています。

パイオニアとして注力しているニューロロジー領域では、早期アルツハイマー病(AD)の進行抑制効果が期待されているBACE阻害薬elenbecestatが臨床第3相(P3)試験を実施中。20年までに主要評価項目のデータが出る見通しです。ADに伴う不規則睡眠覚醒リズム障害の適応でP2試験を進めているデュアルオキレシン受容体拮抗薬「lemborexant」は19年度の申請を目標にしています。

オンコロジー領域では、抗がん剤ハラヴェンとレンビマの適応拡大や販売地域の拡大に向けた開発を進めています。

60カ国以上で乳がんの承認を取得しているハラヴェンは、膀胱がんを対象に欧米でP2試験が進行中。レンビマは17年6月に日本で、7月には欧米で、10月には中国で肝細胞がんへの適応拡大を申請しました。さらに腎細胞がんのファーストラインでも日本と欧米でP3試験を進めています。

がん治療で存在感を増す免疫チェックポイント阻害薬との併用療法の開発にも力を入れており、米メルクとは「キイトルーダ」とハラヴェン(対象はトリプルネガティブ乳がん)、レンビマ(同固形がん)の併用療法を評価する臨床試験を実施中。17年9月には、肝細胞がんを対象とする「オプジーボ」とレンビマの併用療法の開発で小野薬品工業と提携を結びました。

「売上高8000億円」再チャレンジも足取り鈍く

16~20年度の中期経営計画でエーザイが目標とするのは売上高8000億円、営業利益1020億円。17年度は売上高5755億円、営業利益600億円の見込みで、成長を大きく加速させなければ、目標には手が届きそうにありません。

エーザイが次代の柱と期待するグローバル4品目は20年度に計4000億円が目標。17年度は1015億円となる見通しですが、目標と比べると足取りは鈍いと言わざるを得ません。

エーザイの20年度の目標数値グラフ。【売上高】2015年度:5459億円、2016年度:5391億円。【営業利益】2015年度;519億円、2016年度:591億円。【グローバル4品目売上高】2015年度:637億円、2016年度:728億円。

「売上高8000億円」に初めて挑んだ11~15年度の中期経営計画は、実績5479億円と大幅な未達に終わりました。長いトンネルを抜け、因縁の数字を達成することができるのか。正念場は続きます。

エーザイの主要製品

エーザイの主要製品別売上高(2016年度)【グローバル製品】ハラヴェン(抗がん剤):373億円(前年比7.1%減)、レンビマ(抗がん剤):215億円(前年比87.0%増)、フィコンバ(抗てんかん薬):103億円(前年比36.7%増)、ベルビーク(肥満症治療薬):37億円(前年比16.0%減)、アリセプト(認知症治療薬):492億円(前年比22.4%減)、パリエット/アシフェックス(胃炎・胃潰瘍治療薬):364億円(前年比16.5%増)。【国内】ヒュミラ(関節リウマチ治療薬):377億円(前年比15.4%増)、アリセプト(認知症治療薬):295億円(前年比27.0%減)、リリカ(疼痛治療薬):243億円(前年比1.8%減)、パリエット(胃炎・胃潰瘍治療薬):212億円(前年比30.4%減)、メチコバール(末梢性神経障害治療薬):182億円(前年比12.8%減)、ルネスタ(不眠症治療薬):80億円(前年比34.0%増)、ハラヴェン(抗がん剤):78億円(前年比14.2%増)、ワーファリン(経口抗凝固薬):68億円(11.0%減)、リーバクト(分岐鎖アミノ酸製薬):67億円、エレンタール(成分栄養剤):66億円、アクトネル(骨粗鬆症治療薬):56億円(前年比12.5%減)、レンビマ(抗がん剤):27億円(前年比14.5%減)、フィコンパ(抗てんかん薬):5億円、ジェネリック医薬品:280億円(前年比1.6%減)、一般用医薬品等:190億円(5.3%増)

エーザイのパイプライン

エーザイの領域・フェーズ別パイプラインリスト。【神経】<フェーズ2>BAN2401(日米欧/AD)、E2006(日米/ADに伴う不規則睡眠覚醒リズム障害)<フェーズ3>E2006(日米欧/不眠障害)、E2609(日米欧/早期AD)、ペランパネル(日米欧/レノックス・ガストー症候群)、ペランパネル(日米欧/てんかん小児)、ペランパネル(日本/部分てんかん(単剤療法))、ME2125(日本/パーキンソン病)、BIIB037(日米欧/早期AD)<申請中>ドネペジル(中国/高度AD)【がん】<フェーズ2>MORAb-003(日米欧/プラチナ感受性卵巣がん)、MORAB-004(米欧/メラノーマ)、MORAB-009(米欧/中皮腫)、エリブリン(米欧/膀胱がん)、エリブリン(アメリカ/乳がん・PEGPH20との併用療法)、E7777(日本/末梢性T細胞リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫)、エリブリン(アメリカ/乳がん・ペムブロリズマブとの併用療法)、レンバチニブ(アメリカ/固形がん・ペムブロリズマブとの併用療法)、レンバチニブ(日米欧ア/非小細胞肺がんPET転座)、レンバチニブ(日本/胆道がん)<フェーズ3>レンバチニブ(中国/甲状腺がん)、レンバチニブ(日米欧/腎細胞がん(ファーストライン))<申請中>レンバチニブ(日米欧中/肝細胞がん)、エリブリン(中国/乳がん※最新性準備中))【消化器】<フェーズ2>E6007(潰瘍性大腸炎)<フェーズ3>AJM300(日本/潰瘍性大腸炎)、AJG555(日本/慢性便秘症)、リーバクト(中国/低アルプミン血症)<申請中>AJG533(日本/慢性便秘症)【その他】<フェーズ2>E6011(日本/関節リウマチ)、E6011(日本/クローン病)、E6011(日本/原発性胆汁性胆管炎)

エーザイの平均年収

エーザイの平均年収の推移。2012年度:1063.0万円、2013年度:1040.1万円、2014年度:1040.3万円、2015年度:1094.0万円、2016年度:1038.9万円。

エーザイの平均年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数の年度別推移表。【平均年収(単体)】2012年度:1063.0万円、2013年度:1040.1万円、2014年度:1040.3万円、2015年度:1094.0万円、2016年度:1038.9万円。【平均年齢(単体)】2012年度:43.1歳、2013年度:43.7歳、2014年度:43.4歳、2015年度:43.8歳、2016年度:44.3歳。【平均勤続年数(単体)】2012年度:19.3年、2013年度:19.8年、2014年度:19.2年、2015年度:19.6年、2016年度:19.9年。【従業員数(単体)】2012年度:4050人、2013年度:4003人、2014年度:3514人、2015年度:3504人、2016年度:3246人。【従業員数(連結)】2012年度:10495人、2013年度:10419人、2014年度:10183人、2015年度:9877人、2016年度:10452人。

エーザイの基本情報

2017年10月

社名 エーザイ株式会社(Eisai Co., Ltd.)
本社所在地 東京都文京区小石川4-6-10
設立 1941年12月6日
資本金 449億8600万円
上場 東証1部
代表者名 内藤晴夫(代表執行役CEO)
主な事業所所在地 【支店】札幌市、仙台市、東京都新宿区、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市
【研究所】茨城県つくば市
【工場】岐阜県各務原市、茨城県神栖市

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