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キョーリン製薬ホールディングス(杏林製薬/キョーリンリメディオ)

キョーリン製薬ホールディングスは、呼吸器・耳鼻科・泌尿器を重点領域とする医療用医薬品と一般用医薬品を扱う杏林製薬や、後発医薬品を扱うキョーリンリメディオを子会社に抱える持株会社です。気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬「キプレス」が主力製品で、近年は後発医薬品事業にも力を入れています。

【キョーリン製薬HD】訪れた「キプレスクリフ」 救世主は新薬かAGか

主力製品の気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬「キプレス」の特許切れに直面しているキョーリン製薬ホールディングス(HD)。16年度はオーソライズド・ジェネリック(AG)の先行投入で減収を小幅に抑えたものの、通年で特許切れの影響を受ける17年度は「非常に厳しい年」(穂川稔社長)。正念場をどう乗り切るのでしょうか。

16年度は減収減益「キプレスクリフ」に直面

キョーリン製薬HDの16年度の業績は、売上高が1154億円(前年度比3.4%減)、営業利益が104億円(47.0%減)でした。売上高、営業利益、経常利益、純利益の全てで過去最高を記録した前年度から一転、減収減益に沈みました。

キョーリン製薬ホールディングスの主な業績指標の推移の表。【売上高】2015年度:1195億円、2017年度予想:1113億円(前年度比3.5%減)【キプレス】2017年度予想:198億円(前年度比39.4%減)【営業利益】2015年度:196億円、2017年度予想:105億円(前年度比0.8%増)

要因は、主力製品として売り上げを牽引してきた気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬「キプレス」(一般名・モンテルカスト)の特許切れ。ピーク時の15年度には、売上高全体の4割近い441億円を売り上げましたが、16年6月に後発医薬品が発売された16年度は327億円まで減少しました。

AG投入で減収を小幅に

「キプレス減収の幾分かでも食い止めたい」(穂川社長)。特許切れに直面したキョーリンが打った策は、AGの先行投入でした。

16年6月、子会社キョーリンリメディオから、キプレスのAG「モンテルカスト錠『KM』」を発売。16年12月に薬価収載された他社の後発品より半年早く、市場に投入しました。

AGとは、原料や添加物、製造方法が先発品と同じ後発品。先発品の特許切れ前に発売することも可能です。高いシェアを獲得できるAGを発売することで、キプレス減収分を穴埋めする算段でした。

フタを開けてみると、発売後8カ月で当初の予想(41億円)を大きく上回る82億円を売り上げ、目標に掲げていた後発品内のシェア50%も達成。17年5月の決算説明会で、穂川社長は「(AGの投入でキプレスの減収を)ほぼ取り戻すことができた」と話しました。

ただ、17年度は厳しい業績が予想されています。キプレスの特許切れの影響が、1年を通して効いてくるからです。キプレスは17年度、売り上げが198億円(16年度比129億円減)まで落ち込む予想なのに対し、モンテルカストAGの売り上げは25億円増の107億円。さすがのAGも成長は鈍くなる見通しで、17年度の連結売上高は1113億円(前年度比3.5%減)を見込みます。

売上高の推移の棒グラフとキプロス・モンデルカルストAGの売上の折れ線グラフ。【売上高】2012年度:1070億円、2013年度:1114億円、2014年度:1131億円、2015年度:1195億円、2016年度:1154億円、2017年度予想:1113億円

19年度までに「新薬群比率50%」

キプレスクリフの克服をテーマに同社が策定した16~19年度の中期経営計画では、「創薬力の強化」「新薬群比率の向上」「特色を活かしたジェネリック事業推進」「ローコスト強化」を重点戦略に掲げています。

キョーリンの新薬の売上高比率は16年度時点で20%にとどまります。同社はこれを19年度には50%以上に引き上げる計画。中計期間中に4製品を発売する計画で、そのうちアレルギー性疾患治療薬「デザレックス」は16年11月に発売しました。

17年4月には経口剤のキノロン系合成抗菌薬「KRP-AM1977X」(ラスクフロキサシン)を申請しており、18年度中に発売予定。同年9月にはキッセイ薬品と共同開発した過活動膀胱治療薬「KPP-114V」(ビベグロン)も申請しています。注射剤のキノロン系合成抗菌薬「KRP-AM1977Y」(ラスクフロキサシン)は臨床第3相試験を終えており、19年度の発売が目標です。

これらに加え、英スカイファーマから導入して13年に発売した喘息治療配合薬「フルティフォーム」や、科研製薬とコ・プロモーションを行うデザレックスなどの営業活動にも注力。デザレックスは、17年12月に長期処方が解禁され、処方の広がりに期待がかかります。

15年5月には、中核子会社の杏林製薬が国内の研究開発拠点を集約した「わたらせ創薬センター」(栃木県野木町)を設立しました。分散していた創薬研究所と開発研究所をまとめることで、研究開発のスピードアップを図っています。

後発医薬品も強化 次のAGも承認取得

モンテルカストAGで勢いがついた後発品事業では、次なるAGの展開に着手。17年8月にはアレルギー性鼻炎治療薬「ナゾネックス」(モメタゾン)でも、AGの承認を取得しました。

後発品が参入すると1年以内に半分以上が置き換わることも珍しくなくなった中、高いシェアを獲得できるAGは、特許切れ対策の柱となります。モメタゾンAGの発売時期は未定ですが、キョーリンの後発品事業はさらに拡大していく見込みです。

17年6月には後発品の研究開発を行う「高岡創剤研究所」(富山県高岡市)を新設しました。複数の治験薬製造ラインを備えており、従来よりも多くの固形剤・液剤の研究開発が可能に。「製剤開発の質の向上とスピードアップを図る」(キョーリン)のが目的で、同年7月に稼働を開始しました。

17年度は、後発品事業が280億円と、売上高全体の4分の1を稼ぐ見通し。「基本は新薬」(穂川社長)との姿勢は崩さないものの、後発品事業の存在感は増しています。

中期経営計画では、期間中に売上高を年平均3%伸ばしていくことを目標に掲げていますが、16年度、17年度と2年連続で売上高はマイナス成長となる見込みです。

キョーリンはキプレスクリフを乗り越え、再び成長を取り戻すことができるのか。カギを握るのは、やはり新薬の売り上げ拡大です。

キョーリン製薬ホールディングスの主力製品

キョーリン製薬ホールディングスの主力製品別売上高の表(2016年度)【医療用医薬品 新医薬品】フルティフォーム(喘息治療配合薬):101億円(前年比39.0%増)、ウリトス(過活動膀胱治療薬):75億円(前年比0.1%増)、デザレックス(アレルギー性疾患治療薬):10億円、キプレス(気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬):327億円(前年比25.9%減)、ペンタサ(潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬):155億円(前年比3.9%減)、ムコダイン(気道粘液調整・粘膜正常化薬):99億円(前年比24.1%減)【医療用医薬品 後発医薬品】モンテルカスト錠「KM」(気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療薬):82億円

キョーリン製薬ホールディングスのパイプライン

キョーリン製薬ホールディングスのフェーズ別パイプラインリスト。<フェーズ2>Ad-SGE-REIC(悪性胸膜中皮腫)<フェーズ3>KRP-108P(気管支喘息)、KRP-AM1977Y(キノロン系合成抗菌薬(注射剤))、KRP-116D(間質性膀胱炎)<申請中>KRP-AM1977X(キノロン系合成抗菌薬(経口剤))、KRP-114V(過活動膀胱)

キョーリン製薬ホールディングスの年収

キョーリン製薬ホールディングスの年度別平均年収の棒グラフ。2012年度:996.7万円、2013年度:980.7万円、2014年度:976.5万円、2015年度:969.1万円、2016年度:945.4万円

キョーリン製薬ホールディングスの年度別平均年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数の推移表<br />
。【平均年収(単体)】2012年度:996.7万円、2013年度:980.7万円、2014年度:976.5万円、2015年度:969.1万円、2016年度:945.4万円【平均年齢(単体)】2012年度:42.3歳、2013年度:43.6歳、2014年度:44.1歳、2015年度:44.9歳、2016年度:44.3歳【平均勤続年数(単体)】2012年度:15.7年、2013年度:18.0年、2014年度:18.3年、2015年度:18.3年、2016年度:18.5年【従業員数(単体)】2012年度:76人、2013年度:119人、2014年度:118人、2015年度:120人、2016年度:121人【従業員数(連結)】2012年度:2444人、2013年度:2452人、2014年度:2445人、2015年度:2420人、2016年度:2382人

キョーリン製薬ホールディングス(杏林製薬/キョーリンリメディオ)の基本情報

2018年1月

社名 キョーリン製薬ホールディングス株式会社(KYORIN Holdings, Inc.)
本社所在地 東京都千代田区神田駿河台4丁目6番地御茶ノ水ソラシティ
設立 1958年
資本金 7億円
上場 東証1部
代表者名 穂川稔(代表取締役社長)
主な事業所所在地
(杏林製薬)
【支店】札幌市、仙台市、さいたま市、新宿区、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市
【研究所】栃木県下都賀群野木町
【工場】秋田県能代市

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