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【チャートで見る】国内製薬2023年度業績―海外売上高編

更新日

前田雄樹

国内の主な東証プライム上場製薬企業(事業)の2023年度の業績を、▽売り上げ・利益▽研究開発費▽主力製品売上高▽海外売上高――の4つの切り口からチャートで解説します。

 

【チャートで見る】国内製薬2023年度業績

(1)売上高・利益
(2)研究開発費
(3)主力製品売上高
(4)海外売上高

 

海外売上高比率 武田89%、アステラス86%

海外売上高比率が最も高かったのは、89%の武田薬品工業。2位は83%のアステラス製薬で、70%のエーザイが続きました。

 

【チャートで見る国内製薬2023年度業績・海外売上高比率】社名/海外売上高比率|武田薬品工業/89.4%|アステラス製薬/83.2%|エーザイ/69.5%|大塚HD/66.8%|住友ファーマ/66.1%|協和キリン/65.0%|第一三共/62.5%|生化学工業/60.3%|塩野義製薬/57.5%|ゼリア新薬工業/51.5%|旭化成/50.0%|中外製薬/49.7%|久光製薬/42.8%|日本新薬/42.6%|参天製薬/41.8%|小野薬品工業/38.7%|田辺三菱製薬/29.1%|明治HD/26.4%|東和薬品/21.6%|ツムラ/12.4%|科研製薬/8.8%|帝人/3.1%|杏林製薬/0.3%|

 

決算発表資料から海外売上高を把握できた23社のうち、売上高比率が50%を超えたのは12社。伸びが大きかったのは日本新薬(8.5ポイント増)、塩野義製薬(6.6ポイント増)、参天製薬(5.4ポイント増)など。一方、田辺三菱製薬は11.3ポイント減、住友ファーマは3.3ポイント減となりました。

 

歴史的な円安も背景に、24年3月期は多くの企業が海外売上高を大きく伸ばしました。第一三共は抗がん剤「エンハーツ」の拡大もあって34%増で1兆円を突破。日本新薬(29%増)や大塚HD(24%増)、参天製薬(同)、ゼリア新薬工業(20%増)も2割を超える増収となりました。

 

武田 米国で2.2兆円

各社の決算発表資料をもとに、地域別の売上高と総売上高に占める割合をチャートにしました。

 

【チャートで見る国内製薬2023年度業績・地域別売上高1】社名/地域名・売上高・前年度比・構成比|武田薬品工業/日本・4,514億円・-12%・11%/米国・21,957億円・4%・51%|欧州・カナダ・9,668億円・15%・23%/アジア・2,612億円・16%・6%/中南米・1,981億円・24%・5%/ロシア/CIS・726億円・-18%・2%/その他・1,179億円・24%・3%|アステラス製薬/日本・2,701億円・3%・17%/米国・6,631億円・2%・41%/エスタブリッシュドマーケット・4,156億円・16%・26%/グレーターチャイナ・885億円・11%・6%/インターナショナルマーケット・1,591億円・11%・10%/その他・73億円・-65%・0%|

 

武田薬品は米国が全体の51%を占め、欧州・カナダが23%で続きました。米国売上高は薬2.2兆円に上り、欧州・カナダも1兆円に迫っています。アステラスは米国が41%で、エスタブリッシュドマーケット(先進国市場)が26%。グレーターチャイナ(中華圏)は11%の伸びでした。

 

【チャートで見る国内製薬2023年度業績・地域別売上高2】社名/地域名・売上高・前年度比・構成比|エーザイ/日本・2,169億円・-9%・29%/ アメリカス・2,324億円・9%・31%/中国・1,119億円・1%・15%/EMEA・760億円・5%・10%/アジア・ラテンアメリカ・542億円・9%・7%/その他事業・503億円・-16%・7%|大塚HD/日本・6,709億円・3%・33%/北米・8,734億円・28%・43%/欧州・2,187億円・26%・11%/その他・2,557億円・13%・13%|

 

エーザイはアメリカス(米州)で3割を稼ぎ、中国が15%を占める構造。大塚HDは北米と欧州で30%近い成長となりました。

 

【チャートで見る国内製薬2023年度業績・地域別売上高3】社名/地域名・売上高・前年度比・構成比|住友ファーマ/日本・1,147億円・-38%・36%/北米・1,590億円・52%・51%/アジア・409億円・-6%・13%|協和キリン/日本・1,535億円・-1%・35%/米州・1,773億円・23%・40%/欧州・657億円・6%・15%/アジア・448億円・20%・10%/その他・10億円・400%・0%|

 

住友ファーマは、抗精神病薬「ラツーダ」の特許切れで北米の売上高が半減。ただ、日本の売上高も4割近く減っており、海外売上高比率は3.3ポイント減と大きな減少にはなりませんでした。協和キリンは、くる病・骨軟化症治療薬「クリースビータ」が伸びる米国で2割以上の増収となりました。

 

【チャートで見る国内製薬2023年度業績・地域別売上高4】社名/地域名・売上高・前年度比・構成比|第一三共/日本・6,000億円・13%・37%/ 北米・4,993億円・26%・31%/欧州・3,108億円・52%・19%/その他・1,916億円・33%・12%|ゼリア新薬工業/日本・367億円・2%・48%/イギリス・95億円・30%・13%/欧州・244億円・21%・32%/その他・50億円・3%・7%|

 

第一三共は、エンハーツの拡大によって北米で26%、欧州で52%の増収。海外売上高比率は4.2ポイント上昇して6割を超えました。ゼリア新薬工業は海外売上高比率が初めて5割を突破。潰瘍性大腸炎治療薬「アサコール」やクロストリジウム・ディフィシル感染症「ディフィクリア」が欧州で販売を伸ばしています。

 

日本新薬や小野、ロイヤリティ伸びる

 【チャートで見る国内製薬2023年度業績・地域別売上高5】社名/地域名・売上高・前年度比・構成比|中外製薬/国内・5,593億円・-15%・50%/海外・5,521億円・8%・50%|久光製薬/日本・810億円・9%・57%/米国・310億円・10%・22%/その他・296億円・17%・21%|日本新薬/日本・	850億円・-11%・57%/欧州・478億円・26%・32%/その他・154億円・37%・10%|

 

中外製薬は、血友病治療薬「ヘムライブラ」など自社創製品のスイス・ロシュ向け輸出が伸び、海外売上高が5割に到達。久光製薬は米子会社が好調です。日本新薬は肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」のロイヤリティが拡大したほか、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬「ビルテプソ」も米国で売り上げを伸ばしました。

 

 【チャートで見る国内製薬2023年度業績・地域別売上高6】社名/地域名・売上高・前年度比・構成比|参天製薬/日本・1,756億円・-1%・58%/中国・299億円・39%・10%/アジア・287億円・19%・10%/EMEA・648億円・23%・21%/米州・31億円・-12%・1%|小野薬品工業/日本・3,082億円・7%・61%/米州・1,589億円・11%・32%/欧州・219億円・376%・4%|アジア・136億円・17%・3%|

 

参天製薬は、撤退した米州以外の各地域で売り上げが拡大し、過去最高の業績に寄与。小野薬品工業は、抗PD-1抗体に関連したロイヤリティ収入などが伸びました。

 

【チャートで見る国内製薬2023年度業績・地域別売上高7】社名/地域名・売上高・前年度比・構成比|田辺三菱製薬/国内・3,102億円・-3%/71%/海外・1,272億円・-41%・29%|ツムラ/国内・1,321億円・6%・88%/中国・187億円・22%・12%|

 

田辺三菱製薬は、前期に多額のロイヤリティ収入を計上した反動で海外売上高が4割減少。ツムラは、規模は小さいものの中国事業が2割の成長となりました。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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