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参天製薬

射程圏のアジアNo.1 米国市場の勝負は20年以降に持ち越しに

2019/4/22 AnswersNews編集部 前田雄樹・亀田真由

国内医療用眼科薬市場でトップシェアを誇る参天製薬。米メルクからの事業承継やリウマチ事業の売却を経てスペシャリティ企業へと変化しました。2017年度には売上高2000億円超えを達成。20年に目標とする「アジアNo.1」も射程圏に捉えています。一方、18年を見込んでいた米国参入は延期に。世界最大市場へのチャレンジは20年以降に持ち越しとなりました。

8年連続増収を達成

参天製薬は2010年度以降、8年連続で増収を達成しています。17年度の業績は、売上高2249億円(前年度比13.0%増)、営業利益387億円(19.1%増)。医療用医薬品(2070億円、12.8%増)と一般用医薬品(146億円、16.3%増)がともに増収となり、期初の予想を上回りました。

国内では、加齢黄斑変性などに使う眼科用VEGF阻害薬「アイリーア」が昨年比14.1%増の515億円、抗アレルギー点眼薬「アレジオン」が169億円(37.7%増)と好調。国内医療用医薬品は全体で8.5%増の1411億円を売り上げました。

17年度をめどに目標として掲げた「海外売上比率30%」も29.5%とほぼ達成。16年度に合弁会社を設立した中国市場を含むアジアでの売上高は昨年度比30.7%増の309億円に伸長し、EMEA(欧州・中東・アフリカ)でも22.2%増の350億円に拡大しました。

海外売上高比率の棒グラフと折れ線グラフ。【14年度】売上高:1618億円、海外売上高:370億円、海外売上高比率:22.9パーセント。【15年度】売上高:1953億円、海外売上高:534億円、海外売上高比率:27.4パーセント。【16年度】売上高:1991億円、海外売上高:537億円、海外売上高比率:27パーセント。【17年度】売上高:2249億円、海外売上高:663億円、海外売上高比率:29.5パーセント。【18年度(予想)】売上高:2370億円、海外売上高:757億円、海外売上高比率:31.9パーセント。

スペシャリティの深化で得た圧倒的地位

参天製薬の分析によると、13年から20年にかけて世界全体での医療用眼科薬市場の年平均成長率は6%で、医療用医薬品市場全体の2%を上回ります。世界的な高齢化に合わせて市場が拡大しているためです。

こうした市場環境のなか、参天製薬は眼科に特化したスペシャリティ企業になる戦略をとってきました。14年には米メルクの眼科事業を買収し、欧州基盤を形成。15年には眼科とともに取り組んできたリウマチ事業をあゆみ製薬に売却しました。

眼科一本に絞った後も、導入などでパイプラインの強化を図っています。16年には、米InnFocusから緑内障手術用デバイスDE-128を、小野薬品工業からFP/EP3デュアル作動薬sepetaprostを獲得。18年9月にはペプチドリームと特殊環状ペプチド医薬品に関する創薬共同研究を開始しました。

開発強化を狙った提携・買収の表。【買収】開発の対象:緑内障の眼圧下降のための手術用デバイス、取引会社:InnFocus社、発表:2016年8月。【導入】開発の対象:FP/EP3デュアル作動薬、取引会社:小野薬品工業、発表:2016年3月。【共同研究・開発】開発の対象:iPS細胞由来網膜細胞を用いた網膜疾患治療薬(創製)、取引会社:理化学研究所・先端医療振興財団、発表:2016年10月。開発の対象:特殊環状ペプチド医薬品(創製)、取引会社:ペプチドリーム、発表:2018年9月。開発の対象:病的近視に対する光線架橋療法(CiCLE採択)、取引会社:東京医科歯科大・ファイバーテック、発表:2019年3月。開発の対象:遺伝性眼科疾患に対する遺伝子治療薬(CiCLE採択)、取引会社:理化学研究所・神戸アイセンター病院、発表:2019年3月。

さらに、緑内障患者の継続通院をサポートするパッケージプログラムの導入など、医療現場との連携にも力を入れています。MR一人あたりの売上高は、国内製薬企業で第1位(17年度)。緑内障・高眼圧症治療薬「エイベリス」も、18年11月の発売から約2ヶ月で全国の眼科医療施設の半数で採用されました。

20年度の目標だった売上高2000億円は、17年度ですでに達成。18年度は5.4%の増収(2370億円)を見込んでいます。

向こう数年を支えるドライバー「アジア市場」

圧倒的な日本市場での伸長に加え、EMEAでもキー・オピニオン・リーダー(KOL)の取り込みなどで参天製薬は影響力を高めてきました。

ただし日欧の市場は成熟しており、参天は今後のドライバーとしてアジアと米国に期待しています。アジア市場全体では、すでに市場成長を上回るベースで製品が浸透中。19年には、アジアでの参天製品の処方患者数が世界全体の45%を超え、日本を上回る見通し。参天製薬は、2020年にアジア市場でNo.1になると宣言しています。

17年度現在、医療用眼科薬のシェアは、韓国で1位、中国で2位。残り3年で、日本とEMEAで培ってきたノウハウを展開し、中国でのシェア拡大を目指します。新製品としては、ドライアイ治療薬「ジクアス」がすでに発売済み。ドライアイ患者の多い中国市場で拡大を狙います。

一方、マーケットでのプレゼンスを獲得した韓国・ASEAN市場では、新製品の投入と、納入施設拡大をベースに成長の機会を狙う考えです。新規販売国では、インド市場が視野に入っています。

北米での勝負は20年以降へ 足場を築けるか

アジアNo.1の次に目指す「世界での存在感」を確固たるものにするには、世界最大の米国市場への参入が必須となります。

参天製薬は、20年には世界眼科薬市場の50%を米国が占めると予測。米国の市場規模は20年には1兆9200億円に達するとみられますが、参天製薬の17年度の米国売上高はわずか3.7億円。赤字が続いています。

本格参入の第1号になる予定だった非感染性後眼部ぶどう膜炎治療薬「シロリムス」は、18年度の発売を目指し申請していたものの、FDAが追加試験を要求。発売は早くても20年以降に延期となりました。米国で開発中の製品のうち、最も開発が進むのは緑内障用デバイスDE-128。19年の申請に向けて準備中です。

パイプラインには、エイベリスや抗エンドグリン抗体carotuximabなど20年以降に発売を見込む新薬が並びます。谷内樹生社長は米国市場の収益貢献・早期収益化に向け「販売体制の検討・準備を本格化する」としています。

これまで続けてきた市場参入国を拡大する動きから、いよいよ世界最大市場での勝負に向かう参天製薬。中計で掲げる「世界で存在感のあるスペシャル・カンパニー」へ、正念場を迎えます。

 

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