1. 製薬・医薬業界の転職支援 Answers(アンサーズ) TOP
  2. 企業研究一覧
  3. 大塚ホールディングス(大塚製薬/大鵬薬品工業)
  4. 企業分析

大塚ホールディングス(大塚製薬/大鵬薬品工業)

乗り越えたエビリファイクリフ 新製品で成長軌道へ

2018/10/25 AnswersNews編集部 前田雄樹・山岡結央

ピーク時には売上高の4割以上を稼いだ抗精神病薬「エビリファイ」が、特許切れを迎えた大塚ホールディングス。2016年度は減収減益に沈んだものの、17年度は増収増益に転じました。エビリファイの後継品として15年に発売した抗精神病薬「レキサルティ」をはじめとした新製品群で再び成長軌道の回復を目指します。

「エビリファイ」特許切れ 1年で売り上げは7分の1に

2015年4月、大塚ホールディングス(HD)が創製した抗精神病薬「エビリファイ」が米国で特許切れを迎えました。同薬は02年に発売以来、大塚HDの主力品として売り上げを支えていた製品。ピーク時の14年度は、連結売上高の4割以上を占める6542億円を売り上げました。

しかし、特許が切れると売り上げは急減。特許切れが1年を通して影響した16年度は、ピーク時の7分の1ほどの954億円にまで落ち込みしました。稼ぎ頭を失った大塚HDの16年度の連結売上高は、前年度比17.3%減の1兆1955億円に縮小。パテントクリフに直面しました。

【地域別】エビリファイの売上高推移の積み上げ棒グラフ。米国・国内・その他で色分け。2013年度:5757億円、2014年度:6542億円、2015年度:3475億円、2016年度:954億円、2017年度:673億円。

17年度は増収増益 新製品群の成長が牽引

ところが、17年度は一転して売上高が1兆2400億円(前年度比3.7%増)、営業利益が1042億円(3.0%増)と増収増益を記録。全体で1兆4000億円以上を売り上げたエビリファイのピーク時には届きませんが、減収減益を1年で食い止め、業績は再び上向きました。

大塚ホールディングスの主な業績指標の推移の表。<売上高>2016年度:11955億円、2017年度:12400億円(前年度比:3.7パーセント)、2018年度予想:13000億円(前年度比:4.8パーセント)。<医療関連事業>2016年度:7530億円、2017年度:7748億円(前年度比:2.9パーセント)、2018年度予想:8100億円(前年度比:4.5パーセント)。<新製品群>2016年度:2713億円、2017年度:3424億円(前年度比:26.2パーセント)、2018年度予想:4050億円(前年度比:18.3パーセント)。<営業利益>2016年度:1011億円、2017年度:1042億円(前年度比:3.0パーセント)、2018年度予想:1400億円(前年度比:34.4パーセント)。

牽引したのは、新製品の売り上げ増加です。15年発売の抗精神病薬「レキサルティ」は前年度比58.8%増の473億円を売り上げました。

新製品群の売り上げは3年間で2倍以上に増加

大塚HDは14~18年度の中期経営計画で、エビリファイの特許切れを新製品の売り上げ増で乗り越える方針を示しています。

これまでエビリファイ一本足だった売り上げ構成を、「中枢神経」「がん」「循環器」それぞれの新製品を伸ばすことで多様化し、全体の規模を拡大していく算段。中計の最終年度となる18年度の売上高には、特許切れ前の13年度と同水準の売上高1兆4400億円にまで引き上げることを目標としています。

核となるのは、「グローバル3製品」と位置づける自社創製の新薬。▽エビリファイの持続性注射剤「エビリファイメンテナ」▽V2受容体拮抗薬「サムスカ/ジンアーク」▽エビリファイの後継品「レキサルティ」――の3製品で、販売地域の拡大や適応追加に注力し、収益基盤を強固なものにしていく考えです。17年度は3製品で1824億円を売り上げ、18年度もさらなる拡大を見込んでいます。

新製品群の売上推移の積み上げ棒グラフ。エビリファイメンテナ・サムスカ/ジンアーク・レキサルティ・ロンサーフ・そのほか国内新薬の合計。2015年度:1830億円、2016年度:2714億円、2017年度:3424億円、2018年度見込み:4050億円。

次世代製品として期待する14年発売の抗がん剤「ロンサーフ」も、17年度に売り上げを伸ばしました。胃がんを対象に国内・米欧で臨床第3相(P3)試験を実施中で、18年12月には試験終了が見込まれています。

18年度はグローバル3製品にロンサーフと09~18年に国内で発売した新薬を加えた新製品群の売上高が、15年度の2倍以上の4050億円となる見込みです。

18年度の目標達成は困難

新製品群の売り上げは伸びたものの、18年度の売上高は1兆3000億円の見込みで、目標に掲げる1兆4400億円には届きません。薬価制度改革の影響を受けて国内が伸び悩んだのに加え、ロンサーフとともに次世代製品として期待していた2製品が発売に至らなかったことが響きます。

デンマークのルンドベックとアルツハイマー型認知症(AD)治療薬として共同開発を進めていたイダロピルジンは、有効性を示せず開発を中止。抗がん剤グアデシタビンはP3試験段階で、現行の中計期間中の発売には間に合いません。

とはいえ、発売した新製品は着実に成長しており、エビリファイ特許切れの影響を最小限に抑えたのは確か。パテントクリフから回復したあとの将来の成長に向け、M&Aや製品導入にも積極的に動いています。

15年1月には4000億円以上を投じて米バイオベンチャーのアバニアを買収しました。世界初の情動調節障害治療薬「ニューデクスタ」に加え、ADに伴うアジテーションを対象に欧米でP3試験を行っている重水素化デキストロメトルファン・キニジンを獲得。神経疾患領域に強みを持つアバニアとの提携で、大塚HDの中枢神経領域の強化が期待されています。

18年9月には、独自の抗体プラットフォーム技術でIgA腎症の治療薬を開発する米ビステラ社を買収。がん領域では、タカラバイオから次世代のがん免疫療法として注目されるCAR-T細胞療法を導入するなど、次なる成長の柱を模索しています。

 

【大塚ホールディングス(大塚製薬/大鵬薬品工業)に関する記事を読む】
大塚ホールディングスの記事一覧
大塚製薬の記事一覧
大鵬薬品工業の記事一覧

AnswersNewsとは

医薬品業界TOPメディア出身の記者が、製薬業界のニュースを解説。
業界の話題がよくわかる、製薬業界で働く人のためのニュースメディアです。

AnswersNews 話題のニュースがよくわかる。製薬業界で働く人のメディア

他の製薬企業も見る