国内の主要製薬企業の2022年度決算を、さまざまな角度からチャートを使って解説します。
【チャートで見る】国内製薬2022年度決算
(1)売り上げ・利益 |
金額トップは武田の6333億円、売上高比は36%のJT
東証プライム上場の主な製薬企業33社が2022年度決算(22年9月期、22年12月期、23年2月期、23年3月期)で開示した研究開発費を見てみると、最も額が大きかったのは6333億円を投じた武田薬品工業。2位は3416億円の第一三共、3位は2761億円のアステラス製薬で、4位の大塚ホールディングス(HD、2752億円)までが2000億円を超えています。
一方、売上高に占める割合を見てみると、最も高かったのは日本たばこ産業(JT)で、医薬事業の売上高の35.9%を研究開発に投じました。過去5年をさかのぼってみても、JTの研究開発費率は毎年30%を超えています。研究開発費率が2番目に高かったのは26.7%の第一三共で、以下、JCRファーマ(25.6%)、塩野義製薬(24.0%)、生化学工業(23.8%)と続きました。金額トップの武田薬品は売上高比率15.7%。アステラスは18.2%、大塚HDは15.8%となっています。
売上高に対する研究開発費の比率が20%を超えていたのは、JT、第一三共、JCR、塩野義、生化学の上位5社に住友ファーマ(23.7%)、エーザイ(23.2%)、科研製薬(21.6%)、小野薬品工業(21.3%)を加えた9社。15%以上まで広げると武田薬品やアステラスなどが加わり15社となります。一方、10%を下回った企業は11社で、最も低かったのは3.4%の鳥居薬品。金額では9億円のヤクルト本社が最少です。
増加率1位は鳥居薬品、円安で2桁増相次ぐ
前年度からの増加率では、99.5%増となった鳥居がトップ。87.5%増の科研、40.3%増の塩野義、38.9%増の住友、33.0%増の東和薬品と続きました。
鳥居は臨床第3相(P3)試験に入った伝染性軟属腫治療薬「TO-208」の試験費用が増加。科研は導入一時金が費用を押し上げ、塩野義は新型コロナウイルス感染症治療薬・ワクチンの開発に多くの費用を割きました。東和薬品は一部子会社の決算期変更が影響しています。
円安の影響もあって、第一三共や武田薬品など大手も軒並み2桁増。第一三共は注力する抗体薬物複合体(ADC)への積極的な投資に加え、為替の影響がプラス350億円あり、31.2%の大幅な増加となりました。