各社公表の有価証券報告書をもとに、2019年版の製薬会社80社の平均年収ランキングをまとめました。「大台」とされる1000万円を超えたのは10社で、昨年から1社増加。1位は3年連続でバイオベンチャーのソレイジア・ファーマでした。サンバイオが341万円増で2位にランクインしています。
トップ3はベンチャーが独占 ソレイジアは1460万円
今回のランキングで集計対象としたのは、有価証券報告書を公表している国内の製薬会社80社。新薬メーカーのほか、後発品メーカーやOTC(一般用医薬品)メーカー、バイオベンチャーが含まれます。ランキングに用いたのは、2018年4月期~19年3月期の有価証券報告書に記載されている単体の平均年収。大半は19年3月期または18年12月期の数字です。
19年版の平均年収ランキングで1位となったのは、バイオベンチャーのソレイジア・ファーマで、平均年収は1460.0万円(平均年齢48.4歳)。2位は1350.6万円(42.5歳)でサンバイオ、3位は1241.3万円(47.3歳)のそーせいグループで、ベンチャーがトップ3を占めました。
ソレイジアは17年3月に東証マザーズに上場。がん領域を中心に、世界中から有望な新薬候補を導入し、日本や中国などアジア諸国に提供することを目指しています。今年3月には、がん化学療法に伴う悪心・嘔吐を対象に経皮吸収型5-HT3受容体拮抗薬「Sancuso」を中国で発売。18年12月期の連結業績は売上高3億1800万円(前期比22.4%減)、営業利益は24億2000万円の赤字(前期は10億900万円の赤字)でした。
一般的に「大台」とされる1000万円を超えたのは、これら3社を含めて10社。前年から1社増えました。
国内大手4社では、第一三共が6.0万円(0.5%)減、アステラス製薬が7.7万円(0.7%)減と微減だった一方、エーザイが54.6万円(5.2%)増、武田薬品工業が55.2万円(5.3%)増と大幅に上昇。武田は3年前にはほかの3社を大きく下回っていましたが、10年ぶりに1000万円を超えた16年度以降、年収差を徐々に縮小。18年度は他社と同水準まで年収がアップしました。
4社を追う中外製薬は983.9万円(43.0歳)で1000万円の大台が目前。このほか、アンジェスや小野薬品工業、塩野義製薬などが900万円を超えました。今年3月に国内初の遺伝子治療薬「コラテジェン」が承認されたアンジェスは、46.1万円増の932.3万円(50.7歳)となりました。
集計対象企業(新規上場のデルタフライファーマを除く79社)の平均年収は755.0万円(平均年齢42.1歳)で、前年(745.1万円、42.0歳)から約10万円アップ。前年から平均年収が増加したのは47社、減少したのは31社でした。
増加額トップはサンバイオ
前年からの増加額が最も大きかったのは、ランキングで2位となったサンバイオ。前年から341.0万円(33.8%)のアップでした。2位は153.6万円(14.1%)増でそーせいグループ。テラとスリー・ディー・マトリックスも100万円以上の増加となりました。
サンバイオの19年1月期の連結業績は、売上高7億4100万円(51.2%増)、営業利益37億3300万円の赤字(前期は43億7800万円の赤字)。注力の再生細胞医薬品「SB623」は、慢性期外傷性脳損傷を対象に申請準備中です。
一方、前年から年収を最も減らしたのは、北海道大発バイオベンチャー・ジーンテクノサイエンス。減少額は120.7万円(19.0%)で、昨年53位だった順位も75位まで下がりました。シンバイオ製薬(118.4万円減)やソレイジア(116.3万円減)など、ランキング上位のバイオベンチャーも大きく年収を減らしています。
[全80社のランキング表]
(亀田真由)
【AnswersNews編集部が製薬企業をレポート】
・アステラス製薬
・協和キリン
・武田薬品工業
・キョーリン製薬ホールディングス(杏林製薬/キョーリンリメディオ)
・久光製薬
・参天製薬
・エーザイ
・小野薬品工業
・中外製薬
・大日本住友製薬
・第一三共
・大塚ホールディングス(大塚製薬/大鵬薬品工業)
・田辺三菱製薬
・大正製薬ホールディングス
・塩野義製薬
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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