AnswersNewsは、製薬各社が決算で公表した製品別売上高などをもとに、2018年度の国内売上高が50億円以上の医療用医薬品197品目をランキングしました。
トップは1177億円を売り上げたアッヴィのC型肝炎治療薬「マヴィレット」。2位はファイザーの疼痛治療薬「リリカ」で、3位は中外製薬の抗がん剤「アバスチン」でした。MSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」は売り上げを倍増させ5位にランクイン。小野薬品工業の同「オプジーボ」を追い上げています。
INDEX
「キイトルーダ」適応拡大で大躍進 「リクシアナ」も急上昇
2018年度の国内医療用医薬品売上高トップとなったのは、アッヴィのC型肝炎治療薬「マヴィレット」。2017年11月に発売された同薬は、主要なジェノタイプ全てに効果があり、最短8週間で治療が可能なことから爆発的なヒットとなり、薬価ベースで1177億円(前年度比216.7%増)を売り上げました。
2位は1007億円(薬価ベース、7.5%増)を売り上げたファイザーの疼痛治療薬「リリカ」。3位の抗がん剤「アバスチン」(中外製薬)は2.7%増の956億円でした。
4位は小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」。胃がんへの適応拡大で数量は増えた一方、2度にわたる大幅な薬価引き下げで売上高は横ばいの906億円(0.5%増)でした。MSDの同「キイトルーダ」は患者数の多い非小細胞肺がんの一次治療を中心に販売を拡大。前年度の約2倍となる875億円を売り上げ、5位に急浮上しました。
なお、IQVIAが発表した18年度の国内医療用医薬品売上高トップ10(薬価ベースで集計)では、1位は1183億円でアバスチン。2位はマヴィレットで、オプジーボも1000億円超えで3位でした。
「リクシアナ」「サムスカ」などトップ20圏外からジャンプアップ
売上高上位20品目のうち、前年度から大きく売り上げを伸ばしたのは、第一三共の抗凝固薬「リクシアナ」と大塚ホールディングス(HD)の利尿薬「サムスカ」です。リクシアナは43.2%増の649億円を売り上げ、トップ10入り。サムスカは534億円(30.2%増)で、前年25位から15位にランクアップしました。
武田薬品工業の消化性潰瘍治療薬「タケキャブ」と高血圧症治療薬「アジルバ」は、いずれも2ケタの売り上げ増。タケキャブは580億円(19.8%増)、アジルバは708億円(10.6%増)と好調でした。
一方、売り上げを落としたのは、消化性潰瘍治療薬「ネキシウム」(第一三共)と関節リウマチ治療薬「レミケード」(田辺三菱製薬)など。ネキシウムは18年4月の薬価改定で特例拡大再算定の対象品目となったことで、売上高は9.6%減の783億円に。レミケードは9.1%減の588億円となりました。
「レンビマ」肝細胞がんの適応拡大で3倍増 「アイミクス」などAG浸透で軒並み半減以下
集計した197品目のうち、前年度からの伸び率が最も大きかったのは、塩野義製薬の抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」。18年3月に発売された同薬は、1回の服用で治療が完結するという利便性の高さを背景に、18/19年のインフルエンザシーズンで市場シェアの4割を獲得しました。
エーザイの抗がん剤「レンビマ」は、18年3月に承認を取得した肝細胞がんで使用が広がり、前年の3.3倍となる100億円を売り上げました。
糖尿病治療薬「カナリア」(第一三共)や抗アレルギー薬「ビラノア」(大塚HD/MeijiSeikaファルマ)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療薬「インチュニブ」(塩野義)なども3ケタ増でした。
一方、前年度から売り上げを大きく落としたのは、高血圧症治療薬「オルメテック」(第一三共)や高脂血症治療薬「クレストール」(塩野義)、抗アレルギー薬「タリオン」(田辺三菱)など。
いずれもオーソライズド・ジェネリック(AG)が17年度に発売された製品で、後発品への切り替えが拡大。18年6月にAGが参入した大日本住友製薬の高血圧症治療薬「アイミクス」も、売上高が半分以下に減りました。
抗インフルエンザ薬「タミフル」や抗がん剤「リツキサン」(いずれも中外)、骨粗鬆症治療薬「ボノテオ/リカルボン」(アステラス製薬/小野)も、後発品やバイオシミラーの参入によって売り上げが減少。タミフルは、ゾフルーザにシェアを奪われたことも落ち込みの要因となりました。
[ランキング]年間売上高50億円以上の197品目を一気に
ここからは、2018年度の国内売上高が50億円以上となった医療用医薬品197品目のランキングを一気に紹介します。
【注意事項】
ランキングは▽国内製薬会社の19年3月期(18年12月期、19年2月期の企業もあり)▽外資系企業の業績発表資料(データ元はIQVIA)▽IQVIAの市場統計――などをもとに作成。集計対象は年間売上高が50億円以上の先発医薬品とバイオシミラー、オーソライズド・ジェネリック。それ以外の後発医薬品は除外しています。
外資系企業の多くは国内の製品売上高を公表しておらず、ランキングに反映されていない品目もあります。ランキングに入った外資系企業の製品はすべて薬価ベースで集計されているため、医薬品卸への販売額をベースとする国内企業の数値に比べて売上高が高めに出る傾向にあります。 |
(亀田真由)
【AnswersNews編集部が製薬企業をレポート】
・アステラス製薬
・協和キリン
・武田薬品工業
・キョーリン製薬ホールディングス(杏林製薬/キョーリンリメディオ)
・久光製薬
・参天製薬
・エーザイ
・小野薬品工業
・大日本住友製薬
・第一三共
・大塚ホールディングス(大塚製薬/大鵬薬品工業)
・田辺三菱製薬
・大正製薬ホールディングス
・塩野義製薬
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
あわせて読みたい
関連キーワード
オススメの記事
人気記事
【無料】製薬業界専門転職サポート
【無料】製薬業界専門転職サポート
製薬業界専任のコンサルタントが、悩みや不安を元にキャリアについてアドバイスさせていただきます。
まずはお気軽にお申し込みください。