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[定点観測]主要製薬企業 国内新薬開発パイプライン|モダリティ編(2024年11月版)

更新日

亀田真由

主要製薬企業の国内の新薬開発パイプラインを、2024年11月20日時点で各社が公表している情報をもとに企業別・創薬モダリティ別にまとめました。(昨年11月時点の「[定点観測]主要製薬企業 国内新薬開発パイプライン|モダリティ編」はこちら

 

 

P3~申請 内資は第一三共、外資はアストラゼネカがトップ

集計対象としたのは内資系企業26社、外資系企業17社。2024年11月20日時点で各社がホームページで公表している日本国内の開発品を創薬モダリティ別にまとめました。

 

創薬モダリティは、▽低分子化合物▽抗体医薬▽その他バイオ医薬品(タンパク製剤、ワクチンなど)▽核酸医薬▽細胞治療(医薬品医療機器等法の「細胞加工製品」に該当するもの)▽遺伝子治療(同法の「遺伝子治療用製品」に該当するもの)▽ペプチド医薬(インスリンを除く)▽その他・不明――の8つに分類。新医療用配合剤は新規有効成分としてカウントし、後発医薬品や診断薬、バイオシミラーは除外しました。ホームページに掲載されている情報がいつの時点のものかは企業によって異なるため、承認・申請など直近のイベントが反映されていない場合があります。

 

集計対象43社のうち、臨床第3相(P3)試験から申請の段階にあるパイプライン数(新規有効成分と適応拡大の合計)が10以上となった企業は、内資系4社・外資系12社の計16社となりました。

 

 

内資系4社はいずれも、P3~申請段階のパイプラインで新規有効成分が適応拡大を上回っています。最もパイプラインが多かったのは、新規有効成分17、適応拡大8で計25の第一三共。抗体医薬の割合は88%に達しており、抗体薬物複合体(ADC)への注力が顕著に表れました。残りの3社は半分以上が低分子化合物です。

 

外資系の最多は新規有効成分23、適応拡大34で計57のアストラゼネカで、低分子が約4割、抗体医薬が約6割を占めています。ヤンセンファーマも新規有効成分が20以上となっており、うち6割が抗体医薬です。

 

内資系企業26社の国内新薬開発パイプライン(モダリティ別)

 

内資系企業で適応拡大も含むプロジェクト数が20以上となったのは、第一三共(計48)、大塚HD(34)、小野薬品工業(30)、塩野義製薬(22)、エーザイ(21)、武田薬品工業(20)の6社。これまで低分子が多かった大塚やエーザイでも、新規有効成分に抗体医薬のパイプラインが増えつつあります。武田薬品は低分子と抗体のほか、免疫グロブリンなどの生物学的製剤が多いのが特徴。塩野義は低分子以外にワクチンとペプチド医薬で複数プロジェクトを進行中です。

 

このほかプロジェクト数が10以上となったのは、日本新薬とアステラス製薬、住友ファーマ、田辺三菱製薬。田辺三菱は9割の開発品が抗体医薬で、第一三共(85%)や協和キリン(75%)と同様に抗体医薬への注力を強めています。日本新薬は低分子に加え、2つの新規の核酸医薬を開発中です。

 

新規モダリティとしてはこのほか、住友ファーマが神経領域の細胞治療で申請間近のプロジェクトを進行中。細胞治療の新薬としては、大塚HDががん領域、塩野義が代謝疾患で開発に取り組んでいます。中堅製薬では、キッセイ薬品が海外から導入した遺伝子治療を開発中です。

 

外資系企業17社の国内新薬開発パイプライン(モダリティ別)

 

外資系企業は全体的にパイプラインが豊富で、17社中12社が20以上のパイプラインを持っています。中でも多くのプロジェクトを進めているのがアストラゼネカ。プロジェクト数は計95で、新規有効成分(59)、適応拡大(36)とも集計対象企業の中でトップとなりました。適応拡大ではやや抗体医薬が目立ちますが、新規有効成分では低分子化合物と抗体医薬で同数のプロジェクトを進行中です。

 

中外製薬(59)とアッヴィ(55)も、50を超えるプロジェクトを進行中。中外製薬は新規有効成分の74%が抗体医薬となりました。P1~P2段階に限ると、抗体医薬のパイプラインの約7割が自社創製品です。アッヴィは、ライフサイクルマネジメントで低分子のプロジェクトを多く抱えるものの、新規有効成分は66%がADCを含む抗体医薬でした。

 

ヤンセンファーマとグラクソ・スミスクラインも、新規有効成分の半分以上を抗体医薬が占めています。一方、低分子化合物のプロジェクトが新規有効成分の半数を超えたのは、日本ベーリンガーインゲルハイム(64%)やブリストル・マイヤーズスクイブ(62%)、ファイザー(58%)、日本イーライリリー(53%)などでした。

 

新規モダリティでは、中外とファイザーがそれぞれ神経領域と血液領域で遺伝子治療薬を申請中。アッヴィも眼科領域の遺伝子治療薬開発に取り組んでいます。核酸医薬に取り組む企業も少なくなく、アストラゼネカやGSK、中外、リリーは複数プロジェクトを進めています。ノボノルディスクファーマでは新規有効成分、適応拡大ともペプチドのパイプラインが目立ちます。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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