国内の主な東証プライム上場製薬企業(事業)の2023年度の業績を、▽売り上げ・利益▽研究開発費▽主力製品売上高▽海外売上高――の4つの切り口からチャートで解説します。
【チャートで見る】国内製薬2023年度業績
(1)売上高・利益 |
研究開発費 最多は武田の7299億円
2023年度に最も多くの研究開発費を投じたのは7299億円の武田薬品工業。2位は第一三共(3643億円)、3位は大塚ホールディングス(HD、3078億円)でした。3000億円を超えたのはこれら3社で、アステラス製薬(2942億円)や中外製薬(1749億円)などを加えた9社が1000億円以上を研究開発に投じました。
前年と比較してみると、円安の影響もあって多くの企業が増加。17.7%増の小野薬品工業、16.9%増の中外、15.3%増の武田薬品など、大手やそれに次ぐ規模の企業では軒並み2桁増となりました。
増加率が最も大きかったのは、110.1%増の鳥居薬品。ライセンス契約の一時金を支払ったことで大きく膨れました。増加率2位はネクセラファーマ(35.2%増)、3位は日本新薬(31.2%増)。ネクセラはスイス・イドルシアからの事業買収が影響し、日本新薬は核酸医薬などの委託研究費が増加しました。
一方、前年から研究開発費を減らしたのは、28.3%減の田辺三菱製薬、26.5%減の杏林製薬、20.6%減の科研製薬など。田辺三菱は子会社メディカゴ(カナダ)の事業撤退で費用が減少。杏林と科研は前期に導入品のマイルストンや一時金を計上した反動で減少しました。
研究開発費率、ネクセラが事業買収で79%に
売上高に対する研究開発費の比率を見てみると、最も高かったのは78.9%のネクセラファーマ。イドルシアからの事業買収で研究開発費が増加し、対売上高比率も大きく上昇しました。
2位は35.7%の住友ファーマ、3位は33.9%の日本たばこ産業(JT、医薬事業)。住友の研究開発費は前期から14.6%減少しましたが、特許切れによる売り上げの落ち込みが大きく、結果として研究開発費率が10ポイント以上、上昇しました。
研究開発費率が30%を超えたのはこれら3社で、大手やそれに次ぐ企業はおおむね15%から20%台前半の範囲です。額でトップの武田薬品は17.1%、第一三共は22.7%、大塚HDは15.2%でした。