国内主要製薬企業の2025年3月期第2四半期決算のハイライトを、コンパクトなビジュアルとともにお届けします。随時更新(公開:10月29日、最終更新:11月1日)
武田薬品工業(10月31日発表)
▽売上収益 2兆3840億2800万円(前年同期比13.4%増)
▽営業利益 3505億7600万円(194.0%増)
▽税引き前利益 2559億7600万円(555.5%増)
▽当期利益 1872億9400万円(352.8%増)
主力の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンタイビオ」が売上収益4732億円(20.8%増)と好調で、血漿分画製剤も24.5%増の5357億円と伸びた。円安の影響も受けた。25年3月期は売上収益4兆4800億円(5.1%増)、営業利益2650億円(23.8%増)を予想。ADHD治療薬「VYVANSE」の後発医薬品の市場浸透が想定よりも緩やかで、その他の製品も好調に推移していることから売上収益を従来から1300億円、営業利益を400億円引き上げた。
第一三共(10月31日発表)
▽売上収益 8827億2700万円(前年同期比21.5%増)
▽営業利益 1869億円(96.6%増)
▽税引き前利益1 925億8600万円(88.6%増)
▽中間利益 1466億7500万円(51.2%増)
抗HER2抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」は関連するマイルストン収入などを含めて2717億円(48.4%増)の売り上げを計上。抗凝固薬エドキサバンも26.5%増の1741億円と好調だった。25年3月期は売上収益1兆8300億円(14.3%増)、営業利益2800億円(32.3%増)に上方修正。リクシアナやエンハーツの好調な推移と円安を踏まえ、売上収益で800億円、営業利益で500億円、従来予想を上回る。
小野薬品工業(10月31日発表)
▽売上収益 2403億3900万円(前年同期比7.1%減)
▽営業利益 558億8100万円(42.4%減)
▽税引き前利益 546億3700万円(45.0%減)
▽中間利益 416億4100万円(44.1%減)
SGLT-2阻害薬「フォシーガ」の売上収益が21.7%増と好調だったものの、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が薬価改定の影響で16.5%の売り上げ減。米デシフェラ・ファーマシューティカルズ買収で研究開発費などが膨らんだ。25年3月期の業績予想は、売上収益4850億円(従来予想比350億円増)、営業利益820億円(400億円減)に修正。デシフェラ買収で獲得した抗がん剤の売り上げを織り込む一方、買収に伴う費用増などが利益を押し下げる。
アステラス製薬(10月30日発表)
▽売上収益 9356億2100万円(前年同期比22.0%増)
▽営業利益 937億1000万円(69.9%増)
▽税引き前利益 890億4200万円(58.1%増)
▽中間利益 735億1100万円(105.3%増)
主力の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」は25.1%増の4517億円を売り上げ、抗がん剤「パドセブ」など5つの重点戦略製品で900億円の増収となった。25年3月期の業績予想は売上収益1兆8000億円(従来予想比1500億円増)▽営業利益800億円(320億円増)に上方修正。イクスタンジと重点戦略製品の好調な販売に加え、為替レートが想定より円安で推移したことで、従来予想を大きく上回る。
住友ファーマ(10月30日発表)
▽売上収益 1807億4900万円(前年同期比18.4%増)
▽営業利益 81億7900万円の赤字(前年同期は864億9800万円の赤字)
▽中間利益 322億2900万円の赤字(677億4100億円の赤字)
前立腺がん治療薬「オルゴビクス」(355億円、83.0%増)、子宮筋腫・子宮内膜症治療薬「マイフェンブリー」(60億円、45.4%増)、過活動膀胱治療薬「ジェムテサ」(252億円、59.6%)の基幹3製品が販売を拡大。販管費や研究開発費を大きく減らしたことで赤字幅は縮小した。25年3月期の業績予想は従来予想(売上収益3380億円、営業利益0円)を据え置いた。
JCRファーマ(10月30日発表)
▽売上高 166億5700万円(前年同期比31.4%減)
▽営業利益 7億3900万円の赤字(前年同期は68億9800万円の黒字)
▽経常利益 16億2100万円の赤字(71億2600万円の黒字)
▽純利益 6億9100万円の赤字(52億5300万円の黒字)
契約金収入や受託製造売り上げの減少に加え、腎性貧血治療薬「エポエチンアルファBS注『JCR』」「ダルベポエチンアルファBS注『JCR』」の売り上げ減少が響いた。25年3月期の業績予想(売上高413億円、営業利益54億円)に変更はない。
塩野義製薬(10月28日発表)
▽売上収益 2139億7000万円(前年同期比7.2%減)
▽営業利益 758億6900万円(22.7%減)
▽税引き前利益 938億3300万円(18.8%増)
▽中間利益 831億3300万円(8.2%減)
米国と欧州で抗菌薬「セフィデロコル」が伸び、抗HIV薬のロイヤリティ収入も拡大した一方、前年同期にADHD治療薬のライセンス移管に伴って武田薬品工業から受け取った一時金を計上した反動が出た。25年3月期の業績予想は、売上収益4600億円(5.7%増)、営業利益1650億円(7.6%増)と従来予想から50億円上方修正。抗HIV薬のロイヤリティ収入が伸びるほか、ネクセラファーマと販売提携した不眠症治療薬「クービビック」の貢献を見込む。