主要製薬企業の国内の新薬開発パイプラインを、2023年6月29日時点で各社が公表している情報をもとに企業別・疾患領域別にまとめました。(昨年7月時点の「[定点観測]主要製薬企業 国内新薬開発パイプライン|疾患領域編」はこちら)
P3~申請のパイプライン数最多はアストラゼネカ
内資系製薬企業28社、外資系製薬企業18社を対象に、2023年6月29日時点で各社がホームページなどで公表しているパイプラインを疾患領域別にまとめました。
疾患領域は、▽がん▽呼吸器▽循環器・代謝・腎▽消化器▽皮膚▽骨・関節▽その他免疫・炎症▽神経・筋▽精神・中枢神経▽眼▽疼痛▽血液▽感染症・ワクチン▽その他――の14に分類。新医療用配合剤は新規有効成分としてカウントし、後発医薬品やバイオシミラーは除外しました。なお、いつ時点の情報かは会社によって異なるため、承認・申請など直近のイベントが反映されていない場合があります。 |
集計対象の46社のうち、臨床第3相(P3)試験から申請の段階にあるパイプライン数(新規有効成分と適応拡大の合計)が10を超える企業は、内資系6社・外資系14社の計20社。昨年7月時点の集計と比べると、協和キリンがリストから外れ、大塚ホールディングス(HD)と塩野義製薬が新たに加わりました。
P3~申請のパイプライン数が最も多いのはアストラゼネカで、新規有効成分16、適応拡大31の計47。新規有効成分14、適応拡大20で計34となった中外製薬が続きました。両社ともがん領域が多くを占めています。新規有効成分に限ってみると、23のファイザーが最多。がんと感染症・ワクチンでそれぞれ8つ、7つのパイプラインを抱えています。
内資系企業28社の国内新薬開発パイプライン(疾患領域別)
内資系企業で最も開発パイプラインが多いのは第一三共です。抗HER2抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」など、注力するADCを中心にがん領域で37のパイプラインを開発中。第一三共のほか、武田薬品工業やアステラス製薬などの大手はがん領域への注力姿勢が現れており、武田やエーザイ、大塚HDは精神・中枢神経領域のパイプラインも目立ちます。
内資系企業28社のうちパイプライン数が10を超えたのは、感染症・ワクチンに力を入れる塩野義製薬や精神・中枢神経領域を注力する住友ファーマなど12社。中堅クラスの企業では、日本新薬やロート製薬などが10を超えるプロジェクトを進めています。一方、プロジェクト数が5を下回った企業は9社ありました。
外資系企業18社の国内新薬開発パイプライン(疾患領域別)
外資系企業は、内資系企業に比べて全体的にパイプラインが豊富です。ギリアド・サイエンシズとメルクバイオファーマを除く16社が2桁のパイプラインを抱えており、内資系企業と比べると領域も幅広い企業が多い印象です。
内資系企業と同様に、パイプラインが多いのはがん領域。アストラゼネカとアッヴィ、中外製薬、ファイザー、ブリストル・マイヤーズスクイブが20以上のプロジェクトを進行中で、アッヴィ、中外、ファイザーはP1段階にも多くのがん領域のパイプラインを揃えています。
がん以外では、アストラゼネカやノボノルディスクファーマが循環器・代謝・腎領域で多くの新薬を開発しているほか、ファイザーやMSD、グラクソ・スミスクライン(GSK)がRSウイルス感染症など感染症・ワクチン領域のパイプラインを開発中です。