国内の主要製薬企業の2022年度決算を、さまざまな角度からチャートを使って解説します。
【チャートで見る】国内製薬2022年度決算
(1)売り上げ・利益 |
武田とアステラス、売上高の8割が海外
東証プライム上場の主な製薬企業24社が2022年度決算(22年12月期、23年2月期、23年3月期)で開示した海外売上高(一部企業は編集部算出)をもとに、売上高全体に占める割合をチャートにまとめました。
海外売上高比率が最も高かったのは武田薬品工業(87.3%)、2番目に高かったのはアステラス製薬(82.7%)で、この2社が海外売上高比率が8割を上回りました。3番目は住友ファーマ(69.4%)で、以下、エーザイ(66.4%)、大塚ホールディングス(HD、62.3%)と続いています。
海外売上高の額では、武田薬品が3兆5154億円でトップ。アステラス(1兆2563億円)と大塚HD(1兆833億円)を含む3社が海外売上高1兆円を超えています。
集計対象とした24社のうち、海外売上高比率が50%を上回ったのは9社。抗体薬物複合体「エンハーツ」が好調な第一三共は、海外売上高が前期比53.0%増の7450億円まで拡大し、売上高に占める割合も前期から11.7ポイント上昇して58.3%に達しました。
米国で稼ぐ大手
地域別の売上高を詳細に開示している14社について、各地域の売上高と全体に占める割合をまとめたのが下のチャートです。
大手は米国を中心に稼いでいるところが多く、武田薬品は米国だけで2兆円あまりを売り上げ、全体の半分を米国が占めています。大塚HDも北米で44%、アステラスも米国で43%を売り上げました。売上高全体に占める米国(北米)の比率が最も高いのは64%の住友ファーマ。同社は米国で3285億円を売り上げましたが、このうち1985億円は抗精神病薬「ラツーダ」によるものです。
中堅クラスの企業は国内が収益の中心ですが、ゼリア新薬工業は主に欧州で潰瘍性大腸炎治療薬「アサコール」の販売が伸び、全体の47%を海外で稼ぎました。