製薬各社の2023年3月期第1四半期、23年2月第1四半期、22年12月期第2四半期の決算発表から、主な新薬開発パイプラインのステージアップと開発中止をピックアップ。随時更新(最終更新8月10日)。
INDEX
- 日本新薬(8月9日発表、23年3月期1Q)
- 明治HD(8月9日発表、23年3月期1Q)
- エーザイ(8月5日発表、23年3月期1Q)
- 協和キリン(8月4日発表、22年12月期2Q)
- 参天製薬(8月4日発表、23年3月期1Q)
- ゼリア新薬工業(8月4日発表、23年3月期1Q)
- 田辺三菱製薬(8月3日発表、23年3月期1Q)
- 大正製薬HD(8月3日発表、23年3月期1Q)
- アステラス製薬(8月1日発表、23年3月期1Q)
- 小野薬品工業(8月1日発表、23年3月期1Q)
- 塩野義製薬(8月1日発表、23年3月期1Q)
- 持田製薬(8月1日、23年3月期1Q)
- キッセイ薬品工業(8月1日発表、23年3月期1Q)
- 大塚HD(7月29日発表、22年12月期2Q)
- 第一三共(7月29日発表、23年3月期1Q)
- 鳥居薬品(7月29日発表、22年12月期2Q)
- 武田薬品工業(7月28日発表、23年3月期1Q)
- 中外製薬(7月21日発表、22年12月期2Q)
- 久光製薬(7月7日発表、23年2月期1Q)
日本新薬(8月9日発表、23年3月期1Q)
P3開始
【日本】ガザイバ(一般名・オビヌツズマブ)|ループス腎炎(適応拡大)
中外製薬と共同開発する抗CD20抗体。6月にループス腎炎への適応拡大に向けた国内P3試験を開始した。
【米国】CAP-1002|デュシェンヌ型筋ジストロフィー
ヒト心筋から作られる細胞医薬。分泌されるエクソソームにより、酸化ストレス、炎症、線維化を低減するほか、細胞エネルギーや筋細胞の生成を増加し、運動機能や心機能を改善すると期待される。提携先の米カプリコール・セラピューティクスが7月に米国でP3試験を開始した。日本新薬は今年1月に米国での販売権を取得している。
P1開始
【日本】NS-401(tagraxofusp)|芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍
21年3月にイタリア・メナリーニから導入したCD123を標的とする細胞毒素。7月にP1/2試験を開始。米国では18年に、欧州では21年に「Elzonris」の製品名で承認された。
明治HD(8月9日発表、23年3月期1Q)
パイプライン削除
【海外】ME1100(一般名・アルペカシン)|院内感染肺炎/人工呼吸器関連肺炎(P1)
アミノグリコシド系抗生物質アルペカシンの吸入製剤。米国で院内感染肺炎/人工呼吸器関連肺炎を対象にP1試験を行っていた。
エーザイ(8月5日発表、23年3月期1Q)
開発中止
【日米】エリトラン|新型コロナウイルス感染症による重症化抑制(P3)
Toll様受容体(TLR)拮抗薬。日本と米国でP3試験段階にあったREMAP-COVID試験を中止。
協和キリン(8月4日発表、22年12月期2Q)
承認
【カナダ】ポテリジオ(モガムリズマブ)|菌状息肉腫、セザリー症候群
自社創製の抗CCR4抗体。カナダで承認を取得した。22年6月現在、21カ国で発売されている。
【シンガポール】ロミプレート(ロミプロスチム)|再生不良性貧血
トロンボポエチン受容体作動薬。シンガポールで「免疫抑制療法に不応または免疫抑制療法が適用とならない再生不良性貧血」の適応で承認された。タイ、マレーシアでも申請中。
申請
【UAE、イスラエル】ポテリジオ(モガムリズマブ)|菌状息肉腫、セザリー症候群
アラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルで申請した。中国、韓国、クウェートでも申請済み。
P3開始
【日本、北米、欧州】KHK4083/AMG451(rocatinlimab)|アトピー性皮膚炎
自社創製の抗OX40抗体。米アムジェンと共同開発。6月にグローバルP3試験を開始したが、患者の利便性向上につながる投与方法を検討するため、症例登録を一時中断。試験プログラムの修正を行っている。
開発中止
【グローバル】KW-6356|パーキンソン病(日本P2)
パーキンソン病治療薬「ノウリアスト」の後継品として開発していた自社創製のアデノシンA2A受容体選択的拮抗薬/逆作動作用薬。国内で行ったP2試験で有効性が確認され、グローバルP3試験の開始に向けて各国の規制当局と協議を進めていたが、当局とのコミュニケーションの中で目標としていた製品像の達成が困難と判断。規制面の見通しや開発難易度、発売までのタイムラインなどを勘案し、開発中止を決めた。
【北米、欧州】KHK2455|固形がん(北米P1)、膀胱がん(北米・欧州P1)
自社創製のIDO1阻害薬。固形がんに対するポテリジオとの併用療法のP1試験(北米)と、膀胱がんに対する抗PD-L1抗体「バベンチオ」との併用療法のP1試験(北米、欧州)を行っていた。P1試験の結果から今後の承認取得可能性について検討し、開発を中止した。
参天製薬(8月4日発表、23年3月期1Q)
承認
【日本】ジクアスLX(一般名・ジクアホソルナトリウム)|ドライアイ
ドライアイ治療薬「ジクアス点眼液」の点眼回数を減らした持続製剤。6月に承認された。従来は1日6回の点眼が必要だったが、ジクアスLXは3回で済む。患者負担の軽減を期待。
申請
【米国】STN1011700/DE-117(オミデネパグ イソプロピル)|緑内障・高眼圧症
UBEと共同開発するEP2受容体作動薬。日本では「エイベリス点眼液」の製品名で販売されている。米国では昨年初めに一度申請したものの、委託製造施設が適正製造基準(cGMP)を満たしていないとして、米FDA(食品医薬品局)が承認を見送っていた。指摘への措置を講じ、5月に再申請した。
【アジア】STN1014000/PG-324(netarsudil mesylate/ラタノプロスト)|緑内障・高眼圧症
ROCK阻害薬netarsudil mesylateとプロスタグランジンF2α誘導体ラタノプロストの配合剤。5月にアジアで申請した。同薬は米アエリーから導入。参天は日本とアジア、欧州、中国などでの開発・販売権を持つ。
P3開始
【中国】STN1012700/DE-127(アトロピン硫酸塩)|近視
小児の近視の進行を抑制する非選択的ムスカリン受容体拮抗薬。6月に中国でP2/3試験を開始。日本でもP2/3試験を実施中。
ゼリア新薬工業(8月4日発表、23年3月期1Q)
申請(導出品)
【ドミニカ共和国】Z-338(一般名・アコチアミド)|機能性ディスペプシア
自社創製の機能性ディスペプシア治療薬。導出先のフィース・ファーマ(スペイン)がドミニカ共和国で申請を行った。チリ、コロンビア、ペルー、エクアドルでも同社が申請中。国内では「アコファイド」の製品名で販売されている。
田辺三菱製薬(8月3日発表、23年3月期1Q)
承認
【日本】カナグル(一般名・カナグリフロジン水和物)|慢性腎臓病(適応拡大)
自社創製のSGLT-2阻害薬。2型糖尿病を合併する慢性腎臓病への適応拡大が6月に日本で承認。
【米国】ラジカヴァORS(エダラボン)|筋萎縮性側索硬化症(新剤形)
フリーラジカル消去剤「ラジカヴァ」の経口懸濁剤。5月に米国で承認され、6月に販売を開始。患者の負担軽減を期待。
【アジア】ジスバル(バルベナジントシル酸塩)|遅発性ジスキネジア
米ニューロクライン・バイオサイエンシズから導入した小胞モノアミントランスポーター2阻害薬。7月にマレーシアで承認。日本では今年3月に承認され、6月から販売している。遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬などを長期間服用することで起こる、四肢や体幹の不随意運動を特徴とする神経障害。
申請
【日本】バリキサ(バルガンシクロビル塩酸塩)|症候性先天性サイトメガロウイルス感染症(適応拡大)
症候性先天性サイトメガロウイルス感染症への適応拡大を6月に申請。スイス・ロシュからの導入品。同薬は2018年に国内で承認され、後天性免疫不全症候群、臓器移植(造血幹細胞移植も含む)、悪性腫瘍でのサイトメガロウイルス感染症の治療と、臓器移植(造血幹細胞移植を除く)でのサイトメガロウイルス感染症の発症抑制の適応を持つ。
【スイス、カナダ】ラジカヴァORS(エダラボン)|筋萎縮性側索硬化症(新剤形)
スイスで4月、カナダで5月に申請。日本でも申請中。
P3開始
【日本】ユプリズナ(イネビリズマブ)|全身性強皮症(適応拡大)
アイルランドのホライゾン・セラピューティクスから導入した抗CD19抗体。全身性強皮症への適応拡大に向けたP3試験を7月に開始。同薬は昨年3月、視神経脊髄炎スペクトラム障害治療薬として日本で承認を取得している。
臨床入り
【日本】MT-3921|HTLV-1関連脊髄症
大阪大と共同で創製した抗RGMa抗体。新たにHTLV-1関連脊髄症を対象としたP1試験を開始。グローバルでは脊髄損傷を対象にP2試験が進行中。
大正製薬HD(8月3日発表、22年3月期1Q)
P3開始
【日本】TS-142|不眠症
大正製薬創製の経口不眠症治療薬。
アステラス製薬(8月1日発表、23年3月期1Q)
申請
【米国】ESN364(一般名・fezolinetant)|閉経に伴う血管運動神経症状
閉経に伴う血管運動神経症状に対するファーストインクラスの経口非ホルモン治療薬として、大型化を期待するNK3受容体拮抗薬。米国で6月に申請。KNDy(キスペプチン/ニューロキニン/ダイノルフィン)ニューロンに結合するニューロキニンB(NKB)をブロックし、脳の体温調節中枢(視床下部)のニューロン活動を緩和することで顔のほてりや寝汗といった症状を軽減する。欧州でも今年10~12月に申請を予定。
開発中止
【グローバル】ASP8062|オピオイド使用障害(P2)
自社創製のGABAB受容体陽性アロステリック修飾物質。オピオイド使用障害を対象に臨床第2相(P2)試験を行っていたが、戦略的な優先度の観点から開発を中止した。アルコール使用障害の適応で実施中のP1試験は継続。
小野薬品工業(8月1日発表、23年3月期1Q)
承認
【台湾】オプジーボ(一般名・ニボルマブ)|腎細胞がん(適応拡大)
主力の免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体。未治療の進行腎細胞がんに対するカボザンチニブとの併用療法で、5月に台湾で承認を取得した。日本や韓国、米国、欧州でも承認済み。
【日台】オプジーボ(ニボルマブ)|食道がん(適応拡大)
根治切除不能な進行・再発の食道がんに対する1次治療を対象に、▽抗CTLA-4抗体ヤーボイ(イピリムマブ)との併用療法▽フルオロピリミジン系・プラチナ系薬剤を含む化学療法との併用療法――が承認。米国でも今年5月に承認を取得した。食道がんではすでに、術後補助療法と2次治療での単剤療法が承認されている。
臨床入り
【米国】ONO-2020|神経変性疾患
自社創製のエピジェネティクス制御薬。米国で神経変性疾患に対するP1試験を開始した。
塩野義製薬(8月1日発表、23年3月期1Q)
P3開始
【日本】S-268019|新型コロナウイルス感染症の予防(学童)
開発中の組み換えタンパクワクチン。7月に5~11歳の小児を対象とする国内P1/2/3試験を開始した。成人や青少年を対象とする試験も進行中で、今年2月からPMDA(医薬品医療機器総合機構)との事前評価相談を行っている。
【グローバル】F901318(olorofim)|侵襲性アスペルギルス症
英F2Gから導入した新規抗真菌薬のジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害薬。5月に欧州、アジアでの開発・販売権を取得した。真菌の生育に必要なピリミジン合成経路を阻害することで殺真菌活性を示す作用を持ち、アゾール系抗真菌薬など既存薬が使用できない・効果不十分な患者への治療選択肢として期待される。F2Gと共同でグローバルP3試験を開始した。
導出
【日本】S-723595|非アルコール性脂肪肝炎
自社創製のアセチルCoAカルボキシラーゼ2(ACC2)阻害薬。日本で非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を対象とするP1試験を行っていたが、5月に米The Liver CompanyにS-723595とACC2インヒビタープログラムのグローバルでの開発・販売権を供与した。
持田製薬(8月1日、23年3月期1Q)
承認
【日本】エパデールEM(一般名・イコサペント酸エチル)|高脂血症
EPA製剤「エパデール」に製剤設計の工夫を施し、消化管吸収を高めた自己乳化型新規高純度EPA製剤。従来製剤は1日2~3回の服用が必要だが、エパデールEMは1日1回の投与で済む。6月に承認された。
キッセイ薬品工業(8月1日発表、23年3月期1Q)
承認(導出品)
【欧州】KLH-2109(一般名・リンザゴリクス)|子宮筋腫
自社創製のGnRHアンタゴニスト。導出先のスイス・オブシーバが6月に承認を取得した。7月に同社が会社更生手続きの開始を決め、キッセイは同社とのライセンス契約を解消。北米とアジア以外の地域で商業化権を持つ英セラメックスとのサブライセンス契約を譲り受ける。自社主導で来年の発売を目指す。
申請(導出品)
【香港】ホスタマチニブ|慢性特発性血小板減少性紫斑病
米ライジェルファーマシューティカルズから導入したチロシンキナーゼ阻害薬。サブライセンス先のインマジンバイオファーマシューティカルズ(中国)が香港で申請を行った。中国では同社が臨床試験の準備を進めている。
P3開始
【日本】KLH-2109(リンザゴリクス)|子宮筋腫
子宮筋腫を対象に国内で2本のP3試験を開始。1本は、過多月経の患者を対象にGnRH受容体作動薬と比較する試験で、もう1本は過多月経と疼痛症状を有する患者を対象としたプラセボ対照の試験。国内では子宮内膜症でもP2試験を行っている。
大塚HD(7月29日発表、22年12月期2Q)
承認
【日本】「ジェセリ」(一般名・ピミテスピブ)|消化管間質腫瘍
大鵬薬品工業が創製したHSP90阻害薬。がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍(GIST)の治療薬として6月に承認。HSP90を阻害することで、KIT、PDGFRA、HER2、EGFRといったタンパクを不安定化し、減少させる。P3試験では、プラセボとの比較で既治療の消化管間質腫瘍患者の無増悪生存期間を有意に延長した。
申請
【日欧】TAS-120(フチバチニブ)|胆管がん
大鵬薬品創製のFGFR阻害薬。日本では7月に申請。米国では3月に申請が受理されており、FDA(食品医薬品局)による審査終了目標日は今年9月30日に設定されている。
P3開始
【日米欧】VIS649(sibeprenlimab)|IgA腎症
買収した米ビステラが創製したAPRIL中和ヒト抗体。
臨床入り
【米欧】TAS6417|非小細胞肺がん
大鵬薬品創製の経口EGFR阻害薬。
開発中止
【米】AVP-786(重水素化デキストロメトルファン・キニジン)|間欠性暴発性障害(P2)
アバニア買収で獲得したNMDA受容体アンタゴニスト/セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害/シグマ1受容体アゴニスト。米国でP2試験を行っていたが、開発戦略上の理由で中止。
第一三共(7月29日発表、23年3月期1Q)
承認
【米欧】エンハーツ(一般名・トラスツズマブ デルクステカン)|HER2陽性乳がん2次治療(適応拡大)
第一三共が創製し、英アストラゼネカと共同開発している抗HER2抗体薬物複合体(ADC)。HER2陽性乳がんでは従来、3次治療以降が対象だったが、2次治療での使用について5月に米国、7月に欧州で承認。日本では昨年12月に申請。
申請
【日米欧】エンハーツ|HER2低発現乳がん(適応拡大)
化学療法後のHER2低発現乳がんを対象に、6月に日本と欧州で申請し、7月には米国でも申請が受理された。6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表されたP3試験の結果によると、ホルモン受容体陽性のHER2低発現乳がん患者では、治験医師選択薬投与群と比較して病勢進行または死亡のリスクを49%低下させた。
P3開始
【日米欧亜】DS-1062(ダトポタマブ デルクステカン)|トリプルネガティブ乳がん
自社創製の抗TROP2 ADC。アストラゼネカと共同開発。免疫チェックポイント阻害薬の治療候補とならない転移性・局所再発性の手術不能なトリプルネガティブ乳がんの1次治療を対象としたP3試験を6月に開始。
臨床入り
【米欧】DS-9606|固形がん
ターゲット非開示のADC。
【米国】DS-2325|ネザートン症候群
カリクレイン関連ペプチダーゼ5(KLK5)阻害薬。6月に米国でP1試験を開始。ネザートン症候群は、魚鱗癬、アトピー性疾患、毛髪の異常を特徴とする遺伝性の希少疾患。
鳥居薬品(7月29日発表、22年12月期2Q)
P3開始
TO-208|伝染性軟属腫
米Verrica Pharmaceuticalsから国内での独占的開発・商業化権を取得した、カンタリジンを有効成分とする外用剤。
武田薬品工業(7月28日発表、23年3月期1Q)
承認
【日本】アドセトリス(一般名・ブレンツキシマブ ベドチン)|CD30陽性ホジキンリンパ腫(小児)
抗CD30抗体薬物複合体(ADC)。小児に対する1次治療で、AVD(ドキソルビシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)との併用療法が承認された。成人では2018年に承認されている。
申請
【中国】TAK-672|後天性血友病A
ブタ第VIII因子製剤。仏イプセンと提携。欧米では「OBBIZUR」の製品名で承認済み。日本ではP2/3試験を実施中。
【米国】HYQVIA|原発性免疫不全症候群(小児)
米ハロザイムの技術を活用した遺伝⼦組換え型ヒトヒアルロニダーゼ含有免疫グロブリンG補充療法。成人では2014年に米国で承認済み。慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の維持療法の適応でも2022年度中に米国と欧州で申請を予定。
P3開始
【日本】ゼジューラ(ニラパリブ)|乳がん(適応拡大)
英グラクソ・スミスクライン(GSK)から導入したPARP1/2阻害薬。卵巣がん治療薬として承認済み。
【日本】TAK-620(maribavir)|臓器移植(造血幹細胞移植を含む)後のサイトメガロウイルス感染
GSKから導入したベンズイミダゾールリボシド系阻害薬。米国では「LIVTENCITY」の製品名で昨年承認された。
【日欧】アロフィセル(ダルバドストロセル)|難治性のクローン病に伴う複雑痔瘻(小児)
同種異系脂肪組織由来間葉系幹細胞の懸濁液。18年のTiGenix買収で獲得。欧州では18年、日本では21年にクローン病に伴う複雑痔瘻治療薬として承認された。小児を対象としたP3試験を開始。
臨床入り
TAK-280|B7-H3発現固形がん
B7-H3を標的とするT細胞誘導抗体。米マーベリック・セラピューティクスの買収で獲得。
申請取り下げ
【欧州】TAK-788(mobocertinib)|EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞がん
米アリアド買収で獲得したEGFR/HER2 阻害薬。欧州では2021年7月に申請を行ったが、欧州医薬品庁(EMA)との協議の結果、申請を取り下げた。米国では「EXKIVITY」の製品名で昨年承認。中国でも申請している。
開発中止
【米欧】アルンブリク(ブリグチニブ)|ALK陽性非小細胞肺がん(P3)
アリアド買収で獲得したALK阻害薬。ALK陽性非小細胞肺がんの2次治療を対象に行っていたアレクチニブとの直接比較試験を中止。主要評価項目で無益性解析の基準に該当したため。
TAK-994|ナルコレプシー(P2)
自社創製の経口オレキシン2型受容体選択的作動薬。安全性への懸念が生じ、昨年10月に患者への投与を中断していたが、臨床データを踏まえて開発を継続しないことを決めた。
TAK-039|クロストリジウム・ディフィシル感染症(P1)
カナダのNuBiotaと提携して開発している細菌コンソーシアム。クロストリジウム・ディフィシル感染症を対象にP1試験を行っていたが、ポートフォリオ最適化のため開発中止を決めた。今後は、肝性脳症を対象に開発を行う方針。
TAK-605|固形がん(P1)
武装化腫瘍溶解性ウイルス。戦略的理由から米ターンストーン・バイオロジクスとの開発提携を中止し、同社に全世界での権利を返還した。同社のプラットフォームを使って新規治療薬候補を特定する共同研究は継続する。
中外製薬(7月21日発表、22年12月期2Q)
承認
【日本】テセントリク(一般名・アテゾリズマブ)|非小細胞肺がんアジュバント療法(適応拡大)
免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体。非小細胞肺がんの術後補助療法に対するがん免疫療法は国内初。
【日本】ヘムライブラ(エミシズマブ)|後天性血友病A(適応拡大)
自社創製の抗f血液凝固第IXa/X因子バイスペシフィック抗体。インヒビター保有・非保有の先天性血友病A治療薬として承認されていたが、新たに後天性血友病Aの適応を取得。
P3開始
【日本】ガザイバ(オビヌツズマブ)|ループス腎炎(適応拡大)
日本新薬と共同開発する糖鎖改変型タイプII抗CD20抗体。現在、濾胞性リンパ腫治療薬として承認されており、慢性リンパ性白血病への適応拡大も申請中。
【グローバル】GYM329/RG6237|脊髄性筋萎縮症
抗潜在型ミオスタチンスイーピング抗体。経口薬「エブリスディ」との併用で国際共同P2/3試験を開始した。
開発中止
【日本】テセントリク(アテゾリズマブ)|卵巣がん(P3)
国際共同P3試験の結果を踏まえ、卵巣がんファーストラインを対象とした開発を中止。試験では、主要評価項目の1つである無増悪生存期間の延長を示せなかった。
【日本】RG6058(チラゴルマブ)|小細胞肺がん(P3)
テセントリク、化学療法との併用療法を評価した国際共同P3試験の結果を踏まえて開発を中止。試験では主要評価項目の1つである無増悪生存期間の延長を達成できず、もう1つの項目である全生存期間についても最終解析で有意差が出る可能性が低いと発表していた。
【日本】RG7880|炎症性腸疾患(P1)
ヒトIL-22融合タンパク。スイス・ロシュが行った海外臨床試験の結果を受け、炎症性腸疾患での開発を中止した。
久光製薬(7月7日発表、23年2月期1Q)
承認
【日本】ジクトルテープ(一般名・ジクロフェナクナトリウム)|腰痛症・肩関節周囲炎・頸肩腕症候群・腱鞘炎(適応拡大)
経皮吸収型の非ステロイド性疼痛治療薬。がん疼痛治療薬として21年に承認済み。
申請
【日本】HP-5070(オキシブチニン塩酸塩)|原発性手掌多汗症
オキシブチニン塩酸塩の塗布剤。23年度の承認取得が目標。