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【2022年3月期】国内主要製薬 決算ハイライト

更新日

国内主要製薬企業の2022年3月期決算のハイライトをまとめました。随時更新。(最終更新5月17日)

 

アステラス製薬(4月27日発表)

【売上収益】1兆2961億6300万円(前期比3.7%増)

【営業利益】1556億8600万円(14.4%増)

3期ぶりの増収。前立腺がん治療薬「イクスタンジ」(5343億円、16.6%増)や白血病治療薬「ゾスパタ」(341億円、42.9%増)などが伸びた。国内の売り上げは2588億円(7.3%減)。23年3月期は、売上収益1兆4430億円(11.3%増)、営業利益2690億円(72.8%増)を見込む。

 

第一三共(4月27日発表)

【売上収益】1兆448億9200万円(前期比8.6%増)

【営業利益】730億2500万円(14.5%増)

抗凝固薬エドキサバンが2056億円(23.9%増)、抗HER2ADC「エンハーツ」は654億円(117.1%増)を売り上げた。国内売上収益は4895億円(0.1%増)だった。23年3月期の業績予想は、売上収益1兆1500億円(10.1%増)、営業利益1050億円(43.8%増)。

 

参天製薬(5月10日発表)

【売上収益】2662億5700万円(前期比6.7%増)

【営業利益】358億8600万円(194.7%増)

主力の眼科用VEGF阻害薬「アイリーア硝子体内注射液」(724億8400万円、12.5%増)やドライアイ治療薬「ジクアス点眼液」(188億3500万円、30.8%増)が好調で、薬価改定などのマイナスをカバー。昨期に開発遅延により減損損失407億円を計上した反動で営業利益も大幅に増加した。23年3月期の業績予想は、売上収益2640億円(0.8%減)、営業利益342億円(4.7%減)。

 

ツムラ(5月10日発表)

【売上高】1295億4600万円(前期比11.3%増)

【営業利益】223億7600万円(15.4%増)

中国での生薬の販売が好調で、海外売上高は前期比56.9%増の99億7800万円。国内もe-プロモーションが奏功し、8.6%の増収となった。23年3月期は売上高1385億円(6.9%増)、営業利益208億円(7.0%減)を予想している。

 

キッセイ薬品工業(5月10日発表)

【売上高】653億8100万円(前期比5.3%減)

【営業利益】14億200万円の赤字(前期は15億500万円の黒字)

過活動膀胱治療薬「べオーバ錠」(81億4100万円、15.9%増)などが好調だったものの、薬価改定や輸出売り上げの減少が響いた。売上高の減少に加え、研究開発費を中心とする販管費の増加で営業利益は赤字。投資有価証券の売却益を計上するなどし、最終利益は129億2100万円を確保した。23年3月期は、売上高680億円(4.0%増)、営業利益28億円を見込む。

 

武田薬品工業(5月11日発表)

【売上収益】3兆5690億600万円(前期比11.6%増)

【営業利益】4608億4400万円(9.5%減)

主力の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」が5218億円(21.5%増)を売り上げたほか、帝人ファーマに糖尿病治療薬を売却して得た1330億円を売上収益に計上したことで大幅な増収となった。円安で販管費や研究開発費が膨らんだことなどが影響し、営業利益は減少した。23年3月期は売上収益3兆6900億円(3.4%増)、営業利益5200億円(12.8%増)を予想している。

 

小野薬品工業(5月11日発表)

【売上収益】3613億6100万円(前期比16.8%増)

【営業利益】1031億9500万円(4.9%増)

主力の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ点滴静注」が13.8%増の1124億円と伸びたほか、SGLT2阻害薬「フォシーガ錠」(367億円、64.0%増)などが好調だった。23年3月期は、売上収益4250億円(17.6%増)、営業利益1450億円(40.5%増)を見込む。

 

塩野義製薬(5月11日発表)

【売上収益】3351億3800万円(前期比12.8%増)

【営業利益】1103億1200万円(6.1%減)

抗うつ薬「サインバルタ」に後発医薬品が参入した影響で国内医療用医薬品は減収となったものの、抗菌薬「セフィデロコル」の売り上げや抗HIV薬のロイヤリティ収入が伸びた。新型コロナウイルス感染症の治療薬・ワクチンで研究開発費が膨らみ、営業利益は減少。23年3月期は、新型コロナ関連製品の収益貢献を見込み、売上収益4000億円(19.4%増)、営業利益1200億円(8.8%増)を計画している。

 

サワイグループHD(5月11日発表)

【売上収益】1938億1600万円(前期比3.5%増)

【営業利益】358億8800万円の赤字(前期は188億8800万円の黒字)

国内の2020年度収載品が好調だった一方、米国事業で減損損失を計上したことで利益は赤字となった。23年3月期は売上収益2070億円(6.8%増)、営業利益214億円を見込む。

 

日本新薬(5月11日発表)

【売上高】1375億4700万円(前期比12.8%増)

【営業利益】282億9900万円(8.3%増)

主力の骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病治療薬「ビダーザ」や肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」が好調だった。23年3月期から国際会計基準(IFRS)を適用し、売上収益1340億円、営業利益270億円を見込む。

 

キョーリン製薬HD(5月11日発表)

【売上高】1055億3400万円

【営業利益】50億700万円

22年3月期から「収益認識に関する会計基準」を適用しており、前期比は開示していない。同基準適用前の前期の売上高は1029億400万円、営業利益は57億8600万円だった。新型コロナウイルスの流行で呼吸器領域の一部製品が影響を受けたものの、新製品が堅調に推移し、国内売上高はほぼ横ばい。23年3月期は売上高1120億円(6.1%増)、営業利益55億円(9.8%増)を予想している。

 

科研製薬(5月11日発表)

【売上高】760億3400万円(前期比1.4%増)

【営業利益】170億6400万円(4.1%減)

主力の爪白癬治療薬「クレナフィン」は184億4900万円(3.9%減)と前年を下回ったが、後発医薬品や海外売上高の伸びで補った。販管費がかさみ営業利益は減少し、米社から導入したレナバサムに関する減損損失を計上したことで最終利益は28.8%の減益となった。23年3月期の業績予想は売上高764億円(0.5%増)、営業利益150億円(12.1%減)。

 

ゼリア新薬工業(5月11日発表)

【売上高】595億3200万円(前期比12.8%増)

【営業利益】63億6600万円(83.2%増)

潰瘍性大腸炎治療薬「アサコール」の海外販売や、クロストリジウム・ディフィシル感染症治療薬「ディフィクリア」などが伸びた。23年3月期は売上高660億円(10.9%増)、営業利益70億円(10.0%増)を計画している。

 

扶桑薬品工業(5月11日発表)

【売上高】496億3200万円(前期比0.8%増)

【営業利益】19億2400万円(18.2%減)

後発品の販売増などによって売り上げは伸びたが、薬価改定による原価率の上昇などが影響し、大幅な減益となった。23年3月期は、売上高500億円(0.7%増)、営業利益16億円(16.8%減)を見込む。

 

明治HD(5月12日発表、医薬品セグメント)

【売上高】1879億円(前期比2.9%減)

【営業利益】186億円(2.3%減)

同社は22年3月期から「収益認識に関する会計基準」を適用しており、同基準を前期の売上高に適用した場合、22年3月期は3.2%の増収となる。新型コロナウイルスの感染拡大によって前期落ち込んだ抗菌薬の販売が回復したほか、コロナワクチン関連のアストラゼネカからの受託収入が売り上げに寄与。一方、薬価改定の影響や研究開発費の増加により、営業利益は減少した。23年3月期は同セグメントで売上高1960億円(4.3%増)、営業利益185億円(0.8%減)を計画している。

 

帝人(5月12日発表、ヘルスケアセグメント)

【売上高】1836億円(前期比23.5%増)

【営業利益】432億円(37.0%増)

武田薬品工業から買収した糖尿病治療薬が寄与したほか、昨年、下肢痙縮の適応拡大が承認された「ゼオマイン」が堅調に拡大した。23年3月期の同セグメントの業績予想は、売上高1550億円(15.6%減)、営業利益260億円(39.8%減)。22年3月期に388億円を売り上げた高尿酸血症・通風治療薬「フェブリク」への後発医薬品参入が響く。

 

あすか製薬HD(5月12日発表)

【売上高】566億700万円(前期比2.6%増)

【営業利益】47億9500万円(32.9%増)

GnRHアンタゴニスト「レルミナ」や月経困難症治療薬「フリウェル」が大きく伸びたほか、甲状腺フルモン剤「チラーヂン」や抗菌薬「リフキシマ」が堅調だった。23年3月期は売上高575億円(1.6%増)、営業利益42億円(12.4%減)を見込む。

 

日本化薬(5月12日発表、医薬事業)

【売上高】520億8300万円(前期比3.3%増)

【セグメント利益】86億4500万円(16.2%増)

肺がん治療薬「ポートラーザ」やバイオシミラーなどが寄与し、増収増益となった。

 

JCRファーマ(5月12日発表)

【売上高】510億8200万円(前期比69.8%増)

【営業利益】199億3300万円(141.1%増)

昨年発売のムコ多糖症II型治療薬「イズカーゴ」が30億円を売り上げたほか、アストラゼネカから新型コロナウイルスワクチン原液の製造を受託したことで大幅な増収増益となった。23年3月期の業績予想は売上高450億円(11.9%減)、営業利益145億円(27.3%減)。

 

エーザイ(5月13日発表)

【売上収益】7562億2600万円(前期比17.1%増)

【営業利益】537億5000万円(4.3%増)

抗がん剤「レンビマ」が前期比43.6%増の1923億円と好調だったほか、米ブリストル・マイヤーズスクイブとの提携による一時金の受領や米メルクから支払われる販売マイルストンの増加によって増収増益となった。23年3月期は売上収益7000億円(7.4%減)、営業利益550億円(2.3%増)を見込む。

 

住友ファーマ(5月13日発表)

【売上収益】5600億3500万円(前期比8.5%増)

【営業利益】602億3400万円(15.4%減)

大塚製薬との精神神経領域での提携に伴う一時金を計上したことや、子会社のマイオバント、ユーロバントの新製品が寄与したことで増収。両子会社の販売活動が本格化したことなどに伴って販管費が増加し、営業利益は2桁の減少となった。23年3月期は売上収益5500億円(1.8%減)、営業利益240億円(60.2%減)を予想。北米での販売活動強化や円安による費用増で大幅な減益となる見込み。

 

田辺三菱製薬(5月13日発表)

【売上収益】3859億円(前期比2.2%増)

【営業利益】157億円の赤字(前期は585億円の赤字)

乾癬・クローン病・潰瘍性大腸炎治療薬「ステラーラ」や関節リウマチ治療薬「シンポニー」、ALS治療薬「ラジカヴァ」などが伸びた。開発中の変形性関節症治療薬「MT-5547」に関する減損損失158億円を計上し、営業利益は赤字となった。23年3月期は売上収益4095億円(6.1%増)、営業利益180億円の黒字を予想。子会社・メディカゴの新型コロナウイルスワクチンのなど収益寄与を見込む。

 

日医工(5月13日発表)

【売上収益】1790億6000万円(前期比4.9%減)

【営業利益】1099億7000万円の赤字(前期は1億700万円の黒字)

富山第一工場の出荷再開の遅れなどで売り上げは前期を下回り、▽収益見込みの低下に伴う固定資産の減損損失594億9000万円▽バイオシミラーやオーファンドラッグの開発費に関する無形資産の減損損失245億5700万円▽富山第一工場の製造再開の遅れに伴う棚卸資産評価損73億8900万円――を計上したことで赤字が拡大した。最終利益は1048億7400万円の赤字(前期は41億7900万円の赤字)。再建に向けて事業再生ADRを申請し、今後、金融機関などと事業再生計画について協議するため、23年3月期の業績予想の開示は見送った。

 

東和薬品(5月13日発表)

【売上高】1656億1500万円(前期比6.9%増)

【営業利益】192億500万円(3.6%減)

他社の品質問題に伴う代替需要で増収となった一方、薬価改定による原価率の悪化や販管費の増加により営業利益はマイナスとなった。23年3月期は、今年3月に買収した三生医薬の寄与により、売上高2125億円(28.3%増)、営業利益190億円(1.1%減)を予想している。

 

旭化成(5月13日発表、医薬・医療事業)

【売上高】1742億円(前期比12.8%増)

【営業利益】218億円(5.0%減)

骨粗鬆症治療薬「テリボン」(382億円、前期比23.1%増)や関節リウマチ治療薬「ケブザラ」(73億円、37.2%増)などが伸びたほか、新製品の免疫調整剤「プラケニル」も寄与した。23年3月期は同事業で売上高1940億円(11.4%増)、営業利益283億円(29.7%増)を計画している。

 

持田製薬(5月13日発表)

【売上高】1101億7900万円(前期比7.0%増)

【営業利益】143億9200万円(19.9%増)

抗うつ薬「レクサプロ」(167億円、前期比8%増)や潰瘍性大腸炎治療薬「リアルダ」(125億円、15%増)などが好調で、増収増益となった。23年3月期の業績予想は、売上高1050億円(4.7%減)、営業利益85億円(40.9%減)を予想。薬価改定が響く。

 

生化学工業(5月13日発表)

【売上高】348億5100万円(前期比25.7%増)

【営業利益】44億9500万円(99.9%増)

国内の医薬品販売は前期からほぼ横ばいだったが、海外子会社ダルトン・ケミカル・ラボラトリーズの業績が通期で寄与したことやロイヤリティ収入が大幅に増えたことなどで増収増益となった。23年3月期の業績予想は、「現在取り組んでいる関節機能改善剤ジョイクルのショック、アナフィラキシー発現に関する原因究明の進捗を見極める必要があり、現時点では合理的に算定することが困難」として公表を見送った。

 

日本ケミファ(5月13日発表)

【売上高】325億600万円

【営業利益】8億2500万円

22年3月期から収益認識に関する会計基準を適用しており、前期比は開示していない。同基準適用前の21年3月期の売上高は315億4100万円、営業利益は5億6400万円だった。新製品の寄与や他社の品質問題による代替需要で後発医薬品が好調だったほか、20年7月に導入した抗菌薬「クラリシッド」が通期で売り上げに貢献した。23年3月期は売上高350億円(前期比7.7%増)、営業利益3億円(63.7%減)を見込む。

 

ヤクルト本社(5月13日発表、医薬品製造販売事業)

【売上高】169億9200万円(前期比6.2%減)

【営業利益】26億3400万円(前期比13.8倍)

新型コロナウイルス感染症や薬価改定の影響で減収となったものの、営業費用の減少で大幅な増益となった。23年3月期は同事業で売上高140億円(17.6%減)、営業利益7億円(73.4%減)を見込む。

 

大正製薬HD(5月13日発表)

【売上高】2682億300万円(前期比4.9%減)

【営業利益】107億4300万円(46.2%減)

医薬事業の売上高は385億円(30.1%減)。中外製薬との提携終了に伴い骨粗鬆症治療薬「エディロール」の販売を終えたことが響いた。23年3月期の業績予想は売上高2805億円(4.6%増)、営業利益160億円(48.9%増)で、医薬事業は売上高369億円(4.3%減)を見込む。

 

わかもと製薬(5月16日発表)

【売上高】83億8300万円

【営業利益】1300万円の赤字

22年3月期から収益認識に関する会計基準を適用しており、前期との比較は開示していない。同基準適用前の前期の売上高は88億9500万円、営業利益は7億5400万円の赤字だった。医薬事業の売上高は51億4900万円(前期は56億1200万円)で、長期収載品の売り上げ減少などが響いた。23年3月期は、売上高85億円(1.4%増)、営業利益は9000万円の黒字を予想している。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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