各社公表の有価証券報告書をもとに、2021年版の製薬会社83社の平均年収ランキングをまとめました。1000万円の「大台」を超えたのは11社で、1位は5年連続でバイオベンチャーのソレイジア・ファーマ。2位は昨年5位のシンバイオ製薬、メーカートップは今年も第一三共でした。
新薬大手トップは第一三共
集計対象としたのは、7月29日時点で直近の事業年度の有価証券報告書を公表した国内の製薬会社83社。新薬メーカーのほか、後発品メーカーやOTC(一般用医薬品)メーカー、バイオベンチャーが含まれます。ランキングに用いたのは、2020年4月期~21年3月期の有価証券報告書に記載されている単体の平均年収。大半は21年3月期または20年12月期の数字です。
21年の平均年収ランキングで1位となったのは、ソレイジア・ファーマ。平均年収は1480.0万円(平均年齢49.9歳)でした。昨年から80万円のダウンとなりましたが、新規上場した2017年から5年連続のトップ。2位は1170.3万円(48.8歳)のシンバイオ製薬で、3年ぶりにトップ3にランクインしました。3位は1151.6万円(45.6歳)のそーせいグループ、4位は1149.8万円(52.4歳)のアンジェス。上位4社をベンチャーが占めました。
ソレイジアは、日本とアジアでがん領域の導入品を開発・販売する創薬ベンチャー。20年12月期の連結業績は、売上高4億5400万円(前期比65.4%減)、営業利益41億1600万円の赤字(前期は17億6200万円の赤字)でした。年収トップ4のベンチャーで20年度(いずれも20年12月期)の業績が黒字だったのはそーせいのみ。同社の営業利益は9億2800万円(141.7%増)で、2期連続の黒字化を達成しました。
一般的に「大台」とされる1000万円を超えたのは、これら4社を含めて11社。昨年8月に上場した遺伝子治療を手掛けるベンチャーのモダリスが1091.4万円で7位となった一方、大塚ホールディングス(HD)が昨年から40.7万円ダウンの991.6万円となり、大台を下回りました。
中外が80万円超のアップ
新薬大手5社では、年収アップが続く中外製薬が82.8万円(8.1%)の大幅増。平均年収は1100.1万円となり、5年前から164.7万円のアップとなりました。第一三共は9.8万円(0.9%)減となったものの、新薬大手でトップを維持。このほか、武田薬品工業が14.5万円(1.3%)、アステラス製薬が37.5万円(3.4%)の減少となりました。
集計対象企業(新規上場の6社を除く77社)の平均は763.6万円(42.7歳)で、前年(758.7万円、42.5歳)から約5万円アップ。前年から平均年収が増加したのは38社、減少したのは39社でした。
ニプロなど大幅増、アンジェスは125万円ダウン
前年からの増加額が最も大きかったのは、ランキング13位のペプチドリーム。昨年は決算期の変更に伴い19年7~12月の6カ月間の金額を年間換算した数値で前年から大幅にダウンする形となりましたが、今回は408.6万円(72.0%)増加して976.0万円となりました。2位は143.7万円(17.6%)増の大幸薬品で、決算期の変更に伴って9カ月間の金額を年間換算しています。増加額3位は中外製薬、4位はニプロで、いずれも80万円以上の増加となりました。
一方、前年からの年収ダウンが最も大きかったのはアンジェス。342.7万円アップした昨年から一転、125.2万円減少しました。同社の20年12月期業績は、新型コロナウイルスワクチンと米国でのHGF遺伝子治療用製品の開発費が膨らみ、55億9900万円の営業赤字(前期は32億7000万円の赤字)となりました。
このほか、昨年の集計では100万円以上アップしていたソレイジア・ファーマ、デルタフライファーマ、カルナバイオサイエンスが50万円を超えるダウン。大塚HDと塩野義製薬も40万円の減少となりました。
全83社のランキング
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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