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主要製薬企業 19年3月期、売上高は前期並みで着地へ―国内はマイナス4.4% 好調な海外で補う

国内の主要製薬企業の2019年3月期第3四半期決算が出そろい、各社の業績予想から今期の着地が見えてきました。

 

AnswersNewsが国内主要製薬企業13社の業績予想を集計したところ、19年3月期の売上高は前期比0.0%減、営業利益は2.4%増となる見込み。海外事業が好調だった反面、薬価改定や後発医薬品の普及で国内は軒並み減収となりました。

 

大手は軒並み減収予想 薬価改定や後発品普及が影響

AnswersNewsが、2019年3月期に連結売上高1000億円以上を予想する国内製薬企業13社の業績予想を集計したところ、13社の売上高予想は前期比0.0%減となりました。

 

主要製薬企業の2019年3月期業績見通しの表。<武田薬品工業>売上高:1,750,000百万円(前期比マイナス 1.2パーセント)、営業利益:268,900百万円(前期比11.2パーセント)。<アステラス製薬>売上高:1,300,000百万円(前期比マイナス 0.0パーセント)、営業利益:234,000百万円(前期比9.7パーセント)、研究開発費:216,000百万円(前期比マイナス 2.2パーセント)。<第一三共>売上高:910,000百万円(前期比マイナス 5.2パーセント)、営業利益:78,000百万円(前期比2.3パーセント)、研究開発費:215,000百万円(前期比マイナス 8.9パーセント)。<エーザイ>売上高:636,500百万円(前期比6.1パーセント)、営業利益:90,000百万円(前期比16.6パーセント)、研究開発費:147,000百万円(前期比5.3パーセント)。<大日本住友製薬>売上高:467,000百万円(前期比0パーセント)、営業利益:53,000百万円(前期比マイナス 39.9パーセント)、研究開発費:87,000百万円(前期比0.1パーセント)。<田辺三菱製薬>売上高:435,000百万円(前期比0.3パーセント)、営業利益:67,000百万円(前期比マイナス 13.3パーセント)、研究開発費:84,500百万円(前期比7パーセント)。<塩野義製薬>売上高:354,000百万円(前期比2.7パーセント)、営業利益:124,500百万円(前期比8.1パーセント)、研究開発費:68,500百万円(前期比14.3パーセント)。<小野薬品工業>売上高:280,000百万円(前期比6.9パーセント)、営業利益:63,500百万円(前期比4.6パーセント)、研究開発費:70,000百万円(前期比1.7パーセント)。<大正製薬HD>売上高:261,500百万円(前期比マイナス 6.6パーセント)、営業利益:33,000百万円(前期比マイナス 10.8パーセント)、研究開発費:20,600百万円(前期比マイナス 2.6パーセント)。<参天製薬>売上高:237,000百万円(前期比5.4パーセント)、営業利益:40,700百万円(前期比5.2パーセント)、研究開発費:25,000百万円(前期比2.5パーセント)。<キョーリン製薬HD>売上高:110,600百万円(前期比マイナス 0.0パーセント)、営業利益:8,200百万円(前期比マイナス 7.1パーセント)。<持田製薬>売上高:110,500百万円(前期比3.5パーセント)、営業利益:9,000百万円(前期比マイナス 22.8パーセント)。<日本新薬>売上高:108,000百万円(前期比6.5パーセント)、営業利益:18,500百万円(前期比8.3パーセント)、研究開発費:13,600百万円(前期比2.9パーセント)。<13社合計>売上高:6,960,100百万円(前期比マイナス 0.0パーセント)、営業利益:1,088,300百万円(前期比2.4パーセント)、研究開発費:947,200百万円(前期比マイナス 0.3パーセント)。

 

通期で1.2%の減収を見込む武田薬品工業は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」が第3四半期までで2010億円(前年同期比34.4%増)を販売。国内では、ARB「アジルバ」や抗潰瘍薬「タケキャブ」などが好調ですが、長期収載品を武田テバに売却したことなどから、国内医療用医薬品の売上高は第3四半期までで前年同期を1.3%下回っています。

 

武田は1月にアイルランド・シャイアーの買収を完了しましたが、現時点で損益影響や買収関連費用を合理的に見積もるのは困難と判断。従来の予想を据え置きました。シャイアー統合後の通期業績予想は今年4月に公表する予定です。

 

アステラス製薬は、主力の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」が通期で3259億円(10.7%増)まで伸びますが、国内医療用医薬品は5%減収で、通期の連結売上高は微減を予想。5.2%の減収を見込む第一三共は、抗凝固薬エドキサバン(日本製品名・リクシアナ)が1000億円を突破する見通しですが、ARBオルメサルタン(同・オルメテック)の特許切れの影響が尾を引きます。好調だった国内医療用医薬品も、特例拡大再算定を受けた抗潰瘍薬「ネキシウム」が落ち込み、減収に転じる見通しです。

 

小野「オプジーボ」ロイヤリティが5割増

一方、小野薬品工業は、免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」のロイヤリティ収入が伸び、通期で6.9%の増収を予想。同薬のロイヤリティは第3四半期までで前年同期比52.5%増加しました。

 

エーザイは抗がん剤「レンビマ」が通期で前期比2倍の640億円に達する見通し。同薬の開発・販売で提携する米メルクからのマイルストン収入もあり、増収増益を見込んでいます。

 

塩野義製薬は、抗HIV薬などのロイヤリティ収入が1806億円に達し、連結売上高は前期から2.7%増加する見込み。田辺三菱製薬は、17年に発売した筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「ラジカヴァ」が大きく売り上げを伸ばします。

 

国内医療用 開示の9社中8社で減収予想

海外事業が比較的好調に推移する反面、国内や薬価改定や後発医薬品の普及で各社とも苦戦しています。国内医療用医薬品の売上高予想を開示した9社中8社が減収を見込んでおり、合計では前期比4.4%減となる見通しです。

 

19年3月期の国内医療用医薬品売上高予想の表。<第一三共>国内医療用医薬品売上高:513,000百万円(前期比マイナス 5.0パーセント)。<アステラス製薬>国内医療用医薬品売上高:364,100百万円(前期比マイナス 5.0パーセント)。<エーザイ>国内医療用医薬品売上高:273,500百万円(前期比マイナス 0.4パーセント)。<田辺三菱製薬>国内医療用医薬品売上高:296,200百万円(前期比マイナス 4.2パーセント)。<参天製薬>国内医療用医薬品売上高:139,800百万円(前期比マイナス 0.9パーセント)。<大日本住友製薬>国内医療用医薬品売上高:130,000百万円(前期比マイナス 9.3パーセント)。<塩野義製薬>国内医療用医薬品売上高:119,300百万円(前期比マイナス 14.3パーセント)。<キョーリン製薬HD>国内医療用医薬品売上高:103,500百万円(前期比2.1パーセント)。<大正製薬HD>国内医療用医薬品売上高:79,400百万円(前期比マイナス 13.0パーセント)。

 

減収幅が14.3%と最も大きい塩野義製薬は、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」が第3四半期時点で99億円(通期は130億円を予想)を売り上げた一方、長期収載品の高脂血症治療薬「クレストール」が通期で66.9%減となる見通しです。

 

大正製薬ホールディングスは、抗菌薬「ゾシン」「クラリス」が落ち込み、国内医療用医薬品で13.0%の減収を予想。糖尿病治療薬「ルセフィ」など新薬も想定を下回って推移しており、通期の連結売上高予想を75億円下方修正しました。

 

キョーリン デザレックス自主回収で業績予想を下方修正

キョーリン製薬HDも、製造販売元の薬事手続きの不備で自主回収した抗アレルギー薬「デザレックス」の計画を81億円から48億円に下方修正。連結ではわずかに減収となる見通しですが、国内医療用医薬品は喘息治療薬「フルティフォーム」などの拡大で2.1%増となる予想です。

 

国内医療用医薬品の売上高でトップの第一三共は、特例拡大再算定を受けたネキシウムが12.2%減の760億円、オルメテックが68.6%減の140億円と落ち込む見通しです。大日本住友製薬は、昨年後発品が参入した高血圧症治療薬「アイミクス」が53.7%減の予想。田辺三菱製薬は、後発品子会社を売却した影響で、国内医療用医薬品全体で4.2%の減収を見込みます。

 

IQVIAによると、18年度の国内医療用医薬品市場は、4~6月が前年同期比1.3%減、7~9月が3.5%減。前回改定のあった16年度(4~6月が2.5%増、7~9月が2.4%減)と比べると、今期は特に厳しい状況にあることがわかります。

 

国内の減収を海外で補う構図が定着した日本の製薬業界。今年は10月に消費増税に伴う薬価改定が控えており、20年度以降は毎年薬価改定が行われることになります。IQVIAの市場予測によれば、向こう5年の日本市場の年平均成長率はマイナス3~0%。海外事業の重要性は、今後もますます高まっていくでしょう。

 

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