各社が公表した有価証券報告書をもとに、国内の製薬会社・バイオベンチャー88社の2023年度の平均年収ランキングをまとめました。1000万円の大台を超えたのは14社で、1位はバイオベンチャーのサンバイオ。大手新薬メーカーでは中外製薬が3年連続でトップとなりました。
昨年トップのネクセラが2位、3位はモダリス
集計対象としたのは、7月10日までに直近の事業年度の有価証券報告書を公表した国内の製薬会社88社。新薬メーカーのほか、後発医薬品メーカーやOTC(一般用医薬品)メーカー、バイオベンチャーが含まれます。
1位となったサンバイオの平均年収は1596.6万円で、前年から406.9万円(34.2%)増加。昨年の6位から5つ順位を上げました。2位は昨年1位だったネクセラファーマ。平均年収は1541.7万円で、前年から197万円(14.7%)増えました。3位は1385.2万円のモダリス、4位は1327.3万円のシンバイオ製薬、5位は1270万円のソレイジア・ファーマでした。
サンバイオの2024年1月期の業績は営業利益が45億3900万円の赤字(前期は78億9900万円の赤字)で、純利益も26億4400万円の赤字(前期は55億5900万円の赤字)。同期には米国子会社で整理解雇を行い、連結従業員数は前年度の半分以下に減りました。開発品の再生細胞薬「アクーゴ」(開発コード・SB623)は近く条件・期限付き承認を取得する見込みですが、「治験製品と市販製品との品質の同等性/同質性を評価し、必要な一部変更申請が承認されるまで出荷を行わない」との条件が課されることになっており、サンバイオはこれを満たして出荷が可能になるのは26年1月期第1四半期(25年2~4月)と想定しています。
上位20社のうち、平均年収が前年を上回ったのは14社。20社中8社が東証グロース市場に上場するベンチャー企業でした。
1000万円超は14社
一般的に大台とされる1000万円を超えたのは14社で昨年から1社増加。半数の7社はグロース上場企業です。
持株会社の大塚ホールディングス(HD)を除く大手新薬メーカー5社に絞って見てみると、1位は1198万円の中外製薬。前年から16.3万円(1.3%)減少しましたが、新薬大手では3年連続のトップです。23年12月期は新型コロナウイルス感染症治療薬「ロナプリーブ」の販売減で減収減益となったものの、その影響を除くと増収増益で、コアベースの最終利益は7期連続の増益を達成。一方で同年4月に募集した早期退職には374人が応募し、12月末時点の従業員数は前年から200人減少しました。
新薬大手で中外に続いたのは第一三共。前年度から6.5万円(0.6%)減となりましたが、1113.4万円で昨年に続いて2位となりました。3位のアステラス製薬は48.6万円(4.6%)増の1110.4万円で第一三共に接近。武田薬品工業は1081.3万円(15.9万円・1.4%減)、エーザイは1053.8万円(3.6万円・0.3%増)でした。
増加額トップもサンバイオ
前年からの増加額が最も大きかったのは、406.9万円(34.2%)増のサンバイオ。2位は197万円(14.7%)増のネクセラファーマで、3位は179.3万円(20.6%)増の坪田ラボでした。このほか、オンコリスバイオファーマとシンバイオ製薬が100万円を超える増加となりました。
増加額が大きかった10社のうち、プライム上場企業はネクセラファーマのみ。非上場のLTTバイオファーマを除く8社がグロース上場企業となっています。
一方、前年からの減少額が最も大きかったのは89.3万円(13.4%)減のステムリム。87.8万円(14.7%)減のクリングルファーマ、72.3万円(9.3%)減の千寿製薬と続きました。
プライム上場企業では、主力製品の特許切れや多額の減損損失で24年3月期に3000億円以上の最終赤字を計上した住友ファーマが36.5万円(4.0%)の減少。日本新薬も31.6万円(3.9%)の減少となりました。
全88社のランキング
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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