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2020年 国内承認取得数ランキング…トップは11承認の小野薬品、新規成分はノバルティスが6つで最多

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2020年に国内で承認された新薬(新医薬品)をAnswersNewsが企業別に集計したところ、承認数が最も多かったのは11の承認を取得した小野薬品工業でした。2位は承認数9のノバルティスファーマで、新規有効成分で最多となる6成分の承認を取得しました。

 

 

中外や武田など、上位はグローバル大手が中心

医薬品医療機器総合機構(PMDA)が年度別にまとめている「新医薬品の承認品目一覧」をもとに、2020年1月~12月に承認された新薬を「新規有効成分」と「その他(適応拡大や新投与経路など)」に分けて集計。新医療用配合剤は新規有効成分としてカウントし、再生医療等製品は除外しています。

 

【2020年 国内新薬承認取得数ランキング(~16位)】(再生医療等製品は除く。新配合剤は新規有効成分としてカウント)(主な承認製品の*は適応拡大など)(順位/社名/(承認数)合計/(承認数)新規有効成分/(承認数)その他/主な承認製品): 1/小野薬品工業/11/2/9/オンジェンティス |2/ノバルティスファーマ/9/6/3/ベオビュ |3/中外製薬/8/1/7/エンスプリング |4/武田薬品工業/7/4/3/ゼジューラ |5/アストラゼネカ/6/1/5/ロケルマ |6/MSD/5/3/2/ノクサフィル |6/日本イーライリリー/5/0/5/ルムジェブ* |6/ヤンセンファーマ/5/0/5/ステラーラ* |9/サノフィ/4/2/2/サークリサ |9/エーザイ/4/1/3/デエビゴ |9/グラクソ・スミスクライン/4/1/3/ダーブロック |9/ブリストル・マイヤーズスクイブ/4/0/4/ヤーボイ* |13/アッヴィ/3/1/2/リンヴォック |13/大塚製薬/3/0/3/サムスカ* |13/ファイザー/3/0/3/イブランス* |16/ギリアド・サイエンシズ/2/2/0/ベクルリー |16/日本たばこ産業/2/2/0/コレクチム |16/第一三共/2/1/1/エンハーツ |16/大日本住友製薬/2/1/1/ラツーダ |16/帝人ファーマ/2/1/1/ゼオマイン |16/日本新薬/2/1/1/ビルテプソ |16/バイエル薬品/2/1/1/ニュベクオ |16/アステラス製薬/2/0/2/イクスタンジ* |16/杏林製薬/2/0/2/ラスビック* |16/CSLベーリング/2/0/2/ピリヴィジェン* |16/全薬工業/2/0/2/リツキサン*

【2020年 国内新薬承認取得数ランキング(27位)】(再生医療等製品は除く。新配合剤は新規有効成分としてカウント)(主な承認製品の*は適応拡大など)(順位/社名/(承認数)合計/(承認数)新規有効成分/(承認数)その他/主な承認製品): |27/ヴィーブヘルスケア/1/1/0/ドウベイト |27/科研製薬/1/1/0/エクロック |27/サンファーマ/1/1/0/イルミア |27/ステラファーマ/1/1/0/ステボロニン |27/千寿製薬/1/1/0/アイラミド |27/田辺三菱製薬/1/1/0/バフセオ |27/ノーベルファーマ/1/1/0/メラトベル |27/富士薬品/1/1/0/ユリス |27/ムンディファーマ/1/1/0/アネレム |27/メルクバイオファーマ/1/1/0/テプミトコ |27/楽天メディカルジャパン/1/1/0/アキャルックス|27/あすか製薬/1/0/1/チラーヂン* |27/アルフレッサファーマ/1/0/1/モディオダール* |27/アレクシオンファーマ/1/0/1/ユルトミリス* |27/協和キリン/1/0/1/ルミセフ* |27/塩野義製薬/1/0/1/ゾフルーザ* |27/シオノギファーマ/1/0/1/オキシコンチン* |27/ノボ ノルディスクファーマ/1/0/1/リベルサス* |27/日本セルヴィエ/1/0/1/オニバイド* |27/日本臓器製薬/1/0/1/ツートラム* |27/日本ベーリンガーインゲルハイム/1/0/1/オフェブ* |27/久光製薬/1/0/1/フェントステープ* |27/フェリング・ファーマ/1/0/1/プロウペス* |27/持田製薬/1/0/1/ディナゲスト* |27/ユーシービージャパン/1/0/1/ビムパット* |※PMDAの「新医薬品の承認品目一覧」をもとに集計 |※後発医薬品とバイオシミラーは除く |※その他は、新効能、新剤形、新用量、新投与経路など

 

20年に新医薬品の承認を取得した51社のうち、承認数が最も多かったのは小野薬品工業でした。パーキンソン病治療薬「オンジェンティス」と抗がん剤「ベレキシブル」が新規有効成分として承認。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」は、食道がんと高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)の結腸・直腸がんに適応拡大しました。

 

2位は、承認数9となったノバルティスファーマ。新規有効成分としては、20年3月に加齢性黄斑変性症治療薬「ベオビュ」が、20年6月に▽気管支喘息治療薬「アテキュラ」▽同「エナジア」▽慢性心不全治療薬「エンレスト」▽MET遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん治療薬「タブレクタ」▽多発性硬化症治療薬「メーゼント」――の5つが承認されました。今回の集計には含めていませんが、再生医療等製品として脊髄性筋萎縮症向けの遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」の承認も取得しています。

 

3位は中外製薬で、新規有効成分の視神経脊髄炎スペクトラム障害治療薬「エンスプリング」が承認されたほか、適応拡大なども合わせて計8つの承認を取得。武田薬品工業が承認数7で続き、新規有効成分ではノバルティスに次ぐ4つの承認を取得しました。5位は承認数6のアストラゼネカ。9位までに入った上位12社のうち、小野と武田、エーザイ以外の9社はすべて外資系企業でした。

 

先駆け対象は5品目

新規有効成分に限ってランキングしてみると、トップは6成分の承認を取得したノバルティスで、2位は▽抗がん剤「カボメティクス」▽抗血栓薬「キャブピリン」▽フォン・ヴレブランド治療薬「ボンベンディ」▽抗がん剤「ゼジューラ」――の4成分の承認を取得した武田薬品工業。3位は▽抗真菌薬「ノクサフィル」▽抗HIV薬「ピフェルトロ」▽HPVワクチン「シルガード9」――の3成分が承認されたMSDでした。

 

【2020年 新規有効成分の国内承認数(企業別)】(再生医療等製品は除く、新配合剤も新規有効成分としてカウント)(★=先駆け審査指定制度対象品目、*=希少疾病用医薬品の指定品目)(承認数/社名/領域/製品名/ピーク時売上高予測(億円)): <6成分> ノバルティスファーマ 眼科/ベオビュ/294 |ノバルティスファーマ/呼吸器/アテキュラ/82 |ノバルティスファーマ/呼吸器/エナジア/251 |ノバルティスファーマ/循環器/エンレスト/141 |ノバルティスファーマ/がん/タブレクタ*/27 |ノバルティスファーマ/神経/メーゼント*/47 <4成分> 武田薬品工業/がん/カボメティクス/127 |武田薬品工業/消化器/キャブピリン/121 |武田薬品工業/血液/ボンベンディ*/9.8 |武田薬品工業/がん/ゼジューラ/196 <3成分> MSD/感染症/ノクサフィル/112(錠剤) |MSD/感染症/ピフェルトロ*/8.7 |MSD/ワクチン/シルガード9/薬価未収載 <2成分> 小野薬品工業/がん/ベレキシブル*/11 |小野薬品工業/神経筋/オンジェンティス/44 |ギリアド・サイエンシズ/感染症/ベクルリー/薬価未収載 |ギリアド・サイエンシズ/関節/ジセレカ/258 |サノフィ/代謝/ソリクア/32 |サノフィ/がん/サークリサ/45 |日本たばこ産業/皮膚/コレクチム/50 |日本たばこ産業/腎/エナロイ/15 <1成分> アッヴィ/関節/リンヴォック/283 |アストラゼネカ/腎/ロケルマ/158 |ヴィーブヘルスケア/感染症/ドウベイト*/23 |エーザイ/精神/デエビゴ/178 |科研製薬/皮膚/エクロック/38 |グラクソ・スミスクライン/腎/ダーブロック/111 |サンファーマ/皮膚/イルミア/38 |ステラファーマ/がん/ステボロニン★/29 |千寿製薬/眼科/アイラミド/37 |第一三共/がん/エンハーツ★/129 |大日本住友製薬/精神/ラツーダ/61 |田辺三菱製薬/腎/バフセオ/141 |中外製薬/神経筋/エンスプリング* 54 |帝人ファーマ/神経筋/ゼオマイン/16 |日本新薬/神経筋/ビルテプソ★*/54 |ノーベルファーマ/精神/メラトベル/11 |バイエル薬品/がん/ニュベクオ/182 |富士薬品/代謝/ユリス/41 |ムンディファーマ/その他/アネレム/13 |メルクバイオファーマ/がん/テプミトコ★*/25 |楽天メディカルジャパン/がん/アキャルックス★/38 |※PMDAの「新医薬品の承認品目一覧」をもとに集計。売上高予測は中医協資料

 

20年に承認された新規有効成分41品目のうち、中央社会保険医療協議会(中医協)の資料でピーク時売上高予測(薬価ベース)が100億円を超えたのは15品目。最高はノバルティスのベオビュ(294億円)で、アッヴィの関節リウマチ治療薬「リンヴォック」(283億円)、ギリアド・サイエンシズの同「ジセレカ」(258億円)が続きました。

 

先駆け審査指定制度の対象品目では、第一三共の抗HER2抗体薬物複合体「エンハーツ」(先駆け対象はHER2陽性胃がんの適応)や日本新薬のデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬「ビルテプソ」など5品目が承認を取得。エンハーツ(HER2陽性乳がんの適応)とビルテプソ、楽天メディカルジャパンの頭頸部がん治療薬「アキャルックス」は、条件付き早期承認制度のもとで承認されました。

 

がん領域の承認数が増加

20年に承認された新医薬品は、適応拡大などを含めて計128(前年比3増)となり、3年連続で増加しました。新規有効成分は42で、19年から2つ減少しています。

 

領域(PMDAが承認品目一覧で用いている「分野」)別でみると、「がん」が最多。適応拡大などを含め、19年に比べて10多い48の承認となりました。次いで多かったのは「呼吸器・アレルギー・炎症」(18)、「中枢神経・末梢神経」(15)でした。

 

投与経路医薬品としては、6製品が承認。うち、あすか製薬の甲状腺ホルモン剤「チラーヂンS静注液」と、武田のてんかん重積状態治療薬「ブコラム」(頬粘膜投与剤)は、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の評価に基づいて開発されました。日本イーライリリーの低血糖時救急治療薬「バクスミー」(点鼻粉末)やノボ・ノルディスクファーマの経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス」も、新たな選択肢として期待されています。

 

(亀田真由)

 

【AnswersNews編集部が製薬企業をレポート】
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