国内製薬各社の2023年3月期第4四半期、23年2月期第4四半期、23年12月期第1四半期の決算発表から、主な新薬開発パイプラインのステージアップと開発中止をピックアップ。随時更新(最終更新5月16日)。
INDEX
- エーザイ(23年3月期4Q、5月15日発表)
- 住友ファーマ(23年3月期4Q、5月15日発表)
- 大塚HD(23年3月期4Q、5月12日発表)
- 田辺三菱製薬(23年3月期4Q、5月12日発表)
- ヤクルト本社(23年3月期4Q、5月12日発表)
- 武田薬品工業(23年3月期4Q、5月11日発表)
- 参天製薬(23年3月期4Q、5月11日発表)
- 明治HD(23年3月期4Q、5月11日発表)
- 小野薬品工業(23年3月期4Q、5月10日発表)
- 塩野義製薬(23年3月期4Q、5月10日発表)
- 協和キリン(23年12月期1Q、5月10日発表)
- 科研製薬(23年3月期4Q、5月10日発表)
- キッセイ薬品工業(23年3月期4Q、5月8日発表)
- JT(23年12月期1Q、5月2日発表)
- アステラス製薬(23年3月期4Q、4月27日発表)
- 第一三共(23年3月期4Q、4月27日発表)
- 中外製薬(23年12月期1Q、4月27日発表)
- 久光製薬(23年2月期4Q、4月13日発表)
エーザイ(23年3月期4Q、5月15日発表)
P1開始
【米国】E2086|ナルコレプシー
自社創製の経口薬。
開発中止
【日米欧中】レンビマ|肝細胞がん1次治療ペムブロリズマブ併用(P3)
P3試験で主要評価項目(全生存期間と無増悪生存期間)を達成できず、開発を終了した。
【米欧中】レンビマ|マラノーマ1次治療ペムブロリズマブ併用(P3)
中間解析の結果、主要評価項目の1つである全生存期間(OS)の改善を示さないと独立データモニタリング委員会が判断。試験の中止を決めた。
住友ファーマ(23年3月期4Q、5月15日発表)
P3開始
【中国】ビべグロン|過活動膀胱
米国で「ジェムテサ」の製品名で販売しているβ3アドレナリン受容体作動薬。
P1開始
【米国】DSP-2342|未定
英エクセンシアのAI技術を使って創製した新規化合物。セロトニン5-HT2Aと5-HT7受容体へのアンタゴニスト活性を持ち、精神症状に幅広く有効性を示すと期待される。
【米国】SP-101|嚢胞性線維症
嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子を導入したAAVベクター。ドキソルビシンを添加することで気道上皮への送達とCFTR遺伝子の発現が大幅に改善されることが示されており、ドキソルビシンとともにネブライザー投与する吸入用懸濁液として開発している。
開発中止
【米国】URO-902|過活動膀胱(P2)
米イオン・チャネル・イノベーション由来の遺伝子治療。自社開発を中止し、導出を検討中。
【米国】SEP-378608|双極性障害(P1)
非臨床試験で気分の制御に関係する重要な脳領域での神経活動を調節する可能性が示唆され、P1試験を進めていたが、開発を中止。
大塚HD(23年3月期4Q、5月12日発表)
承認
【米国】レキサルティ(一般名・ブレクスピプラゾール)|アルツハイマー型認知症(AD)に伴うアジテーション(適応拡大)
大塚製薬が創製したドパミンD2受容体・セロトニン5-HT1A受容体パーシャルアゴニスト/セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト。同適応に対する初の抗精神病薬として5月に承認された。ADでは約半数の患者で介護者に対する暴言や暴力が見られるという。
【米国】ABILIFY ASIMTUFII(アリピプラゾール)|統合失調症、双極I型障害
大塚製薬創製のドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト作用を持つ抗精神病薬。4月に2カ月持続性注射剤が承認された。
申請
【中国】アイクルシグ(ポナチニブ)|慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病
米アリアド(武田薬品工業が17年に買収)が開発したBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬。3月に中国で申請した。
P3開始
【中国】OPC-1085EL(カルテオロール/ラタノプラスト)|緑内障
β受容体遮断薬カルテオロールとPGF2α誘導体ラタノプラストの配合点眼液。中国でP3試験を開始した。
【中国】ジファミラスト|アトピー性皮膚炎
大塚製薬が創製したPDE4阻害薬。日本では昨年発売。
【日本】ETC-1002(ベムペド酸)|高コレステロール血症
米エスペリオンが創製したATPクエン酸リアーゼ阻害薬で、大塚は20年4月に日本での独占開発販売権を取得。2月にP3試験を開始した。副作用などの理由でスタチンを服用できない患者への使用が期待され、米国や欧州では20年に承認された。
P1開始
【米国】ASTX660+ASTX727(tolinapant+decitabine/cedazuridine)|T細胞リンパ腫
米アステックスが創製したIAP阻害薬ASTX660と、DNAメチル化酵素阻害薬ASTX727の併用療法。2月にT細胞リンパ腫対象のP1試験を開始した。急性骨髄性白血病でもP1試験を進めている。
【日本】AB122 + TAS-120(zimberelimab+フチバチニブ)|固形がん
米アーカスから導入した抗PD-1抗体AB122と、大鵬薬品工業が創製したFGFR阻害薬フチバチニブの併用療法。1月にP1試験を開始した。
VIS171|自己免疫疾患
制御性T細胞を増幅させるインターロイキン-2の改変タンパク質。18年に買収した米ビステラが創製した。23年1月にP1開始。
開発中止
【欧州】レキサルティ|大うつ病、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(P3)
事業戦略を踏まえて欧州での開発を中止した。
【米国】AVP-786(重水素化デキストロメトルファン/キニジン)|統合失調症陰性症状(P2/3)
重水素化したデキストロメトルファンとキニジンの配合剤。15年の米アバニア買収で取得し、P2/3試験を進めていたが、開発戦略上の理由で開発を中止。
【日本】OPB-171775|固形がん(P1)
大塚製薬が創製。開発戦略上の理由で中止した。
田辺三菱製薬(23年3月期4Q、5月12日発表)
承認
【日本】ゴービック|百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオ、Hib感染の予防
既存の4種混合ワクチン(百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ混合ワクチン)「テトラビック」にヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)の抗原成分を加えた5種混合ワクチン。阪大微生物病研究会と共同開発し、3月に承認を取得。
【日本】バリキサ(一般名・バルガンシクロビル塩酸塩)|症候性先天性サイトメガロウイルス感染症(適応拡大)
抗サイトメガロウイルス化学療法剤。東京大医学部付属病院や日本大医学部付属病院など6つの医療機関の研究グループによって行われた医師主導治験の結果に基づいて3月に承認された。同疾患での承認は世界初。
P1/2開始
【日本】MT-2111(loncastuximab tesirine)|再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
22年1月にスイスのADCセラピューティクスから導入した抗CD19抗体薬物複合体(ADC)。日本でP1/2試験を開始した。
ヤクルト本社(23年3月期4Q、5月12日発表)
開発中止
【日本】YHI-1702(一般名・デュベリシブ)|濾胞性リンパ腫、成人T細胞白血病・リンパ腫(P2)
米セキュラ・バイオから導入したPIK-デルタ/ガンマ二重阻害薬。末梢性T細胞リンパ腫を対象とする国際共同P2試験は継続している。
武田薬品工業(23年3月期4Q、5月11日発表)
承認
【米国】タクザイロ(一般名・ラナデルマブ)|遺伝性血管性浮腫(小児適応)
血漿カリクレイン阻害薬。2月に2~6歳の小児に対する適応が米国で承認。
【日本】エンタイビオ(ベドリズマブ)|潰瘍性大腸炎(皮下注製剤)
2月、中等症から重症の潰瘍性大腸炎に対する維持療法の適応で皮下注製剤が日本で承認。
【米国】HYQVIA(IG Infusion 10%〈Human〉w/ Recombinant Human Hyaluronidase)|原発性免疫不全症候群(小児適応)
遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ含有免疫グロブリンG補充療法。4月に小児適応が米国で承認。
申請
【米欧】HYQVIA|慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(適応拡大)
米国で2月に、欧州で3月に適応拡大を申請。
【日本】アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン)|皮膚T細胞リンパ腫(適応拡大)
抗CD30抗体薬物複合体(ADC)。日本で2月に「再発または難治性のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫」への適応拡大を申請。
【欧州】アドセトリス|ステージIIIホジキンリンパ腫1次治療(適応拡大)
3月に欧州で適応拡大を申請。
【米国】TAK-113(fruquintinib)|大腸がん
中国のハッチメッドから導入した経口VEGFR阻害薬。転移性大腸がんを対象に3月に米国で申請。
【欧州】VEYVONDI(フォン・ヴィレブランド因子製剤)|フォン・ヴィレブランド病の予防(適応拡大)
日本での製品名は「ボンベンディ」。成人患者の予防に対する適応拡大を3月に欧州で申請。
【米国】ENTYVIO(ベドリズマブ)|潰瘍性大腸炎(皮下注製剤)
2019年12月に受領した審査完了報告通知で米FDAから指摘された事項に対応し、申請を再提出。4月に受理された。
【日本】TAK-662(乾燥濃縮人プロテインC)|重症先天性プロテインC欠乏症
「先天性プロテインC欠乏症に起因する静脈血栓塞栓症、電撃性紫斑病の治療および血栓形成傾向の抑制」の適応で4月に日本で申請。
P3開始
【日本】TAK-625(maralixibat)|アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症
米ミラム・ファーマシューティカルズから日本での開発・販売権を取得した胆汁酸トランスポーター阻害薬。2つの適応でP3試験を開始。
P1開始
TAK-647|非アルコール性脂肪肝炎
抗MAdCAM-1抗体。
開発中止
TAK-954|術後消化管機能障害(P2b)
5-HT4 受容体アゴニスト。P2b試験で評価項目未達。開発は継続せず、セラバンス・バイオファーマとの提携も終了することで合意。
TAK-018/EB8018(sibofimloc)|クローン病(P2a)
仏エンテローム・バイオサイエンシズとの提携で開発を進めていたFimHアンタゴニスト。P2a試験で評価項目を達成しなかった。
【米欧中】ニンラーロ(イキサゾミブ)|造血幹細胞移植未実施の初発の多発性骨髄腫の維持療法(P3)
試験の最終解析結果に基づき、米国と欧州では同適応での開発を継続しないことを決定。
【米欧】LIVTENCITY(maribavir)|造血幹細胞移植後のサイトメガロウイルス感染のファーストライン治療(P3)
規制当局と試験結果をレビューした結果、同適応での開発を中止。
【グローバル】タクザイロ|ブラジキニン介在性血管性浮腫(P3)
P3試験で主要評価項目を達成できなかった。
【日本】ゼジューラ(ニラパリブ)|乳がん(P3)
導入元の英グラクソ・スミスクラインがグローバルP3試験への患者登録を中止したことを受け、日本も中止に。
参天製薬(23年3月期4Q、5月11日発表)
申請
【中国】タプコム(一般名・タフルプロスト/チモロールマレイン酸塩)|緑内障・高眼圧症
プロスタグランジンF2α誘導体とβ遮断薬の配合剤。22年12月に中国で申請。
【日本】STN1011402(エピナスチン塩酸塩)|アレルギー性結膜炎(クリーム剤)
「アレジオン」として販売している抗ヒスタミン薬。1日1回塗布の眼科用クリーム剤を3月に日本で申請。
明治HD(23年3月期4Q、5月11日発表)
申請
【日本】ARCT-154|新型コロナウイルス感染症の予防
米アークトゥルス・セラピューティクスが開発したmRNAワクチン。成人の初回免疫を対象に4月に申請した。権利を持つ豪CSLセキーラスとの契約に基づき、日本での承認取得、流通、販売を担う。
P3開始
【日本・海外】OP0595(一般名・ナキュバクタム)|複雑性尿路感染症、急性単純性腎盂腎炎、カルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌感染症
自社創製の新規β-ラクタマーゼ阻害薬。日本を含むアジア、欧州、中東で国際共同P3試験を開始。β-ラクタム系抗菌薬との併用により、薬剤耐性菌であるカルバペネマーゼ産生腸内細菌目細菌への有効性が期待されている。
【日本・海外】ハイヤスタ(ツシジノスタット)|悪性黒色腫
米フヤバイオ・インターナショナルから導入した、エピジェネティックな作用を持つイムノモジュレーター。フヤバイオが抗PD-1抗体「オプジーボ」との併用療法に関する国際共同P3試験を開始。
小野薬品工業(23年3月期4Q、5月10日発表)
申請
【日本】オプジーボ(一般名・ニボルマブ)|悪性中皮腫(適応拡大)
3月に悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)への適応拡大を申請。悪性胸膜中皮腫に対してはオプジーボ単剤療法と抗CTLA4抗体「ヤーボイ」との併用療法が承認済み。悪性胸膜中皮腫を除く悪性中皮腫に対して承認された薬剤はない。
開発中止
【日本】ベレキシブル(チラブルチニブ塩酸塩)|全身性強皮症(P1)
自社創製のBTK阻害薬。国内で全身性強皮症への適応拡大に向けたP1試験を行っていたが、期待された有効性が確認できなかったため開発を中止。
塩野義製薬(23年3月期4Q、5月10日発表)
P3開始
【日本】ゾコーバ(一般名・エンシトレルビル フマル酸)|新型コロナウイルス感染症(小児適応)
自社創製の経口3CLプロテアーゼ阻害薬。5~11歳の小児を対象とした国内P3試験を開始。
【グローバル】ゾコーバ|新型コロナウイルス感染症の予防(適応拡大)
予防適応でグローバルP3試験を開始。
P1開始
【日本】S-892216|新型コロナウイルス感染症
自社創製の経口3CLプロテアーゼ阻害薬。ゾコーバの後継品として開発。
【日本】S-337395|RSウイルス感染症
UBEとの共同研究で創製した経口RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬。開発もUBEと共同で行っている。
【日本】S-151128|慢性疼痛
自社創製した新規作用機序を持つ注射薬。
開発中止
【日本、グローバル】S-600918(一般名・シボピキサント)|神経障害性疼痛(日本P1)、難治性・原因不明慢性咳嗽(グローバルP2)
自社創製の経口P2X3受容体アンタゴニスト。将来の成長ドライバーとして期待していたが、開発を中止した。
【日本】S-770108|特発性肺線維症(P1)
自社創製の抗線維化薬。吸入薬として開発を進めていたが、中止した。
協和キリン(23年12月期1Q、5月10日発表)
開発中止
【日本】RAT402(一般名・バルドキソロンメチル)|アルポート症候群(申請)、糖尿病性腎臓病(P3)、常染色体優性多発性嚢胞腎(P3)
米リアタから導入した低分子化合物。糖尿病性腎臓病を対象に行った国内P3試験では、eGFRの改善を認めたものの末期腎不全の発症を抑制する結果は得られず、専門医やPMDAとの協議も踏まえ、承認申請は困難と判断。同疾患のほか、アルポート症候群と常染色体優性多発性嚢胞腎を対象としたすべての開発を中止することを決めた。アルポート症候群では2021年に承認申請を行っているが、これも取り下げる。
【日本】ME-401(ザンデリシブ)|低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(P2)
米MEIファーマから導入し、共同開発しているPI3Kδ阻害薬。昨年12月に日本を除くグローバルでの共同開発中止を発表していたが、日本でも開発中止を決定した。
科研製薬(23年3月期4Q、5月10日発表)
P1開始
KP-910|末梢性神経障害性疼痛
セラデルバー|原発性胆汁性胆管炎
米シーマベイ・セラピューティクスからの導入品。選択的にペルオキシソーム増殖因子活性化受容体デルタ(PPARδ)に結合し、肝疾患で重要な代謝や病態進展の過程を調節するとされる。
チルダセルフォント|先天性副腎過形成症
米スプルース・バイオサイエンシズから導入した低分子の経口薬。副腎皮質刺激ホルモン放出因子1型受容体(CRF1受容体)に結合することで副腎皮質刺激ホルモンの産生を低下させ、副腎皮質で産生されるアンドロゲンを減少させる。
開発中止
ART-648|水疱性天疱瘡(P2)
2021年のアーサム・セラピューティクス買収でパイプラインに加わった新薬候補。今年4月、実施中のP2試験で治験薬の投与を受けた全被験者で主要評価項目の指標である「新規病変の形成休止」が認められず、組み入れが予定通り進んでいないことも踏まえて開発を中止すると発表した。
キッセイ薬品工業(23年3月期4Q、5月8日発表)
パイプライン削除
【米国】リンザゴリクス|子宮内膜症(P3)
自社創製のGnRHアンタゴニスト。米国では自社開発を行わず、他社との提携を検討することとしたためパイプラインから削除。
JT(23年12月期1Q、5月2日発表)
P1開始
【海外】JTV-161|肺動脈性肺高血圧症
自社創製の経口Pim-1阻害薬。Pim-1を阻害することで肺血管細胞の異常増殖を抑制する作用を持つ。
アステラス製薬(23年3月期4Q、4月27日発表)
承認
【米国】パドセブ(一般名・エンホルツマブ ベドチン)|転移性尿路上皮がん1次治療(適応拡大)
ネクチン-4を標的とする抗体薬物複合体(ADC)。抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用療法について、4月に米国で「局所進行または転移性尿路上皮がんで、シスプラチン不適応患者の1次治療」を対象に迅速承認を取得。従来は治療歴のある患者が対象だった。
申請
【中国】パドセブ|治療歴のある転移性尿路上皮がん
局所進行性または転移性の尿路上皮がんを対象とする申請が、3月に中国で受理された。対象はPD-1/PD-L1阻害薬、白金製剤を含む化学療法による治療歴のある患者。
開発中止
ASP9801|がん(P1)
鳥取大学との共同研究で創出したIL-7/IL-12搭載腫瘍溶解性ウイルス。P1試験を行っていたが、開発を中止した。
ASP7517|急性骨髄性白血病/骨髄異形成症候群(P2)、固形がん(P1)
理化学研究所との共同研究で見出されたWT1搭載の人工アジュバントベクター細胞。急性骨髄性白血病/骨髄異形成症候群を対象とするP2試験と、固形がんを対象とするP1試験をそれぞれ中止した。
ASP0739|がん(P1)
NY-ESO-1搭載の人工アジュバントベクター細胞。理化学研究所との共同研究により創出。がんを対象に行っていた開発を中止した。
ASP8731/ML-0207|鎌状赤血球症(P1)
2018年に子会社化した米マイトブリッジが創製したBACH1阻害薬。鎌状赤血球症を対象とする開発を中止。
FX-322|感音難聴(P2)
感音難聴を対象とする低分子医薬品。米フリークエンシー・セラピューティクスから米国を除く全世界の権利を取得していたが、P2試験で主要評価項目を達成できなかった。
第一三共(23年3月期4Q、4月27日発表)
承認
【中国】エンハーツ(一般名・トラスツズマブ デルクステカン)|HER2陽性乳がん2次治療
第一三共が創製し、英アストラゼネカと共同開発している抗HER2抗体薬物複合体(ADC)。今年2月、中国でHER2陽性乳がん2次治療を対象に承認を取得。ブレークスルーセラピーに指定され、優先審査を受けた。
【日本】エンハーツ|HER2低発現乳がん(適応拡大)
日本で3月に「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能または再発乳がん」への適応拡大が承認。HER2低発現乳がんに使用できる抗HER2療法は国内初。
【日本】フルミスト|経鼻インフルエンザワクチン
アストラゼネカ子会社のメディミューンから導入した経鼻弱毒生インフルエンザワクチン。経鼻投与のインフルエンザワクチンは国内初。2~19歳を対象に今年3月に承認された。
開発中止
【日本】DS-5141(レナジルセン ナトリウム)|デュシェンヌ型筋ジストロフィー(P2)
独自の修飾核酸ENAオリゴヌクレオチドを有効成分とする核酸医薬。臨床試験で一定の有効性を示したものの、現在のデータをもとに開発を先に進めるのは困難と判断した。先駆け審査指定制度の対象品目だが、今後、指定解除の手続きが行われる見込み。
【日本】DS-6016|進行性骨化性線維異形成症(P1)
埼玉医科大学との共同研究から生まれた抗ALK2抗体。関連抗体の非臨床試験で認められた潜在的な安全性リスクの解決に時間を要するため、競争力が失われると判断。開発を中止した。
中外製薬(23年12月期1Q、4月27日発表)
承認
【台湾】アクテムラ(一般名・トシリズマブ)|COVID-19肺炎(適応拡大)
自社創製の抗IL-6受容体抗体。入院中の新型コロナウイルス感染症の成人患者に対する治療薬として台湾で4月に承認された。コルチコステロイドの全身投与を受けており、酸素補給、人工呼吸器またはECMOを必要とする患者が対象。
申請
【日本】バビースモ(ファリシマブ)|網膜静脈閉塞症(適応拡大)
抗VEGF/Ang-2二重特異性抗体。4月に網膜静脈閉塞症(RVO)に伴う黄斑浮腫への適応拡大を申請した。
【日本】アクテムラ|悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群(適応拡大)
悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群の適応で2月に申請した。サイトカイン放出症候群は、CAR-T細胞療法や一部の抗体医薬によるがん治療で起こる副作用の1つ。2019年にはCAR-T細胞療法に伴うサイトカイン放出症候群の適応を取得している。
P3開始
【日本】RG6171(giredestrant)|乳がん1~3次治療
乳がんを対象に開発している経口選択的エストロゲン受容体分解薬。新たにエベロリムスとの併用療法に関するP3試験を開始した。
【日本】ガザイバ(オビヌツズマブ)|小児特発性ネフローゼ症候群(適応拡大)
日本新薬と共同開発・販売している糖鎖改変型タイプII抗CD20抗体。今年3月に小児特発性ネフローゼ症候群に対する国際共同P3試験を開始した。
【日本】バビースモ|網膜色素線条
3月に網膜色素線条症を対象とする国内P3試験を開始した。
P1開始
【グローバル】SAIL66|CLDN6陽性固形がん
自社創製の抗体医薬。CLDN6陽性固形がんのグローバルP1試験を4月に開始。
【グローバル】SKY59/RG6107(クロバリマブ)|ループス腎炎
自社創製の抗補体C5リサイクリング抗体。ループス腎炎を対象とするP1試験を開始した。
開発中止
【日本】テセントリク(アテゾリズマブ)|腎細胞がん2次治療(P3)
改変型抗PD-L1抗体。キナーゼ阻害薬カボザンチニブとの併用療法について、P3試験の結果を踏まえて腎細胞がん2次治療の開発を中止した。
【日本】RG7440(イパタセルチブ塩酸塩)|前立腺がん1次治療(P3)
AKT阻害薬。国際共同P3試験の結果を踏まえ、アビラテロンとの併用療法の開発を中止した。
久光製薬(23年2月期4Q、4月13日発表)
承認
【日本】アポハイドローション(一般名・オキシブチニン塩酸塩)|原発性手掌多汗症
独自の経皮薬物送達システム技術を使って開発したオキシブチニンの塗布剤。1日1回、就寝前に塗布する。原発性手掌多汗症の治療薬は日本初。