アストラゼネカ コロナ抗体「AZD7442」の国内治験を開始
アストラゼネカは3月31日、新型コロナウイルスに対する抗体カクテル製剤「AZD7442」の国内での臨床試験を開始したと発表した。同薬は昨年11月から予防適応の国際共同臨床第3相(P3)試験を、今年1月から治療適応の国際共同P3試験(TACKLE試験)を実施している。日本からもTACKLE試験に参加するとともに、日本人32人を対象とするP1試験を開始した。同社は昨年末から、日本への同薬の供給について政府と交渉を進めている。
同薬は米ヴァンダービルト大が開発。新型コロナウイルス感染症から回復した人が持つ2種類の抗体を模倣したもので、アストラゼネカの技術を用いて長時間の作用を実現した。
第一三共「スクエアキッズ」の販売中止、サノフィとの提携解消
第一三共は3月31日、ワクチン事業に関するサノフィとの2つの業務提携を終了すると発表した。4種混合ワクチン「スクエアキッズ」の販売を中止し、5種混合ワクチン「VN-0105」の共同開発を終了する。第一三共は、スクエアキッズに含まれる百日せきワクチン原液の製造トラブルにより、スクエアキッズの生産・供給を2019年度に停止。再開に向けて改善を検討してきたが、生産再開を断念した。第一三共は、契約終了に伴う損失補償としてサノフィに150億円を支払う。
アステラス 遺伝子治療で新組織、オーデンテスを統合
アステラス製薬は3月31日、4月1日付で米子会社オーデンテスを統合し、遺伝子治療に関する研究・開発・製造・コマーシャルの機能を集約した新組織「Astellas Gene Therapies」を設置すると発表した。オペレーションを効率化し、事業を加速させる。Astellas Gene Therapiesでは、オーデンテス由来の「AT132」(対象疾患・X連鎖性ミオチュブラーミオパチー)や「AT845」(ポンペ病)などの開発を行うとともに、アステラスが研究開発中のプログラムを臨床試験に進めることを目指す。
杏林 ビベグロンをエーザイにライセンス、ASEAN4カ国で
杏林製薬は3月31日、過活動膀胱(OAB)治療薬ビベグロン(国内製品名・ベオーバ)について、ASEAN(東南アジア諸国連合)4カ国での独占的開発・販売権をエーザイに供与するライセンス契約を結んだと発表した。対象国は、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ。両社は、杏林製薬が創製したOAB治療薬「ウリトス」のアジア展開でも提携している。
ノバルティス 完全バーチャルで情報提供、がん領域で開始
ノバルティスファーマは3月31日、完全なバーチャル環境で医療関係者との関係構築を行う「デジタル・エンゲージメント・リエゾン(DEL)」を開始すると発表した。MR経験を持つ社員が、ZoomやLINE、ウェブサイトといったデジタルプラットフォームを駆使し、医療関係者が望む時間に情報提供を行う。第一弾として、4月1日から血液がん、肺がん、悪性黒色腫を対象に始める。
「レンビマ」「キイトルーダ」併用療法、腎細胞がんで国内申請
エーザイとMSDは3月31日、抗がん剤「レンビマ」(一般名・レンバチニブ)と免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)の併用療法について、進行腎細胞がんの適応で申請したと発表した。両社は2018年からレンビマの開発・販売で提携しているが、国内で両剤の併用療法を申請するのは初めて。腎細胞がんに対する併用療法は、欧州でも申請を行っている。
小野「オプジーボ」尿路上皮がん術後補助療法への適応拡大を申請
小野薬品工業は3月31日、免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-1抗体「オプジーボ」(ニボルマブ)について、尿路上皮がんに対する術後補助療法への適応拡大を申請したと発表した。尿路上皮がんの適応では、米国と欧州、韓国、台湾で2次治療の承認を取得しているほか、グローバルで補助療法、一次治療の併用療法などのP3試験を行っている。
武田 OTC子会社の売却完了、約2300億円で
武田薬品工業は3月31日、OTC子会社・武田コンシューマーヘルスケア(TCHC)の売却が完了したと発表した。売却先は米投資ファンドのブラックストーン・グループで、売却額は約2300億円となる見通し。TCHCは武田の連結子会社を外れ、同日付で「アリナミン製薬」に社名を変更。社長には、元エーザイ副社長でブラックストーンのシニアアドバイザーを務める本多英司氏が就いた。
田辺三菱 カナグリフロジンめぐる米国の特許侵害訴訟で勝訴
田辺三菱製薬は3月31日、2型糖尿病治療薬カナグリフロジンをめぐる米国での特許侵害訴訟で、米ニュージャージー連邦地裁が「物質特許は有効」との判決を下したと発表した。判決は「特許満了の2027年7月14日まで、後発医薬品は承認されない」としている。田辺三菱は17年、後発品メーカー5社を相手取り、提携先の米ヤンセンと特許侵害訴訟を起こしていた。
田辺三菱 「MT-7117」全身性強皮症のP2試験を開始
田辺三菱製薬は3月31日、びまん性皮膚硬化型全身性強皮症治療薬候補「MT-7117」について、米国とカナダ、欧州でP2試験を開始したと発表した。同薬は、選択的メラノコルチン1受容体作動薬。現在、光線過敏症の既往を有する赤芽球性プロトポルフィリン症とX連鎖性プロトポルフィリン症を対象とするP3試験が行われている。
アステラス、新規結核治療薬創出へTBアライアンスと共同研究
アステラス製薬は3月31日、結核治療薬のリード化合物創出に向け、非営利団体TBアライアンスと共同研究契約を結んだと発表した。両者は2017年からスクリーニングによるヒット化合物探索プロジェクトを共同で進めてきた。今回の共同研究では、同プロジェクトで得られた化合物を活用し、リード化合物を創出することを目指す。グローバルヘルス技術振興基金から資金提供を受けて実施する。
GHIT Fund、マラリアや結核の治療薬開発に23億円投資
グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は3月31日、マラリアや結核の新薬開発10件に総額約23億円を投資すると発表した。新規の案件は▽リーシュマニア症を対象とするリード最適化(武田薬品工業など)▽熱帯熱マラリア原虫リジルtRNA合成阻害薬のリード最適化(エーザイなど)▽結核に対する化合物探索(第一三共など)▽新規マラリアワクチンの非臨床研究(大日本住友製薬など)――の4件。GHIT Fundでは現在、57件のプロジェクトが進行中で、今回の投資で累積投資額は約251億円となった。このうち、2020年度は総額41.6億円を投資した。
田辺三菱 8月に東京本社を移転
田辺三菱製薬は3月31日、8月に東京本社を三菱ケミカルホールディングス(HD)が入居するパレスビル(東京都千代田区)に移転すると発表した。三菱ケミHDとの連携を強化する狙い。移転後も大阪・東京の2本社制は継続する。田辺三菱は4月1日付で「働き方改革推進室」を設置することにしており、新オフィスも多様化する働き方に対応させる。
富士フイルムHD CDMO・創薬支援事業を重点事業化
富士フイルムホールディングス(HD)は3月31日、ヘルスケア事業の組織を再編すると発表した。CDMO・創薬支援を手掛ける「ライフサイエンス」と、医療機器などを扱う「メディカルシステム」に分け、「ライフサイエンス戦略本部」を新設。中長期的な成長が見込めるバイオ医薬品のCDMO事業、創薬支援事業を重点事業とする。
大塚 共同開発先がバダデュスタットを米国申請
大塚製薬は3月30日、HIF-PH阻害薬バダデュスタットについて、共同開発先の米アケビアが米国で申請を行ったと発表した。適応は、「透析期・保存期における成人の慢性腎臓病に伴う貧血」。同薬は米アケビアが創製。米国では両社が共同で販売を行う予定で、大塚は欧州などで販売権を持つ。日本では、ライセンスを持つ田辺三菱製薬が「バフセオ」の製品名で販売している。
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
・第一三共
・アステラス製薬
・キョーリン製薬ホールディングス(杏林製薬/キョーリンリメディオ)
・エーザイ
・小野薬品工業
・田辺三菱製薬
・大日本住友製薬
・武田薬品工業
・大塚ホールディングス(大塚製薬/大鵬薬品工業)