
2024年に国内で承認された新薬(新医薬品)をAnswersNewsが企業別に集計したところ、承認数が最も多かったのは11のアストラゼネカでした。新規有効成分に限ると、7つのファイザーがトップ。6つの承認を取得した武田薬品工業が続きました。
2位は承認数10のファイザー、3位はリリー
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が年度ごとにまとめている「新医薬品の承認品目一覧」をもとに、「新規有効成分等(新規有効成分、新医療用配合剤、既承認成分でも異なる製品として承認されたもの)」と「その他(適応拡大や新投与経路、新剤形など)」に分けて集計。再生医療等製品や診断薬は除外しており、後発医薬品やバイオシミラーも含まない |
2024年に新医薬品の承認を取得したのは56社で前年から7社増加。「新規有効成分等」で66、「その他」で82の新薬が承認されました。
承認取得数が最も多かったのは、承認数11(新規有効成分等3・その他8)のアストラゼネカでした。同社は新規有効成分としてRSウイルス感染症予防薬「ベイフォータス筋注」と新型コロナウイルス感染症治療薬「カビゲイル注射液」、乳がん治療薬「トルカプ錠」の承認を取得。その他では、抗IL-5受容体抗体「ファセンラ皮下注」が小児の重症気管支喘息と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に適応拡大したほか、抗PD-L1抗体「イミフィンジ点滴静注」の子宮体がんへの適応拡大などの承認を取得しました。
承認数10(新規有効成分等7・その他3)で2位となったのはファイザー。多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体「エルレフィオ皮下注」と乳がん・前立腺がん治療薬「ターゼナカプセル」のほか、▽RSウイルスワクチン「アブリスボ筋注用」▽ダニ媒介性脳炎ワクチン「タイコバック水性懸濁筋注」▽肺炎球菌ワクチン「プレベナー20水性懸濁注」――の3つのワクチンなどが承認されました。
3位の日本イーライリリーは承認数9(新規有効成分等4・その他5)。アルツハイマー病治療薬「ケサンラ点滴静注液」や肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注」といった注目の新薬が承認され、「オルミエント錠」が若年性特発性関節炎や小児のアトピー性皮膚炎に適応拡大するなどしました。
内資トップは4位の武田
内資系では、承認数8(新規有効成分等6・その他2)で4位の武田薬品工業がトップ。9位までの11社に入った内資は、同社と小野薬品工業(承認数4=その他4)だけでした。承認数6(新規有効成分等2・その他4)で7位の中外製薬を含め、上位のほとんどは外資系。2024年に承認された148の新医薬品を内資・外資に分けると、内資は58(新規有効成分27・その他31)、外資は90(新規有効成分39・その他51)で、約6割が外資の製品となりました。
希少疾病用医薬品(国内の対象患者数5万人未満かつ医療上の必要性の高い製品)に指定されたのは41(新規有効成分20・その他21)。公知申請で承認されたのは9(すべてその他)でした。このほか、先駆け審査指定制度(現・先駆的医薬品指定制度)のもとで、第一三共の抗がん剤「エザルミア」が末梢性T細胞リンパ腫への適応拡大の承認を取得しています。
2020~24年の5年間の累計承認取得数を見ると、トップは34のファイザーで、2021年以降は毎年7つ以上の承認を獲得。32の承認を取得した中外製薬とアストラゼネカが続きました。5年累計で10以上の承認を取得したのは20社でした。
新規有効成分 トップのファイザーは7成分、2位は武田
新規有効成分等に限ると、24年に承認されたのは38社66品目で、前年の30社35品目から大きく増加しました。承認数トップは、7成分のファイザー。2位は6成分の武田薬品で、3位は4成分の日本イーライリリーとヤンセンファーマでした。
ファイザーは、ワクチン・感染症領域で4つの承認を取得。武田薬品は、3月に血液領域で▽先天性血栓性血小板減少性紫斑病治療薬「アジンマ静注用」▽静脈血栓塞栓症・電撃性紫斑病治療薬「セプーロチン静注用」▽後天性血友病A治療薬「オビザー静注用」――の承認を取得しました。いずれもシャイアー買収で獲得したもので、このほかに中国ハッチメッドから導入した大腸がん治療薬「フリュザクラカプセル」が承認されています。
ヤンセンは「ライブリバント点滴静注」(非小細胞肺がん)、「バルバーサ錠」(尿路上皮がん)、「テクベイリ皮下注」(多発性骨髄腫)の3つが承認され、がん領域のラインアップを拡充しました。
24年に承認された新規有効成分等のうち、がん領域の新薬は20成分と全体の3割を占めました。
66成分のうち、各社が自社で創製(共同開発を含む)した品目は24。承認数トップのファイザーはアブリスボやエルレフィオなど4つの新薬を創製しました。同社のほか、リリーとヤンセン、ノーベルファーマ、エーザイ、サノフィの5社は複数の自社創製品の承認を取得しています。
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薬価基準未収載品や薬価収載前のものなどを除いた46品目のうち、中央社会保険医療協議会(中医協)の資料でピーク時売上高予測(薬価ベース)が100億円を超えたのは17品目。最高はリリーのケサンラ(796億円)で、アムジェンの活動性甲状腺眼症治療薬「テッペーザ点滴静注用」(494億円)、リリーのアトピー性皮膚炎治療薬「イブグリース」(266億円)が続きました。
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