
国内製薬各社の2025年3月期第3四半期、24年12月期第4四半期の決算発表から、主な新薬開発パイプラインの動きをピックアップ。随時更新(公開:1月31日、最終更新:2月12日)
INDEX
- 明治HD(25年3月期3Q、2月10日発表)
- エーザイ(25年3月期3Q、2月7日発表)
- 日本新薬(25年3月期3Q、2月7日発表)
- 鳥居薬品(24年12月期4Q、2月7日発表)
- 協和キリン(24年12月期4Q、2月6日発表)
- 参天製薬(25年3月期3Q、2月6日発表)
- アステラス製薬(25年3月期3Q、2月4日発表)
- 小野薬品工業(25年3月期3Q、2月3日発表)
- キッセイ薬品工業(25年3月期3Q、2月3日発表)
- あすか製薬HD(25年3月期3Q、2月3日発表)
- 第一三共(25年3月期3Q、1月31日発表)
- 塩野義製薬(25年3月期3Q、1月31日発表)
- 住友ファーマ(25年3月期3Q、1月31日発表)
- 武田薬品工業(25年3月期3Q、1月30日発表)
- 中外製薬(24年12月期4Q、1月30日発表)
明治HD(25年3月期3Q、2月10日発表)
承認
【欧州】IMULDOSA(一般名・ウステキヌマブ)|尋常性乾癬など
MeijiSeikaファルマが韓国の東亞STと共同開発している抗IL-12/23p40抗体「ステラーラ」のバイオシミラー。24年12月に欧州で承認を取得。日本と韓国、一部アジア地域を除く全世界の販売権をインドのインタス・ファーマシューティカルズにライセンスしている。
エーザイ(25年3月期3Q、2月7日発表)
承認
【米国】レケンビ(一般名・レカネマブ)|早期アルツハイマー病維持投与(用法用量追加)
抗アミロイドβプロトフィブリル抗体。18カ月の隔週投与の初期治療後に行う4週1回の維持投与が1月に米国で承認。
【中国】ユリス(ドチヌラド)|痛風
富士製薬から中国とASEAN5カ国の権利を取得した選択的URAT1阻害薬。昨年12月に中国で承認。
申請
【米国】レケンビ(レカネマブ)|早期アルツハイマー病維持投与(剤形追加)
皮下注射オートインジェクターによる週1回の維持投与に関する申請が1月に米国で受理。審査終了目標日は8月31日に設定された。
開発中止
【米国】lorcaserin|ドラベ症候群(P3)
米アリーナ・ファーマシューティカルズから導入したセロトニン2C受容体作動薬。2020年に米国で肥満症治療薬としての承認を取り下げたが、ドラベ症候群患者団体から要請を受けて延長アクセスプログラムを継続し、適応取得を目指してP3試験を行っていた。P3試験を中止し、パイプラインから削除。
【日本】EA4017|がん化学療法に伴う末梢神経障害(P1)
EAファーマの開発品。
パイプライン削除
【日本、米国】BB-1701|乳がん(P2)
抗HER2抗体に抗がん剤エリブリンを結合させた抗体薬物複合体(ADC)。中国のBliss Biopharmaceuticalにグローバルな開発権を付与し、エーザイが戦略的提携に向けたオプション権を持つ共同開発契約を結んでいたが、オプション権を行使せずBlissBioが単独で開発することになったため、パイプラインから削除。
日本新薬(25年3月期3Q、2月7日発表)
承認
【日本】ウプトラビ(一般名・セレキシバグ)|肺動脈性肺高血圧症(小児適応)
自社創製のプロスタサイクリン受容体作動薬。昨年12月に小児適応と小児用製剤が日本で承認。
鳥居薬品(24年12月期4Q、2月7日発表)
申請
【日本】TO-208|伝染性軟属腫
米ヴェリカ・ファーマシューティカルズからの導入品。24年12月に日本で申請。
協和キリン(24年12月期4Q、2月6日発表)
P1開始
【米国、欧州】KK8123|X染色体連鎖性低リン血症
抗FGF23抗体。グローバル開発品として昨年11月に欧米でP1試験を開始。
【日本】KK2845|急性骨髄性白血病
抗TIM-3抗体薬物複合体(ADC)。グローバル開発品として昨年10月に日本でP1試験を開始。
参天製薬(25年3月期3Q、2月6日発表)
承認
【日本】リジュセア(一般名・アトロピン硫酸塩)|近視
シンガポールの研究機関と共同開発したムスカリン受容体拮抗薬。昨年12月に日本で承認を取得した。近視の進行を抑制する薬剤は国内初。
申請
【日本】オキシメタゾリン塩酸塩|眼瞼下垂
米RVL Pharmaceuticalsから導入した直接作用型αアドレナリン受容体作動薬。昨年12月に日本で申請。
【アジア】ラタノプロスト|緑内障・高眼圧症
プロスタグランジンF2α誘導体の乳化点眼剤。アジアで昨年11月に申請。
P3開始
【中国】オミデネパグ イソプロピル|緑内障・高眼圧症
EP2受容体作動薬の1回使い切り防腐剤フリー点眼剤。中国で昨年11月にP3試験を開始。
【欧州】オキシメタゾリン塩酸塩|眼瞼下垂
昨年12月に欧州でP3試験を開始。
アステラス製薬(25年3月期3Q、2月4日発表)
承認
【中国】パドセブ(一般名・エンホルツマブ ベドチン)|尿路上皮がん1次治療(適応拡大)
抗ネクチン-4抗体薬物複合体。局所進行性・転移性尿路上皮がんの1次治療を対象とした抗PD-1抗体「キイトルーダ」(ペムブロリズマブ)との併用療法が1月に中国で承認。
【中国】ビロイ(ゾルベツキシマブ)|胃腺がん・食道胃接合部腺がん1次治療
抗Claudin(CLDN)18.2抗体。CLDN18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所性・転移性胃腺がん・食道胃接合部腺がんに対する1次治療(化学療法併用)の適応で、24年12月に中国で承認を取得。
開発中止
ASP2802|B細胞リンパ腫(P1)
CD20を標的とした自家convertible CAR-T。
ASP2016|フリードライヒ運動失調症に伴う心筋症(P1)
買収したオーデンテス・セラピューティクス由来の遺伝子治療。
小野薬品工業(25年3月期3Q、2月3日発表)
承認
【日本】オプジーボ(一般名・ニボルマブ)|尿路上皮がん1次治療(適応拡大)
抗PD-1抗体。昨年12月、尿路上皮がんの1次治療を対象とした化学療法(シスプラチンとゲムシタビン)との併用療法が日本で承認。
P1開始
【日本】ONO-7428|固形がん
韓国のNEX-Iから全世界の開発・商業化権を取得した抗ONCOKINE-1抗体。ONCOKINE-1はがん免疫療法抵抗性因子。昨年11月に日本でP1試験を開始。
【米国】DCC-3009|消化管間質腫瘍
買収した米デシフェラ・ファーマシューティカルズが開発するPan-KIT阻害薬。昨年12月に米国でP1/2試験を開始。
【日本】ONO-4915|自己免疫疾患
自社創製の抗PD-1/CD19二重特異性抗体。
開発中止
【日本、韓国、台湾】オプジーボ(ニボルマブ)|尿路上皮がん(P3)
尿路上皮がんを対象とした抗CTLA4抗体「ヤーボイ」(イピリムマブ)との併用療法の国際共同試験で主要評価項目を満たすことができず、パイプラインから削除。
【日本】ONO-2910|化学療法誘発抹消神経障害(P2)
自社創製のシュワン細胞分化促進薬。期待された有効性が確認できず開発を中止。2Qには糖尿病性多発神経障害でも開発を中止しており、ONO-2910はパイプラインから削除された。
【日本、韓国、台湾】ONO-4482(relatlimab)|肝細胞がん(P2)
米ブリストル・マイヤーズスクイブと共同開発している抗LAG-3抗体。オプジーボとの併用で肝細胞がんを対象とした国際共同試験(ブリストル主導)を行っていたが、期待していた有効性が確認できず、パイプラインから削除。
【日本】ONO-4578|膵がん(P1)
自社創製のプロスタグランジン受容体(EP4)拮抗薬。戦略上の理由により膵がんでの開発を中止。結腸・直腸がんと非小細胞肺がんを対象とした開発は継続している。
キッセイ薬品工業(25年3月期3Q、2月3日発表)
承認
【欧州】イセルティ(一般名・リンザゴリクス)|子宮内膜症(適応拡大)
自社創製のGnRHアンタゴニスト。導出先の英セラメックスが欧州で適応拡大の承認を取得。欧州では昨年9月に子宮筋腫治療薬として発売。日本ではキッセイが子宮筋腫を対象に申請の準備を進めているほか、子宮内膜症でP2試験を行っている。
開発中止
【日本】KSP-0243|潰瘍性大腸炎(P2)
自社創製の潰瘍性大腸炎治療薬候補。P2試験を行っていたが開発を中止。
あすか製薬HD(25年3月期3Q、2月3日発表)
P3開始
【日本】AKP-022(一般名・レルゴリクス/エストラジオール/酢酸ノルエチステロン)|子宮筋腫
武田薬品工業から導入したGnRH受容体拮抗薬レルゴリクスの配合剤。昨年12月に国内P3試験を開始。
第一三共(25年3月期3Q、1月31日発表)
承認
【米国】エンハーツ(一般名・トラスツズマブ デルクステカン)|化学療法未治療のHR陽性かつHER2低発現/超低発現乳がん(適応拡大)
抗HER2抗体薬物複合体(ADC)。米国で今年1月に適応拡大の承認を取得した。同適応では昨年8月に欧州で、同10月に日本で、それぞれ申請が受理されている。
【日本、米国】ダトロウェイ(ダトポタマブ デルクステカン)|HER2陽性かつHER2低発現または陰性乳がん
抗TROP2 ADC。HER2陽性かつHER2低発現または陰性乳がんの2次/3次治療を対象に、昨年12月に日本、今年1月に米国で承認。欧州と中国でも昨年3月に申請が受理されている。
申請
【米国】ダトロウェイ(ダトポタマブ デルクステカン)EGFR変異非小細胞肺がん(適応拡大)
昨年11月に米国で「EGFR遺伝子変異を有する、前治療歴 (EGFR標的療法を含む)のある局所進行または転移性の非小細胞肺がん」の適応で申請し、今年1月に受理。優先審査の指定を受け、審査終了目標日は今年7月12日に設定された。
P3開始
【日米欧亜】ダトロウェイ(ダトポタマブ デルクステカン)|早期非小細胞肺がん術後補助療法(適応拡大)
今年1月に試験開始。日本を含むアジア、欧州、北米、南米で660人の患者登録を予定。
【日米欧亜】ヴァンフリタ(キザルチニブ)|FLT3-ITD変異陰性急性骨髄性白血病1次治療(適応拡大)
FLT3に対するキナーゼ阻害薬。昨年12月に試験開始。日本含むアジア、オーストラリア、欧州、北米、南米で700人の患者を登録する。FLT3-ITD陽性急性骨髄性白血病の1次治療では23年に日米欧で承認を取得している。
申請取り下げ
【米欧】ダトロウェイ(ダトポタマブ デルクステカン)|非扁平上皮非小細胞肺がん2次/3次治療
米国で昨年2月、欧州で同3月に受理されていた申請を、それぞれ11月と12月に取り下げた。米国では取り下げと同時にEGFR変異非小細胞肺がんの適応で申請。
塩野義製薬(25年3月期3Q、1月31日発表)
申請
【豪州】フェトロージャ(一般名・セフィデロコルトシル酸塩硫酸塩水和物)|グラム陰性菌感染症
自社創製の細胞壁合成阻害作用を持つ抗菌薬。昨年12月にオーストラリアで申請。
【台湾】ゾコーバ(エンシトレルビル フマル酸)|新型コロナウイルス感染症
自社創製の3CLプロテアーゼ阻害薬。今年1月に台湾で申請。政府と備蓄契約も結んだ。
申請取り下げ
【韓国】ゾコーバ(エンシトレルビル フマル酸)|新型コロナウイルス感染症
最新データを追加して再申請するため申請を取り下げ。
住友ファーマ(25年3月期3Q、1月31日発表)
承認
【米国】ジェムテサ(一般名・ビベグロン)|前立腺肥大症を伴う過活動膀胱(適応拡大)
β3アドレナリン受容体作動薬。昨年12月に「薬物治療中の前立腺肥大症を伴う過活動膀胱」への適応拡大が米国で承認。
P1/2開始
【米国】DSP-3077|網膜色素変性
他家iPS細胞由来網膜シート。
開発中止
【中国】ビベグロン|過活動膀胱
ブリッジング不成立のため開発を中止。
武田薬品工業(25年3月期3Q、1月30日発表)
承認
【日本】ハイキュービア(一般名・人免疫グロブリン/ボルヒアルロニダーゼ アルファ)|無または低ガンマグロブリン血症
皮下注用人免疫グロブリン10%とボルヒアルロニダーゼ アルファの組み合わせ製剤。大量の皮下投与を可能にし、投与頻度を減少した。昨年12月に日本で承認。慢性炎症性脱髄性多発根神経炎と多巣性運動ニューロパチーへの適応拡大も申請中。
P3開始
【グローバル】ボンベンディ(ボニコグ アルファ)|フォン・ヴィレブランド病の予防(小児)
ヒトvon Willebrand因子製剤。小児の予防を対象としたP3試験を開始。
【日本】TAK-853(mirvetuximab soravtansine-gynx)|プラチナ製剤感受性卵巣がん
米イミュノジェン(同アッヴィが買収)から日本の権利を取得した抗葉酸受容体α抗体薬物複合体(ADC)。プラチナ製剤抵抗性卵巣がんでもP2試験が行われている。
【日米欧】TAK-226(elritercept)|骨髄異形成症候群に伴う貧血
米ケロス・セラピューティクスから中国を除く全世界でのライセンスを取得したアクチビンA/B阻害薬。導入に伴いパイプラインに追加。
P1開始
TAK-004|悪心、嘔吐
ペプチドアゴニスト。
開発中止
【欧州・日本】アロフィセル(ダルバドストロセル)|難治性のクローン病に伴う複雑痔瘻(小児、P3)
欧州での販売中止に伴い追加の開発を中止。
【欧州・日本】エンタイビオ(ベドリズマブ)|同種造血幹細胞移植を受けている患者における移植片対宿主病の予防(P3)
抗α4β7インテグリン抗体。新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に患者募集を早期終了。申請は行わず。
【日本】カボメティクス(カボザンチニブ)|転移性去勢抵抗性前立腺がん(P3)
抗PD-L1抗体アテゾリズマブとの併用療法について、臨床試験結果と自社の開発戦略に基づいて開発を中止。
【グローバル】TAK-935|ドラベ症候群(P3)
CH24H阻害薬。臨床試験で主要評価項目を達成できなかった。
TAK-500|固形がん(P1)
STINGアゴニストのADC。用量制限毒性により臨床試験を終了
中外製薬(24年12月期4Q、1月30日発表)
承認
【日本】ルンスミオ(一般名・モスネツズマブ)|濾胞性リンパ腫3次治療
ロシュから導入した抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体。昨年12月、「少なくとも2つの標準治療を受けたことのある再発または難治性の濾胞性リンパ腫」を対象に日本で承認。
申請
【日本】テセントリク(アテゾリズマブ)| 再発または難治性の節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型(適応拡大)
抗PD-L1抗体。24年10月に日本で申請。
P3開始
【日本】ルンスミオ(モスネツズマブ)|未治療の濾胞性リンパ腫(適応拡大)
レナリドミドとの併用で適応拡大に向けたP3試験を開始。
開発中止
【日本】テセントリク(アテゾリズマブ)|前立腺がん2次治療・早期乳がん周術期(P3)
前立腺がんを対象にカボザンチニブとの併用療法を評価したP3試験の結果を踏まえ、開発を中止。早期乳がん(周術期)でも、これまでの臨床試験結果を踏まえて開発を中止。
【日本】RG6058(チラゴルマブ)|非小細胞肺がん1次治療(P3)
抗TIGIT抗体。P3試験の結果を受け、非小細胞肺がんの1次治療を対象としたテセントリクとの併用療法の開発を中止。
ERY974|固形がん(P1)
自社創製の抗グリピカン3/CD3バイスペシフィック抗体。
RG6194|固形がん(P1)
抗HER2/CD3バイスペシフィック抗体。戦略上の理由で開発を中止。