武田、CAR-T開発で米アロイと提携/KMバイオのエムポックスワクチン、WHOが緊急使用承認 など|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2024年11月20日)
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AnswersNews編集部
武田と米アロイ、CAR-T/CAR-NK細胞治療の開発で提携
米国のバイオテクノロジー企業アロイ・セラピューティクスは11月20日、武田薬品工業と、iPS細胞由来CAR-T細胞(iCART)とiPS細胞由来CAR-NK細胞(iCAR-NK)の開発で提携すると発表した。アロイは、がん領域でのiCAR-T/iCAR-NK製品の商業化に関する共同独占権を取得。今後、武田からプラットフォームを導入し、製薬企業やバイオベンチャーとの提携を通じて製品を開発する。武田は今後もプラットフォームへのアクセスを維持し、将来の開発に生かしていく。アロイは、武田との提携を推進するため、湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)に日本法人を設立する。
KMバイオのエムポックスワクチン、WHOの緊急使用リストに登録
KMバイオロジクスは11月20日、エムポックスワクチン「乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16『KMB』」が、WHO(世界保健機関)の緊急使用リストに登録されたと発表した。緊急使用リストは、未承認のワクチンなどについて、現時点で得られている臨床データをもとに安全性や有効性、品質をWHOが審査してリスト化し、途上国などで早期に緊急使用できるようにする制度。登録されると、ワクチン供給を支援する国際機関などが途上国などに向けて調達しやすくなる。KMバイオロジクスは今後、MeijiSeikaファルマと連携してWHOの事前認証の取得を目指す。同ワクチンは2022年に日本でエムポックス予防の適応追加の承認を取得した。
カイオム、抗CX3CR1抗体を旭化成ファーマに導出
カイオム・バイオサイエンスは11月20日、非臨床の段階にある抗CX3CR1抗体について、旭化成ファーマとライセンス契約を結んだと発表した。カイオムは抗CX3CR1抗体を全世界で開発・製造・販売するための独占的な権利をサブライセンス権付きで旭化成ファーマに許諾。一時金2億円を受け取るほか、開発・販売のマイルストンとして最大約248億円を受け取る。発売後には売り上げに応じたマイルストンを受領する。CX3CR1はGタンパク質共役型受容体の1種で、これまでの研究では免疫系細胞の炎症局所への遊走を引き起こすCX3CR1/Fractalkine receptorの機能を阻害することが確認されている。
ヤンセン、多発性骨髄腫治療薬トアルクエタマブを申請
ヤンセンファーマは11月20日、T細胞リダイレクト二重特異性抗体トアルクエタマブを申請したと発表した。適応は、再発または難治性の多発性骨髄腫。同薬は、T細胞表面のCD3受容体と、多発性骨髄腫細胞表面に高発現するGタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)に結合し、多発性骨髄腫細胞にT細胞を誘導する。国際共同臨床第1/2(P1/2)試験では、T細胞リダイレクト治療薬による治療歴の有無に関わらず有効性を示した。米国では昨年8月に迅速承認を取得。欧州でも同月、条件付き販売承認を取得している。
リリー、アルツハイマー病薬「ケサンラ」26日発売
日本イーライリリーは11月20日、早期アルツハイマー病治療薬「ケサンラ点滴静注液」(一般名・ドナネマブ)を26日に発売すると発表した。同薬は抗N3pG アミロイドβ抗体で、脳内のアミロイドβプラークを除去し、認知機能とADL(日常生活動作)の低下を抑制する。アミロイドβプラークが除去された時点で投与を完了できるのが特徴で、除去が確認されない場合でも原則として最長18カ月で投与を完了する。臨床試験では、投与12カ月後にケサンラの投与を受けた被験者の66%で除去が確認された。薬価は20mL1瓶6万6948円。ピーク時に796億円の販売を見込む。
アムジェン、甲状腺眼症治療薬「テッペーザ」発売
アムジェンは11月20日、活動性甲状腺眼症治療薬「テッペーザ点滴静注用」(テプロツムマブ)を発売したと発表した。甲状腺眼症は、眼窩線維芽細胞で発現する甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体とインスリン様成長因子-1(IGF-1)受容体のシグナル伝達複合体を活性化する自己抗体によって引き起こされる疾患。テッペーザはIGF-1受容体を阻害することで効果を発揮する。薬価は500mg1瓶97万9920円。ピーク時に494億円の販売を見込む。
エーザイ、2新薬を発売…ALS薬「ロゼバラミン」と胆道がん薬「タスフィゴ」
エーザイは11月20日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「ロゼバラミン筋注用」(メコバラミン)と胆道がん治療薬「タスフィゴ錠」(タスルグラチニブコハク酸塩)を発売したと発表した。ロゼバラミンは、末梢性神経障害治療薬「メチコバール」として承認されているメコバラミンを転用した薬剤。医師主導P3試験の結果をもとに承認を取得した。「タスフィゴ」は、FGFR1、FGFR2、FGFR3に阻害活性を示す経口FGFR阻害薬。連続生産技術によって生産する。ロゼバラミンは27億円、タスフィゴは3.6億円のピーク時売上高を見込んでいる。
ヤンセン、初の肺がん領域製品「ライブリバント」など2新薬発売
ヤンセンファーマは11月20日、非小細胞肺がん治療薬「ライブリバント点滴静注」(アミバンタマブ)と、肺動脈性肺高血圧症治療薬「ユバンシ配合錠」(マシテンタン/タダラフィル)を発売したと発表した。ライブリバントはEGFRとMETを標的とする二重特異性抗体。適応は「EGFR 遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」で、化学療法と併用する。ヤンセンにとって初の肺がん領域の製品となる。ユバンシは、エンドセリン受容体拮抗薬マシテンタンとホスホジエステラーゼ5阻害薬タダラフィルの配合剤。ピーク時の販売予測は、ライブリバントが22億円、ユバンシが107億円。
ギリアド、抗TROP-2ADC「トロデルビ」発売
ギリアド・サイエンシズは11月20日、抗TROP-2抗体薬物複合体(ADC)「トロデルビ点滴静注用」(サシツズマブ ゴビテカン)を発売したと発表した。適応は「化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性(トリプルネガティブ)の手術不能または再発乳がん」。薬価は200㎎1瓶18万7195円で、ピーク時に93億円の販売を見込む。
大塚、ループス腎炎治療薬「ルプキネス」を発売
大塚製薬は11月20日、ループス腎炎治療薬「ルプキネスカプセル」(ボクロスポリン)を発売したと発表した。T細胞の増殖・活性化に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで免疫抑制作用を発揮する薬剤。大塚は米オーリニアから日本と欧州の開発販売権を取得している。薬価は7.9mg1カプセル778.60円。ピーク時に23億円の販売を予測している。
ブリストル、ROS1阻害薬「オータイロ」発売
ブリストル・マイヤーズスクイブは11月20日、ROS1阻害薬「オータイロカプセル」(レポトレクチニブ)を発売したと発表した。適応は「ROS1 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」。ROS1受容体チロシンキナーゼを阻害し、細胞増殖に関わるシグナル伝達を阻害することで抗腫瘍効果を示す。薬価は40mg1カプセル3468.30円で、ピーク時の販売予測は21億円。
ノバルティス「タフィンラー」「メキニスト」「ジャカビ」の小児用製剤発売
ノバルティスファーマは11月20日、BRAF阻害薬「タフィンラー」(ダブラフェニブメシル酸塩)とMEK阻害薬「メキニスト」(トラメチニブ)、JAK阻害薬「ジャカビ」(ルキソリチニブリン酸塩)の3つの薬剤で小児用製剤を発売したと発表した。小児用製剤の適応は、タフィンラーとメキニストの併用療法が「標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)」と「BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫」。ジャカビが「造血幹細胞移植後の移植片対宿主病」。
旭化成ファーマ「クレセンバ」に40mg製剤、27日発売
旭化成ファーマは11月20日、深在性真菌症治療薬「クレセンバカプセル」(イサブコナゾニウム硫酸塩)の40mg製剤を11月27日に発売すると発表した。従来の100mgカプセルより小さく、利便性やアドヒアランスの向上につなげる。