IQVIAは2月26日、2023年の国内医療用医薬品市場が前年比3.1%増の11兆2806億円だったと発表した。2年連続で過去最高を更新し、初めて11兆円を突破した。製品別の売上高ランキングでは、小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」がトップだった。
抗腫瘍剤、2兆円に迫る
市場の内訳は、▽病院(病床数100床以上)5兆2872億円(前年比4.1%増)▽開業医(100床未満)2兆1022億円(1.6%増)▽薬局その他3兆8912億円(2.6%増)――。抗腫瘍剤の増加で病院市場は前年の成長率を上回った一方、開業医市場は前年に新型コロナウイルス感染症の大きな流行があった反動で成長が鈍化。薬局その他市場はほぼ前年並みの成長率だった。
薬効別では、「抗腫瘍剤」が1兆9368億円(10.5%増)でトップ。MSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」、アストラゼネカの同「イミフィンジ」、ヤンセンファーマの多発性骨髄腫治療薬「ダラキューロ」などが2桁を超える成長で市場を牽引した。
2位は「糖尿病治療剤」(7147億円、6.8%増)、3位は「免疫抑制剤」(6109億円、8.4%増)。糖尿病治療剤はSGLT2阻害薬の「フォシーガ」「ジャディアンス」が伸びたほか、経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス」が売り上げを拡大。免疫抑制剤では、サノフィの抗IL-4/13受容体抗体「デュピクセント」やアッヴィのJAK阻害薬「リンヴォック」などが伸びた。新型コロナの流行で市場拡大が続いていた「診断用検査試薬」は昨年5月に感染症法上の分類が5類に変更された影響で22.4%減。一方、「全身性抗ウイルス薬」はインフルエンザの流行で42.7%増と大幅に増加した。
23年10~12月の市場は前年同期比2.1%増の3兆32億円。11四半期連続で前年同期を上回った。
トップ10に新顔4製品
製品売上高(薬価ベース)では、オプジーボが1662億円(9.0%増)でトップ。2位はキイトルーダ(1593億円、24.2%増)、3位は第一三共の抗凝固薬「リクシアナ」(1315億円、12.9%増)で、上位3製品は前年と同じ顔ぶれだった。
新たにトップ10にランクインしたのは、4位の新型コロナ治療薬「ラゲブリオ」(MSD)、6位のイミフィンジ、9位のフォシーガ、10位の免疫チェックポイント阻害薬「テセントリク」(中外製薬)。ラゲブリオは前年比156.5%増、イミフィンジは115.5%増と2倍以上の伸びとなった。
上位10製品のうち売り上げが1000億円を超えたのは6製品。前年から1製品増加した。
23年10~12月の製品売上高は、キイトルーダが435億円(25.2%増)でトップ。2位はオプジーボ(427億円、3.5%増)、3位はリクシアナ(360億円、14.0%増)だった。同年7~9月期に3製品がランクインしていた新型コロナ治療薬はトップ10から姿を消した。
中外 販促会社レベルで3年連続首位
企業別の売上高ランキングでは、販促会社レベル(MRによる学術宣伝を通じて販促活動を行っている企業。2社以上ある場合はよりオリジネーターに近い企業)で中外製薬が3年連続の首位。売上高は5461億円で、前年から3.7%伸びた。2位にはアストラゼネカが前年3位から浮上。3位の第一三共も前年から順位を1つ上げた。前年2位の武田薬品工業は8.2%減で5位に下げた。
販売会社レベル(卸に製品を販売し、その代金を回収する機能を持つ企業)のランキングでは、武田薬品工業がトップ。2位は第一三共、3位は中外製薬で、上位3社は前年と同じだった。4位には前年から1つ順位を上げたMSDが入った。