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ニュース解説

国内主要製薬会社 売り上げの53.7%が海外に…業績支えるグローバル製品の動向は

2018年度、国内の主要製薬会社12社の海外売上高比率は53.7%に達し、前年度から3.7ポイント上昇しました。国内市場が停滞する中、海外事業の重要性はますます高まっています。各社の業績を牽引するグローバル製品を中心に、各社の最近の海外事業の動向をまとめました。

 

主要12社 海外売上高13.5%増

AnswersNewsが国内の主要製薬企業12社の業績を集計したところ、18年度の海外売上高は前年度から13.5%増加しました。ARBオルメサルタンの特許切れが尾を引く第一三共を除く11社が増収で、半数の6社は2ケタ増収。海外売上高比率は前年度比3.7ポイント増の53.7%まで上昇しました。

 

国内主要製薬会社 海外売上高比率の推移を表した図表

 

海外売上高トップの武田薬品工業は、1月に買収を完了したアイルランド・シャイアーを連結したことで、海外売上高は前年度から28.2%増加。売上高に占める割合は前年度から5.6ポイント上昇して72.8%に達し、国内の比率は3割を切って27.2%まで低下しました。

 

18年度、主要12社の海外売上高が2ケタ増収となったのは、武田によるシャイアー買収が大きく影響しています。武田を除く11社で見てみると、海外売上高は7.8%増、海外売上高比率は2.5ポイント増の47.9%となります。

 

2位のアステラス製薬は、前立腺がん治療薬「イクスタンジ」が好調で、海外売上高は3.5%増収。海外売上高比率は2ポイント上昇して69.6%となりました。抗精神病薬「ラツーダ」が伸びる大日本住友製薬も海外売上高比率が6割を超えています。

 

小野や中外など大幅増

海外売上高が前年度から大きく伸びたのは、武田のほか、小野薬品工業(40.6%増)や中外製薬(28.4%増)、塩野義製薬(17.4%増)、エーザイ(16.2%増)など。小野は免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」のロイヤリティ収入が大幅に増え、中外は関節リウマチ治療薬「アクテムラ」や抗がん剤「アレセンサ」のスイス・ロシュ向け輸出が好調。エーザイは抗がん剤「レンビマ」で提携する米メルクからの一時金やマイルストン収入が貢献しました。

 

イクスタンジが3000億円突破、リクシアナもブロックバスターに

各社の海外事業を支えるグローバル製品の動向を見てみましょう。

 

国内製薬会社の主なグローバル製品の売上高(18年度)の表

 

武田は、潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」が33.7%増の2692億円まで拡大。多発性骨髄腫治療薬「ニンラーロ」や大うつ病治療薬「トリンテリックス」なども2ケタ増収となりました。

 

アステラスはイクスタンジが3331億円(13.2%増)と初めて3000億円を突破しました。18年度は早期ステージでの使用が進んだことで順調に拡大。19年度は非転移性の去勢抵抗性前立腺がんの適応で浸透を図る方針で、3642億円の売り上げを計画しています。過活動膀胱治療薬「ベタニス」も17.0%増の1472億円と好調です。

 

大塚HD グローバル3製品が大幅増

大塚ホールディングス(HD)は、“グローバル3製品”と位置づける抗精神病薬「エビリファイメンテナ」、同「レキサルティ」、利尿薬「サムスカ/ジンアーク」が、そろって大幅な増収。エーザイは、肝細胞がんの適応を取得したレンビマが倍増しました。第一三共はARB「オルメテック」が後発医薬品の影響で減少した一方、抗凝固薬「リクシアナ」が5割を超える成長で1000億円を突破。協和発酵キリンは、グローバル製品として18年に欧米で発売したX染色体遺伝性低リン血症治療薬「クリスヴィータ」が77億円を売り上げました。

 

中外製薬は、アクテムラとアレセンサが、スイス・ロシュ向けの輸出を中心に大きく拡大。特にアレセンサは前年度から倍増しました。ロシュの決算発表によると、18年(1~12月)の両剤の世界売上高は、アクテムラが前年比12%増の21億6000万スイスフラン(約2441億円)、アレセンサが76%増の6億3700万スイスフラン(約720億円)と、いずれも大型化しています。

 

小野 オプジーボのロイヤリティが1.5倍に

主要12社の中で海外売上高の伸びが最も大きかった小野は、米ブリストル・マイヤーズスクイブからのオプジーボのロイヤリティ収入として585億円(47.0%増)を計上。米メルクからは、抗PD-1抗体「キイトルーダ」に関するロイヤリティ128億円(91.0%増)を受け取りました。ブリストルの決算発表によると、オプジーボの18年の世界売上高は67億3500万ドル(約7455億円)。前年から36%増加しています。

 

塩野義製薬は抗HIV薬の英ヴィーブからのロイヤリティ収入が1244億円(20.2%増)まで拡大。英アストラゼネカからの高脂血症治療薬「クレストール」のロイヤリティなども合わせると、売上高の49.6%となる1803億円をロイヤリティ収入で稼ぎ、海外売上高比率は前年度から6ポイント近く上昇しました。

 

日本新薬は、国内外で好調な肺動脈性肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」のロイヤリティを含む工業所有権等収益が前年度から60.2%増加。一方、田辺三菱製薬は、多発性硬化症治療薬「ジレニア」をめぐってスイス・ノバルティスと係争中で、同薬のロイヤリティの一部を収益認識しないという対応をとっており、ロイヤリティ収入は全体として大幅に減少しました。

 

国内製薬会社のロイヤリティー収入(18年度)の表

 

国内市場 向こう5年マイナス成長の予測

米IQVIAが今年1月に発表したレポートによると、19~23年の日本の医薬品市場の年平均成長率はマイナス3%~0%と予測されています。18年度は薬価改定の影響もあり、国内市場は前年度から1.8%縮小。今年10月には消費増税に伴う薬価改定が予定されているほか、21年度からは毎年改定が始まるなど、国内市場に明るい材料は見られません。

 

海外事業の重要性は増しており、武田はシャイアー買収で19年度には日本国内の売上高比率が2割を切る水準まで低下する見通し。売上高の半分を最大市場の米国で稼ぐ体制に転換します。

 

アステラスは、日米に並ぶ収益の柱として中国の強化に乗り出しており、イクスタンジやゾスパタなどがん領域を中心に新薬を相次いで投入する方針。現在500億円ほどの中国売上高を早期に1000億円規模に拡大させたい考えです。ラツーダの特許切れが迫る大日本住友も、ポスト・ラツーダの開発・獲得を進めるほか、日米に次ぐ事業として中国の基盤強化に取り組みます。

 

一方、大手としては比較的海外事業の規模が小さい第一三共は、がん領域の強化に注力。大型化が期待される抗HER2抗体薬物複合体「DS-8201」は今年、米国と日本で申請を予定しています。同薬をめぐっては、英アストラゼネカと7600億円規模の提携を結んでおり、グローバルで開発・販売を加速させる方針です。

 

 (前田雄樹)

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