2019年に発売が予想される主な新薬を、領域別に2回に分けて紹介します。2回目は「腎臓」「疼痛」「生活習慣病」「抗菌薬・抗ウイルス薬」「その他」です。
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INDEX
【腎】【疼痛】【生活習慣病】HIF-PH阻害薬ロキサデキュスタットが発売へ 新規高血圧薬も
腎領域では、次世代の腎性貧血治療薬として注目のHIF-PH阻害薬ロキサデュスタットが発売となる見通しです。複数のメーカーが開発競争を繰り広げる中、昨年9月、アステラスが一番乗りで申請にこぎつけました。
HIF-PH阻害薬は、エリスロポエチン転写因子を安定化させ、エリスロポエチンの産生を増やすとともに、鉄の利用効率を高めて赤血球を増やす薬剤。現在、治療で中心的に使われているESA製剤に取って代わるのか、発売後の市場動向が注目されます。
疼痛領域では、第一三共の末梢性神経障害性疼痛治療薬ミロガバリン(製品名・タリージェ)が承認間近となっています。同薬はα2δリガンドで、「リリカ」(ファイザー)と同じ作用機序の薬剤。1月に承認を取得しており、2月の薬価収載が見込まれます。
生活習慣病領域では、第一三共が高血圧症治療薬エサキセレノン(製品名・ミネブロ)を2月にも発売予定です。同薬はミネラルコルチコイド受容体拮抗薬と呼ばれる新規の作用機序を持つ薬剤。MSDはエゼチミブ/ロスバスタチンの配合剤を高脂血症治療薬として申請中です。
【抗菌薬・抗ウイルス薬】C型非代償性肝硬変に初の治療薬 ギリアドHIV薬も申請中
感染症領域では、ギリアドサイエンシズのソホスブビル/ベルパタスビル(製品名・エプクルーサ)が1月に承認、2月に発売となる見通しです。適応は、C型慢性肝炎・C型代償性肝硬変とC型非代償性肝硬変で、承認されれば国内初の非代償性肝硬変治療薬となります。
ギリアドは抗HIV薬の発売も予定しています。ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミドフマル酸塩の3剤配合剤で、昨年12月に申請。これまで鳥居薬品を通じて販売していた抗HIV薬6製品についても、1月から自社で情報提供活動を開始しました。年内には製造販売承認も承継する予定で、国内でもHIV領域の事業を拡大させていく方針です。
【その他】脊髄性筋萎縮症に遺伝子治療薬 国内初のsiRNAも承認へ
その他の領域では、遺伝子治療薬や核酸医薬といった新たなモダリティが難病などを対象に発売される見通しです。
ノバルティスのAVXS-101(開発コード)とアンジェスのベペルミノゲン ペルプラスミドは、いずれも遺伝子治療薬。AVXS-101は脊髄性筋萎縮症治療薬で、アデノ随伴ウイルスを使ってSMN遺伝子を患者に導入する治療法です。先駆け審査指定制度の対象品目で、今年上半期の承認が見込まれます。
アンジェスのベペルミノゲン ペルプラスミドは、動脈硬化などが原因で足の血流が滞る重症虚血肢が対象。国内では田辺三菱製薬に独占的販売権を与える契約を結んでおり、販売は田辺三菱が行う予定です。
アルナイラム・ジャパンのトランスサイレチン型家族性アミロイドーシス治療薬パチシランは、国内初のsiRNA。先駆け審査指定制度の対象に指定されており、今年半ばごろに承認される見通しです。同じ核酸医薬では、日本新薬がデュシェンヌ型筋ジストロフィー向けのアンチセンス・ビルトラルセンを18年度中に申請予定。先駆け審査制度の対象品目となっており、予定通り申請にこぎ着ければ年内に承認されることになります。
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