1億円を超えた場合に個別開示が義務付けられている上場企業の役員報酬。AnswersNewsが各社の直近の有価証券報告書を調べたところ、医薬品業界で1億円以上の報酬を受けた役員は47人で、前年から10人増えたことが分かりました。最高額は武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長の12億1700万円。従業員の平均年収との格差は117.2倍に及びました。
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大日本住友・多田会長や田辺三菱・三津家社長ら初の1億超え
上場企業には、年間1億円以上の役員報酬を受けた役員の氏名と報酬額を有価証券報告書で個別に開示することが義務付けられています。AnswersNewsが今回集計対象としたのは、2017年4月期~18年3月期の有価証券報告書で1億円を超える報酬を受けた役員を開示した医薬品業界の上場企業。製薬企業のほか、周辺産業や医薬品卸、薬局チェーンも対象としました。
役員報酬額でトップとなったのは、前年に引き続き武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長CEO。17年度の報酬額は総額12億1700万円(基本報酬2億5400万円・賞与3億3400万円・長期インセンティブ6億2900万円)で、前年度から1億6900万円アップしました。
武田薬品からは、4位にアンドリュー・プランプ取締役チーフ・メディカル&サイエンティフィック・オフィサー(5億3600万円)、11位にジェームス・キーホー元取締役CFO(2億3700万円)、45位に本田信司元取締役(1億500万円)がランクインしました。キーホー氏は今年5月、16年6月の入社からわずか2年足らずで退任。本田氏は昨年6月の株主総会で退任しています。
ウェバー氏に続く2位となったのは、高額報酬でおなじみの日本調剤・三津原博社長。報酬額は8億2000万円で前年度から700万円増加しました。3位は中外製薬の永山治会長で、報酬額は5億4200万円(前年度比1億6200万円増)でした。
47人の報酬額は計100億3000万円
今回の集計で役員報酬が1億円を超えた役員は47人で、昨年の集計から10人増加。47人の報酬総額は100億3000万円で、昨年の83億5700万円から16億円あまり増えました。
今年初めて高額報酬役員のリストに入ったのは、第一三共の眞鍋淳社長COOや協和発酵キリンの花井陳雄会長CEO、大日本住友製薬の多田正世会長、アステラス製薬の安川健司社長CEO、田辺三菱製薬の三津家正之社長ら。眞鍋氏は昨年4月、安川氏は今年4月、新たに社長に就任しました。一方、昨年初めて1億円を突破した日医工の田村友一社長はリストから姿を消しました。
東京商工リサーチの6月29日時点のまとめによると、18年3月期に1億円以上の報酬を得たのは240社538人で、前年(223社466人)を大幅に上回って過去最高となりました。全産業を通じてトップとなったのはソニーの平井一夫前社長(現会長)で、報酬額は27億1300万円。10億円を超えたのは8人で、武田のウェバー社長は5位に名を連ねました。
開示人数 トップはエーザイの6人 武田とそーせいが4人
報酬を個別開示した役員の人数を企業別に見ると、最も多かったのはエーザイの6人。武田とそーせいグループが4人、大塚ホールディングスと中外製薬、テルモが3人で続きました。
ちなみに、上場企業全体で見てみると、18年3月期の有価証券報告書で個別開示を行った人数が最も多かったのは三菱電機の22人。2位は日立製作所(18人)で、3位はファナックと東京エレクトロン(それぞれ10人)でした。
ウェバー氏 従業員の117倍、日調・三津原社長は147倍
役員の報酬と従業員の平均年収の格差に目を向けてみると、最も大きかったのは日本調剤社長の三津原氏。三津原氏の役員報酬8億2000万円を従業員の平均年収558万円で割ると、その差は147.0倍に及びます。格差は前年の145.9倍からさらに拡大しました。
次いで格差が大きかったのが、117.2倍のウェバー氏。武田の平均年収は前年度から20万円あまり増加しましたが、格差は103.2倍から拡大しました。中外の永山氏は56.9倍、武田のプランプ氏は51.6倍でした。
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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