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トピックス

新薬パイプラインのステージアップ・開発中止まとめ(24年3月期1Q/24年2月期1Q/23年12月期2Q)|トピックス

更新日

国内製薬各社の2024年3月期第1四半期、24年2月期第1四半期、23年12月期第2四半期の決算発表から、主な新薬開発パイプラインのステージアップと開発中止をピックアップ。随時更新(最終更新8月9日)。

 

 

日本新薬(24年3月期1Q、8月10日発表)

申請

【日本】NS-87(一般名・ダウノルビシン塩酸塩/シタラビン)|高リスク急性骨髄性白血病

シタラビンとダウノルビシンを抗腫瘍効果が最も高くなる5対1のモル比で配合したリポソーム製剤。6月に日本で申請した。海外P3試験では、シタラビン7日間とダウノルビシン3日間を併用する標準的化学療法と比較して全生存期間を有意に延長した。アイルランドのジャズ・ファーマシューティカルズからの導入品。

 

明治HD(24年3月期1Q、8月8日発表)

申請

【日本】ME3208(一般名・ベルモスジルメシル酸塩)|造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病

免疫細胞の分化と組織の線維化に関与するリン酸化酵素のROCK2を選択的に阻害する低分子薬。「造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)」の適応で6月に申請した。米国では開発元の米カドモン・コーポレーション(仏サノフィが買収)が21年に発売。日本とアジア12カ国では、カドモンとMeijiSeikaファルマの合弁会社が権利を持っており、韓国でも今年3月に申請した。

 

あすか製薬HD(24年3月期1Q、8月7日発表)

申請

【日本】リフキシマ(一般名・リファキシミン)|肝性脳症における高アンモニア血症の改善(小児適応)

イタリア企業から導入した難吸収性リファマイシン系抗菌薬。6月に小児適応の追加を申請。成人向けでは2016年9月に承認されている。

 

P1開始

【日本】AKP-022(レルゴリクス/エストラジオール/酢酸ノルエチンドロン)|子宮筋腫

武田薬品工業から導入したGnRH受容体拮抗薬レルゴリクスの配合剤。7月に国内で子宮筋腫を対象としたP1/2試験を開始。単剤は「レルミナ」として2019年に承認。欧米では住友ファーマ子会社とそのライセンス先がすでに承認を取得している。

 

大正製薬HD(24年3月期1Q、8月4日発表)

承認

【日本】ナノゾラ(オゾラリズマブ)|関節リウマチ(剤形追加)

抗体TNFαナのボディ製剤。従来のシリンジ製剤に加え、オートインジェクター製剤が7月に承認。

 

エーザイ(24年3月期1Q、8月2日発表)

承認

【米国】Leqembi(一般名・レカネマブ)|早期アルツハイマー病

米バイオジェンと共同開発する抗アミロイドβプロトフィブリル抗体。7月に米国で正式承認。米国では今年1月に迅速承認を取得していた。欧州や日本などでも申請中。

 

P3開始

【日本】モビコール(マクロゴール4000/塩化ナトリウム/炭酸水素ナトリウム/塩化カリウム)|慢性便秘症(適応拡大)

EAファーマが開発する経口便秘薬。2歳未満を対象としたP3試験を日本で開始。現在の適応は2歳以上の小児と成人の慢性便秘症。

 

アステラス製薬(24年3月期1Q、8月1日発表)

承認

【米国】VEOZAH(一般名・fezolinetant)|閉経に伴う血管運動神経症状

非ホルモンのNK3受容体拮抗薬。閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状(VMS)の治療薬として5月に米国で承認された。VMSは、ホットフラッシュ(顔のぼてり、のぼせ)や寝汗などの更年期の女性に見られる一般的な症状。欧州やオーストラリアでも申請中。

 

申請

【米国】イクスタンジ(エンザルタミド)|非転移性去勢抵抗性前立腺がん(適応拡大)

米ファイザーと共同で開発・商業化を進める経口アンドロゲン受容体阻害薬。6月に米国で「生化学的再発のリスクが高い非転移性去勢抵抗性前立腺がん」への適応拡大を申請。P3試験では、リュープロレリンとの併用で無転移生存期間を有意に改善した。

 

【日米欧中】IMAB362(ソルベツキシマブ)|胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん

抗Claudin18.2抗体。がん表面のClaudin18.2に結合し、抗体依存性細胞障害と補体依存性細胞障害の2つの免疫系経路を活性化することでがん細胞死を誘導する作用を持つ。「Claudin18.2陽性、HER2陰性の切除不能な局所進行性または転移性胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん」を対象に日本で6月、米国、欧州、中国で7月に申請した。

 

【欧州】―(avacincaptad pegol)|地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性

7月に完了した米アイベリック・バイオの買収で獲得した補体因子C5阻害薬。地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性治療薬として7月に欧州で申請した。米国では今年2月に申請し、8月19日に審査終了目標日を控えている。

 

【米国】CRESEMBA(isavuconazole)|侵襲性アスペルギルス症および侵襲性ムーコル症(小児適応)

スイスのバシリアと共同で開発しているアゾール系抗真菌薬。侵襲性アスペルギルス症および侵襲性ムーコル症の適応で、米国で小児適応を6月に申請した。成人では2015年に承認されている。

 

パイプライン追加

―(avacincaptad pegol)|Stargardt病(P2)

アイベック・バイオ買収に伴いパイプラインに追加。

 

開発中止

ASP0598|慢性鼓膜穿孔(P1)

遺伝子組換えヒトヘパリン結合性上皮細胞成長因子様増殖因子。2017年に全世界でのライセンスを取得し、慢性鼓膜穿孔を対象にP1試験を行っていたが、開発を中止した。

 

大塚HD(23年12月期2Q、7月31日発表)

承認

【日本】リトビゴ(一般名・フチバチニブ)|胆道がん

大鵬薬品工業が創製したFGFR阻害薬。6月に「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」の適応で承認を取得。米国では昨年10月に承認。7月には欧州でも承認された。

 

【中国】エビリファイメンテナ(一般名・アリピプラゾール)|統合失調症

大塚製薬が創製した抗精神病薬「エビリファイ」の持続性注射剤。5月に中国で承認。

 

P3開始

【日本】AB122(zimberelimab)+AB154(domvanalimab)|上部消化管がん

AB122は抗PD-1抗体、AB154は抗TIGIT抗体。いずれも大鵬薬品工業が米アーカスから導入。上部消化管がんを対象に日本でP3試験を開始。

 

P1開始

【日本】AB122(zimberelimab)+AB154(domvanalimab)|非小細胞肺がん

 

第一三共(24年3月期1Q、7月31日発表)

承認

【中国】エンハーツ(一般名・トラスツズマブ デルクステカン)|HER2低発現乳がん(適応拡大)

自社創製の抗HER2抗体薬物複合体(ADC)。7月に化学療法既治療のHER2低発現乳がんへの適応拡大が承認。中国ではHER2陽性乳がん2次治療に続く2つ目の適応。HER2低発現乳がんでは日米欧でも承認済み。

 

【米国】ヴァンフリタ(キザルチニブ)|急性骨髄性白血病

FLT3阻害薬。7月に米国で「FLT3-ITDを有する急性骨髄性白血病」の適応で承認を取得。日本では2019年から販売している。

 

P3開始

【日本】DS-5670|新型コロナウイルス感染症の予防

起源株とオミクロン株BA.4-5を対象とした2価mRNAワクチン。国内で12歳以上を対象としたP3試験と、5~11歳を対象としたP2/3試験を開始。

 

P1開始

【米欧】DS-1103|固形がん

抗SIRPα抗体。HER2発現または変異の固形がんを対象としたP1試験を開始。

 

小野薬品工業(24年3月期1Q、7月31日発表)

申請

【日本】オプジーボ(一般名・ニボルマブ)|上皮系皮膚悪性腫瘍(適応拡大)

医師主導P2試験の結果に基づいて6月に申請。上皮系皮膚悪性腫瘍には、有棘細胞がん、基底細胞がん、乳房外パジェット病、皮膚付属器がん(汗腺がん、脂腺がん、毛包がんなど)などが含まれる。

 

【日本】ビラフトビ/メクトビ(エンコラフェニブ/ビニメチニブ)|甲状腺がん(適応拡大)

BRAF遺伝子変異変異を有する根治切除不能な甲状腺がんに対する2剤併用療法を5月に申請。ビラフトビはBRAF阻害薬、メクトビはMEK阻害薬。

 

P1開始

【日本】ONO-7226|固形がん

米ブリストル・マイヤーズスクイブと共同開発している抗ILT4抗体。オプジーボとの併用で固形がんを対象とした臨床試験を開始。

 

住友ファーマ(24年3月期1Q、7月31日発表)

P1開始

【日本】HLCR011|網膜色素上皮裂孔

ヘリオスと共同開発している他家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞。網膜色素上皮裂孔を対象としたP1/2試験を開始。

 

開発中止・試験中止

【米国】rodatristat ethyl|肺動脈性肺高血圧症(P2)

中枢に移行することなく末梢のセロトニン産生を阻害するように設計されたトリプトファン水酸化酵素(TPH)アンタゴニストのプロドラッグ。米国P2試験を中止し、パイプラインから削除。開発方針を検討中。

 

【ドイツ】MVT-602|不妊症(P2)

子会社マイオバント(現・住友ファーマアメリカ)の開発品。オリゴペプチドキスペプチン1受容体アゴニスト。体外受精を受けている不妊症女性のためのホルモン製剤として開発していたが、開発を中止。

 

キッセイ薬品工業(24年3月期1Q、7月31日発表)

申請取り下げ

【日本】ロバチレリン|脊髄小脳変性症

塩野義製薬が創製した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン誘導体。実施した2つのP3試験の結果をもとに2021年に申請したが、PMDA(医薬品医療機器総合機構)から「現状の臨床試験データでの承認は困難」との見解が示された。追加試験の可能性などについてPMDAと協議する。

 

武田薬品工業(24年3月期1Q、7月27日発表)

申請

【欧州】TAK-113(fruqintinib)|転移性大腸がん

中国のハッチメッドから導入した経口VEGFR阻害薬。治療歴のある転移性大腸がんを対象に欧州で6月に申請した。武田は中国、マカオ、香港を除く全世界のライセンスを有しており、米国でも3月に申請。日本では年内の申請を予定する。

 

【欧州】アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン)|末梢性T細胞リンパ腫(適応拡大)

抗CD30抗体薬物複合体(ADC)。末梢性T細胞リンパ腫の非特定型(PTCL-NOS)のフロントライン治療を対象に、7月に欧州で申請。欧州ではステージ3のホジキンリンパ腫への適応拡大も申請している。

 

【日本】TAK-672(スソクトコグ アルファ)|後天性血友病A

遺伝子組換えブタ血液凝固第VIII因子製剤。後天性血友病A(AHA)患者の出血抑制の適応で6月に申請した。米国や欧州では「OBIZUR」の製品名で販売されている。

 

【米欧】TAK-755|先天性血栓性血小板減少性紫斑病

シャイアー買収で獲得したADAMTS13酵素補充療法。5月に米国と欧州で「先天性血栓性血小板減少性紫斑病」の適応で申請。日本と中国でもP3試験が進行中。

 

【米国】TAK-339|慢性炎症性脱髄性多発神経炎(適応拡大)

米国では「GAMMAGARD LIQUID」、欧州では「KIOVIG」の製品名で販売される免疫グロブリン製剤。米国で5月に慢性炎症性脱髄性多発神経炎への適応拡大を申請した。

 

P3開始

【中国】アディノベイト|血友病A

シャイアー買収で獲得した半減期延長型の血液凝固第Ⅷ因子製剤。中国でP3試験を開始。

 

P1開始

TAK-012|再発・難治性の急性骨髄性白血病

可変デルタ1(Vδ1)ガンマ・デルタ(γδ)T細胞療法。γδT細胞は、通常のT細胞と異なるT細胞受容体(γδ型T細胞受容体)を発現するT細胞。がん細胞表面の幅広い抗原を認識でき、抗原特異的でない抗腫瘍活性を発揮するとされる。

 

申請取り下げ

【米国】TAK-003|デング熱ウイルスによる感染症の予防

4価デング熱ワクチン。2022年11月に申請したが、必要なデータの収集について、FDAの審査期間中に対応できないことから23年7月に申請を取り下げた。「プエルトリコなど流行地域に住む人や旅行者のニーズを踏まえて今後の計画を検討する」としている。

 

開発中止

TAK-105|悪心、嘔吐(P1)

ペプチドアゴニスト。P1試験の結果を鑑みて開発を中止した。

 

中外製薬(23年12月期2Q、7月27日発表)

申請

【日米欧】SKY59/RG6107(クロバリマブ)|発作性夜間ヘモグロビン尿症

自社創製の抗補体C5リサイクリング抗体。日本と米国、欧州で6月に申請。繰り返し抗原に結合することで維持期での4週1回皮下投与を実現しており、患者負担の軽減が期待される。中国では昨年申請した。

 

P3開始

【日本】RG6179|非感染性ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫

抗IL-6抗体。6月に非感染性ぶどう膜炎に伴う黄斑浮腫を対象とするP3試験を開始。26年以降の申請を見込む。

 

P1開始

【グローバル】ROSE12|固形がん

自社創製の抗体医薬。腫瘍特異的に存在する低分子代謝物が高濃度で存在する環境でのみ抗原に結合するスイッチ抗体技術を適用。6月に固形がん対象のP1試験を開始した。

 

開発中止

【日本】テセントリク(アテゾリズマブ)|早期乳がん(アジュバント)

抗PD-L1抗体。国際共同P3試験の結果を踏まえ、開発を中止した。

 

JCRファーマ(24年3月期1Q、7月26日発表)

承認

【日本】グロウジェクト(ソマトロピン)|SHOX異常症における低身長(適応拡大)

ヒト成長ホルモン製剤。6月に「骨端線閉鎖を伴わないSHOX異常症における低身長」への適応拡大が承認。SHOX異常症は性染色体上に存在する成長遺伝子SHOXの機能損失で起こる遺伝性疾患。同疾患による低身長の治療薬は国内初。

 

P1/2開始

【グローバル】JR-441(血液脳関門通過型ヘパランN-スルファターゼ)|ムコ多糖症IIIA型

独自の血液脳関門通過技術を適用したムコ多糖症IIIA型(サンフィリッポ症候群A型)治療用酵素製剤。7月にドイツでP1/2試験の開始が承認された。今年10月までの患者リクルート開始を目指し、治験プロトコルの最終調整を行っている。ムコ多糖症IIIA型はライソゾーム病の1つで、幅広い全身症状と重度の中枢神経障害を呈する。

 

久光製薬(24年2月期1Q、7月13日発表)

P1開始

【日本】HP-6050|―

予定適応症や剤形などは非開示。健康成人を対象にP1試験を実施中。23年度中のP2開始を予定している。

 

AnswersNews編集部が製薬企業をレポート

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