国内製薬各社の2023年3月期第3四半期、22年12月期第2四半期の決算発表から、主な新薬開発パイプラインのステージアップと開発中止をピックアップ。随時更新(最終更新2月15日)。
INDEX
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- 大塚HD(22年12月期、2月14日発表)
- 日本たばこ産業(2022年12月期、2月14日発表)
- 日本新薬(23年3月期3Q、2月10日発表)
- 明治HD(23年3月期3Q、2月9日発表)
- 旭化成ファーマ(23年3月期3Q、2月8日発表)
- 協和キリン(22年12月期4Q、2月7日発表)
- 田辺三菱製薬(23年3月期3Q、2月7日発表)
- 参天製薬(23年3月期3Q、2月7日発表)
- アステラス製薬(23年3月期3Q、2月6日発表)
- エーザイ(23年3月期3Q、2月6日発表)
- 持田製薬(23年3月期3Q、2月6日発表)
- 科研製薬(23年3月期3Q、2月3日発表)
- 武田薬品工業(23年3月期3Q、2月2日発表)
- 中外製薬(22年12月期4Q、2月2日発表)
- 第一三共(23年3月期3Q、1月31日発表)
- 小野薬品工業(23年3月期3Q、1月31日発表)
- 住友ファーマ(23年3月期3Q、1月31日発表)
- キッセイ薬品工業(23年3月期3Q、1月31日発表)
- 塩野義製薬(23年3月期3Q、1月30日発表)
大塚HD(22年12月期、2月14日発表)
申請
【中国】レキサルティ(一般名・ブレクスピプラゾール)|統合失調症
大塚製薬が創製したドパミンD2受容体・セロトニン5-HT1A受容体パーシャルアゴニスト/セロトニン5-HT2A受容体アンタゴニスト。中国で統合失調症を対象に申請を行った。
【米国】レキサルティ|アルツハイマー型認知症に伴うアジテーション(適応拡大)
米国でアルツハイマー型認知症に伴う行動障害への適応拡大を申請。23年1月に受理。優先審査の対象で、審査終了目標日は今年5月10日。米国では、同適応で承認された薬物療法はまだない。
【日本】レキサルティ|大うつ病(適応拡大)
23年1月、既存治療で十分な効果が認められないうつ病・うつ状態への適応拡大を申請。抗うつ薬への上乗せを検討したP3試験で有効性・安全性を確認した。
P3開始
【日米】SEP-363856(ulotaront)|全般性不安障害
住友ファーマと共同開発中のTAAR1・5-HT1Aアゴニスト。統合失調症などで開発を行っているが、新たに全般性不安障害に対するプラセボ対照のP2/3試験を開始した。
開発中止
【米国】EB-1020(センタナファジン)|過食性障害(P2/3)
17年の米ニューロバンス買収で取得したノルエピネフリン・ドパミン・セロトニン再取り込み阻害薬。開発戦略上の理由でP2試験段階にあった過食性障害の開発を中止した。同様の理由で、禁煙を対象とした開発も22年に中止している。
【日米欧】TAS-114|非小細胞肺がん(P2)
大鵬薬品工業が創製したdUTPase阻害薬。非小細胞肺がんを対象にグローバルP2試験を行っていたが、開発戦略上の理由で開発を中止した。
【日本】TBI-1301(mipetresgene autoleucel)|滑膜肉腫(P1/2)
タカラバイオが創製したTCR-T細胞療法。18年に同社と提携して共同開発を進めてきたが、方針や戦略を総合的に検討し、22年11月に契約終了で合意。タカラバイオに権利を返還した。
日本たばこ産業(2022年12月期、2月14日発表)
承認
【日本】コレクチム(一般名・デルゴシチニブ)|アトピー性皮膚炎(適応拡大)
外用JAK阻害薬。乳幼児への使用が承認された。
開発中止
【日本】JTE-451|自己免疫・アレルギー疾患(P2)
Th17細胞の活性化で中心的な役割を担うRORγを阻害し、免疫反応を抑制する外用剤。国内でP2試験を行っていたが、開発を中止した。
日本新薬(23年3月期3Q、2月10日発表)
P1開始
【日本】NS-161|炎症性疾患
作用機序非開示の経口薬。22年12月にP1試験を開始。
【日本】NS-025|泌尿器疾患
作用機序非開示の経口薬。23年1月にP1試験を開始。
明治HD(23年3月期3Q、2月9日発表)
P3開始
【日本】KD-414|新型コロナウイルス感染症の予防(小児)
KMバイオロジクスが開発する不活化ワクチン。2023年1月に生後6カ月から12歳未満の小児540人を対象とするP3試験を開始した。プラセボとの比較で2回接種した際の免疫原性と安全性を確認する。
旭化成ファーマ(23年3月期3Q、2月8日発表)
承認
【日本】クレセンバ(一般名・イサブコナゾニウム硫酸塩)|真菌症
スイスのバジリアから導入したアゾール系抗真菌薬。真菌症(アスペルギルス症、ムーコル症、クリプトコックス症)を対象に、カプセル剤と点滴静注剤が22年12月に承認。
協和キリン(22年12月期4Q、2月7日発表)
承認
【中国】ポテリジオ(一般名・モガムリズマブ)|菌状息肉腫、セザリー症候群
自社創製の抗CCR4抗体。中国で2022年10月に承認を取得した。
申請
【日本】ロミプレート(ロミプロスチム)|再生不良性貧血(適応拡大)
米アムジェンから導入したトロンボポエチン受容体作動薬。国内では11年から販売している。22年11月に「免疫抑制療法未治療の再生不良性貧血」への適応拡大を申請した。
P3再開
【日本】KHK4083/AMG451(rocatinlimab)|アトピー性皮膚炎
協和キリンが創製し、米アムジェンと共同開発している抗OX40抗体。22年6月にP3試験を開始したものの、患者の利便性向上を目指した投与方法を検討するとして患者登録を一時中断していた。22年12月に症例登録を再開。
開発中止
【グローバル】ME-401(ザンデリシブ)|B細胞悪性腫瘍(P3)
経口PI3Kδ阻害薬。20年に米MEIファーマと全世界のライセンス契約を結び、共同で複数のグローバル臨床試験を進めていたが、米FDA(食品医薬品局)から受領した最新ガイダンスを踏まえ、22年12月に日本を除くグローバルで開発を中止。日本では実施中の臨床試験を継続し、申請の可能性を検討する。
田辺三菱製薬(23年3月期3Q、2月7日発表)
承認
【日本・カナダ】ラジカット(一般名・エダラボン)|筋萎縮性側索硬化症(新剤形)
筋萎縮性側索硬化症治療薬「ラジカット」の経口懸濁液。経口・経管投与できるのが特徴。カナダで22年11月に、日本で同12月に承認された。
開発中止
【カナダ】MT-8972|インフルエンザ(H5N1)の予防(P2)
カナダ子会社のメディカゴが開発した植物由来ウイルス様粒子(VLP)ワクチン。鳥インフルエンザ(H5N1)を対象にカナダでP2試験を進めていたが、メディカゴ事業からの撤退に伴ってパイプラインから削除した。
MT-7529|インフルエンザ(H7N9)の予防(P1)
メディカゴの鳥インフルエンザ(H7N9)ワクチン。事業撤退に伴い削除。
MT-5625|ロタウイルス胃腸炎の予防(P1)
メディカゴのVLPワクチン。事業撤退に伴い削除。
MT-2654|季節性インフルエンザの予防(P1)
メディカゴの開発品。事業撤退に伴い削除。
参天製薬(23年3月期3Q、2月7日発表)
P1/2開始
【日本】STN1014100(一般名・オロダテロール塩酸塩)|ドライアイ
ベーリンガーインゲルハイムが創製したβ2受容体作動薬。23年1月に日本でP1/2a試験を開始。
アステラス製薬(23年3月期3Q、2月6日発表)
P1開始
ASP-1002|がん
二重特異性免疫細胞誘導抗体。がんを対象にP1試験を開始した。
エーザイ(23年3月期3Q、2月6日発表)
承認
【米国】レケンビ(一般名・レカネマブ)|早期アルツハイマー病
米バイオジェンと共同開発している抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体。脳内Aβを除去することでアルツハイマー病の進行を抑制すると期待される。Aβの減少を示したP2試験の結果をもとに迅速承認を取得した。
申請
【日米欧中】レケンビ|早期アルツハイマー病
プラセボと比べて症状悪化を抑制したP3試験の結果などをもとに、中国で22年12月、日本と欧州で今年1月に申請。日本では優先審査品目に指定されている。米国でも同月、フル承認に向けた申請を行った。
P1開始
【米国】E2025|アルツハイマー病
アルツハイマー病を対象に開発する抗EphA4(Erythropoietin-producing hepatocellular receptor A4)抗体。米国でP1試験を開始した。
開発中止
【日本】E3112|肝臓疾患
EAファーマがP1試験を行っていたが、事業上の優先度の観点から開発を中止。
持田製薬(23年3月期3Q、2月6日発表)
承認
【日本】トレプロスト(一般名・トレプロスチニル)|肺動脈性肺高血圧症(新剤形)
2014年から販売している「トレプロスト」の吸入剤。従来は注射剤だった。米ユナイテッド・セラピューティクスから17年に導入。軽量で持ち運び可能なネブライザを使っており、患者が自身で服薬できるのが特徴。
開発中止
【日本】レクサプロ(エスシタロプラムシュウ酸塩)|うつ病・うつ状態(小児適応、P3)
デンマーク・ルンドベックから導入した選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)。小児適応の取得を目指してP3試験を行っていたが、開発を中止した。
【日本】MD-120(デスベンラファキシンコハク酸塩水和物)|うつ病・うつ状態(P3)
抗うつ薬。19年にファイザーから国内の開発、販売などに関するライセンス契約を結び、共同開発を進めていたが、開発を中止した。海外では「PRISTIQ」の製品名で販売されている。
科研製薬(23年3月期3Q、2月3日発表)
承認
【日本】ネキソブリッド|深達性II度又はIII度熱傷における壊死組織の除去
22年12月に日本で承認を取得。パイナップル茎の搾汁精製物を有効成分とする外用ゲル剤。タンパク質分解作用により、熱傷によって壊死した組織を除去する。イスラエル・メディウンドからの導入品。
武田薬品工業(23年3月期3Q、2月2日発表)
承認
【欧州】LIVTENCITY(一般名・maribavir)|移植後の(バル)ガンシクロビル、シドフォビル、ホスカルネットに治療抵抗性・難治性のサイトメガロウイルス感染(症)
pUL97プロテインキナーゼとその天然基質を阻害する抗ウイルス薬。22年11月に欧州で承認。承認は、米国、カナダ、オーストラリアに続いて4カ国・地域目。日本ではP3試験を実施中。
【欧州】QDENGA|デング熱ウイルスによる感染症の予防
4価弱毒生デング熱ワクチン。22年8月に承認されたインドネシアに続いて、同年12月に欧州で承認。4歳以上が対象。
【中国】EXKIVITY(mobocertinib)|EGFR エクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がん
EGFRエクソン20挿入変異を標的とする経口チロシンキナーゼ阻害薬。セカンドライン以降を対象に23年1月に中国で承認。承認は中国当局によるブレークスルーセラピープログラムに基づくもので、完全承認は検証試験で臨床的有用性を確認することが条件となる。セカンドラインの適応では日本でP3試験を行っているほか、フロントラインを対象にグローバルP3試験が進行中。
申請
【米国、欧州】タクザイロ(ラナデルマブ)|遺伝性血管性浮腫(小児適応)
血漿カリクレイン阻害薬。22年10月に米国で、12月に欧州で小児適応の追加を申請。日本では昨年5月に成人と12歳以上の小児を対象に承認された。
【日本】TAK-664|無または低ガンマグロブリン血症
ヒトIgGを20%含有する皮下注用ヒト免疫グロブリン製剤。22年10月に日本で申請。海外では「CUVITRU」の製品名で販売されている。
【日本】エンタイビオ(ベドリズマブ)|クローン病(皮下注製剤・適応拡大)
抗α4β7インテグリン抗体。皮下注製剤について、クローン病の適応で22年10月に日本で申請。皮下注製剤は、潰瘍性大腸炎の適応でも19年8月に日本で申請しており、近く承認される見通し。
【中国】LIVTENCITY(maribavir)|移植後の(バル)ガンシクロビル、シドフォビル、ホスカルネットに治療抵抗性・難治性のサイトメガロウイルス感染(症)
22年12月に中国で申請。
【中国】ボンベンディ(ボニコグ アルファ)|フォン・ヴィレブランド病の出血時および周術期の補充療法
遺伝子組換えヒトフォン・ヴィレブランド因子製剤。すでに承認を取得している欧米や日本に続いて23年1月に中国で申請。成人が対象。小児ではグローバルでP3試験が行われている。
【米国】TAK-880|原発性免疫不全症候群・多巣性運動ニューロパチー
10%免疫グロブリン製剤。米国で23年1月に申請。欧州でも申請準備中。
P1開始
TAK-079(mezagitamab)|IgA腎症
抗CD38抗体。重症筋無力症や免疫性血小板減少性紫斑病などの適応が開発が進んでいるが、新たにIgA腎症を対象とするP1試験を開始。
開発中止
【日本】カボメティクス(カボザンチニブリンゴ酸塩)|転移性非小細胞肺がん(P3)
セカンドラインを対象に抗PD-L1抗体アテゾリズマブとの併用療法を検証するP3試験で主要評価項目を達成できなかった。
TAK-510|悪心、嘔吐(P1)
P1試験のデータはさらなる開発を支持する結果ではなかったとして開発を中止。
中外製薬(22年12月期4Q、2月2日発表)
承認
【日本】ガザイバ(一般名・オビヌツズマブ)|慢性リンパ性白血病(適応拡大)
日本新薬と共同開発・共同販売している糖鎖改変型タイプII抗CD20抗体。22年12月に、CD20陽性の慢性リンパ性白血病(少リンパ球性リンパ腫を含む)への適応拡大が承認。
【米国】アクテムラ(トシリズマブ)|COVID-19肺炎(適応拡大)
自社創製の抗IL-6受容体抗体。米国で22年12月、入院中の成人新型コロナウイルス患者の治療薬として承認。コルチコステロイドの全身投与を受けており、酸素補給、非侵襲的もしくは侵襲的な人工呼吸器、またはECMOを必要とする患者が対象。米国では2歳以上の入院患者を対象に緊急使用許可(EUA)を得ており、18歳未満に治してはEUAの下で使用される。
【欧州】ヘムライブラ(エミシズマブ)|中等症血友病A(適応拡大)
自社創製の抗血液凝固第IXa/X因子二重特異性抗体。重度の出血の表現型を伴う中等症(血液凝固第VIII因子が1%から5%)で、第VIII因子に対するインヒビターを保有しない血友病Aにおける出血に対する定期予防療法として23年2月に欧州で承認。
P3開始
【グローバル】アレセンサ(アレクチニブ)|非小細胞肺がん化学放射線療法後の維持療法(適応拡大)
自社創製のALK阻害薬。ステージIIIの非小細胞肺がんを対象に、化学放射線療法後の維持療法のP3試験を開始。
【グローバル】RG6058(チラゴルマブ)|非扁平上皮非小細胞肺がん
スイス・ロシュから導入した抗TIGIT抗体。非扁平上皮非小細胞肺がんの1次治療を対象に、抗PD-L1抗体テセントリク(アテゾリズマブ)との併用療法を評価するP3試験がスタート。
P1開始
【日本】RG6160(cevostamab)| 再発・難治性多発性骨髄腫
ロシュから導入した抗FcRH5/CD3バイスペシフィック抗体。多発性骨髄腫を対象に国内で臨床開発を開始。
【グローバル】ALPS12/RG6524|固形がん
自社創製のT細胞リダイレクティング抗体。
【グローバル】RAY121|自己免疫疾患
自社創製の抗体医薬。
開発中止
【日本】テセントリク(アテゾリズマブ)|非小細胞肺がん(P3)
2次治療を対象にカボザンチニブとの併用療法を評価したP3試験で主要評価項目を達成できなかった。
【日本】テセントリク(アテゾリズマブ)|尿路上皮がん(P3)
尿路上皮がん1次治療を対象に行ったP3試験の結果を踏まえ、開発を中止。
【日本】RG1450(ガンテネルマブ)|アルツハイマー病(P3)
抗アミロイドβ抗体。P3試験で主要評価項目を達成できず、開発を中止
第一三共(23年3月期3Q、1月31日発表)
承認
【日本】エンハーツ(一般名・トラスツズマブ デルクステカン)|HER2陽性乳がん2次治療(適応拡大)
第一三共が創製し、英アストラゼネカと共同開発している抗HER2抗体薬物複合体(ADC)。国内で22年11月に「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発乳がん」への適応拡大が承認された。
【欧州】エンハーツ|HER2低発現乳がん、HER2陽性胃がん2次治療(適応拡大)
欧州で、22年12月に「トラスツズマブを含む前治療を受けたHER2陽性の切除不能な進行・再発胃がん」、23年1月に「転移再発で化学療法を受けたHER2低発現の手術不能または転移性乳がん」の適応拡大が承認。
申請
【日欧】エンハーツ|HER2変異非小細胞肺がん2次治療(適応拡大)
日本で22年12月、欧州で23年1月にHER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん2次治療への適応拡大申請が受理された。申請はグローバルP2試験に基づく。米国では22年8月に迅速承認を取得した。
【中国】タリージェ(ミロガバリンベシル酸塩)|糖尿病性末梢神経障害性疼痛
Caチャネルのα2δサブユニットに結合するリガンド。神経終末で疼痛に関わる神経伝達物質の放出を抑制する作用を持つ。23年1月、中国で申請が受理された。
【日本】DS-5670|新型コロナウイルス感染症の予防
第一三共の核酸送達技術を使って開発されたmRNAワクチン。23年1月に追加免疫で申請した。初回免疫を終えた健康成人と高齢者約5000人を対象に行った国内P1/2/3試験の結果に基づく。
P3開始
【日米欧亜】DS-1062(ダトポタマブ デルクステカン)|ネオアジュバント療法後の残存浸潤トリプルネガティブ乳がん、非扁平上皮非小細胞肺がん1次治療
自社創製の抗TROP2 ADC。アストラゼネカと共同開発。ステージ1~3のトリプルネガティブ乳がん患者を対象に、単剤療法とデュルバルマブ(国内製品名・イミフィンジ)との併用療法を評価するP3試験を22年12月に開始。23年1月には、Actionable遺伝子変異がなく、PD-L1発現率が50%未満の再発・進行性の非扁平上皮非小細胞肺がん患者を対象とするP3試験で最初の患者への投与を実施した。非小細胞肺がんの試験では、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)との2剤併用療法と、ペムブロリズマブ、プラチナ製剤との3剤併用療法を検討する。
【日本】DS-5670|新型コロナウイルス感染症の予防(初回免疫)
12~17歳の小児を対象に、初回免疫のP3試験を開始。成人対象の試験は22年9月から行っており、23年4~6月にトップラインデータが得られる見込み。
導出
【米国】PLX2853|血液がん、固形がん
BET阻害薬。22年3月に事業を終了した米研究子会社Plexxikonの開発品。急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群、卵巣がん、前立腺がんで開発を進めていたが、スイスのOpna Bioに導出した。同社には、PLX2853とCSF1受容体阻害薬「PLX7486」を含む5製品のライセンスを供与している。
小野薬品工業(23年3月期3Q、1月31日発表)
P1開始
【日本】ONO-7684|血栓症
自社創製の血液凝固第XIa因子阻害薬。欧州で健康成人を対象とするP1試験を行っていたが、日本でも開始した。
【日本】ONO-1110|疼痛
自社創製の内因性カンナビノイド制御薬。経口薬。国内で健康成人対象のP1試験を開始した。
住友ファーマ(23年3月期3Q、1月31日発表)
P3開始
【日米】SEP-363856(一般名・ulotaront)|全般性不安障害
大塚製薬と共同開発中のセロトニン5-HT1Aアゴニスト活性を持つTAAR1(微量アミン関連受容体1)アゴニスト。新たに全般性不安障害の適応でプラセボ対照のP2/3試験を日本と米国で開始した。統合失調症などで開発が先行している。
開発中止
【中国】ラツーダ(ルラシドン)|双極Ⅰ型障害うつ(適応拡大、P3)
中国で双極I型障害うつを対象にP3試験を行っていたが、開発を中止した。小児の統合失調症に対する国内P3試験は継続。
【米国】DSP-7888(アデグラモチド酢酸塩/ネラチモチドトリフルオロ酢酸塩)|固形がん
自社創製の免疫療法用がんペプチドワクチン。米国で行っていた免疫チェックポイント阻害薬併用のP1/2試験を2022年に中止。開発方針を検討していたが、開発の中止を決めた。21年にも膠芽腫対象のP3試験を中止している。
試験中止
【日米】DSP-0509(guretolimod)|固形がん(P1/2)
自社創製のTol様受容体7(TLR7)作動薬。樹状細胞に発現するTLR7に対するアゴニスト作用によって、サイトカイン誘導や細胞傷害性T細胞の活性化を促すと考えられている。日米で行っていたP1/2試験を中止し、開発方針を検討している。
キッセイ薬品工業(23年3月期3Q、1月31日発表)
承認
【日本】タバリス(一般名・ホスタマチニブ)|慢性特発性血小板減少性紫斑病
米ライジェルファーマシューティカルズから導入した脾臓チロシンキナーゼ阻害薬。2022年12月に日本で承認を取得。マクロファージによる血小板の破壊を抑制し、慢性特発性血小板減少性紫斑病の出血症状を改善する。ステロイドなどの既存治療で効果が不十分な患者への効果が期待される。
塩野義製薬(23年3月期3Q、1月30日発表)
承認
【日本】ゾコーバ(一般名・エンシトレルビルフマル酸)|新型コロナウイルス感染症
北海道大との共同研究で創製された3CLプロテアーゼ阻害薬。22年11月、国産初の新型コロナ向け経口抗ウイルス薬として緊急承認を取得。12歳以上の軽症・中等症の患者が対象。厚生労働省との供給契約に基づき、政府が200万人分を購入している。
申請
【日本】S-268019|新型コロナウイルス感染症の予防
自社開発した新型コロナに対する組換えタンパクワクチン。22年11月に、成人の初回免疫(1回目・2回目)と追加免疫(3回目)を対象に申請した。19年に買収したUMNファーマが持つ昆虫細胞を使ったタンパク発現技術を活用。
【韓国】ゾコーバ|新型コロナウイルス感染症
提携先の韓国企業が1月に申請。申請は日本を中心とするアジアで行ったP2/3試験の結果に基づく。
P1開始
【米国】S-365598|HIV感染症
塩野義が創製し、英ヴィーブ・ヘルスケアに導出した長時間作用型のインテグラーゼ阻害薬(注射薬)。22年12月に米国で臨床試験を開始。3カ月以上の投与間隔を期待している。