中央社会保険医療協議会(中医協)は1月22日の総会で、今年4月の2020年度薬価改定で17成分52品目に再算定を適用し、薬価を引き下げることを了承した。抗IgE抗体「ゾレア」(ノバルティスファーマ)に20年度薬価制度改革で新設される効能変化再算定の特例が適用されるほか、抗PD-1抗体「キイトルーダ」(MSD)と抗凝固薬「リクシアナ」(第一三共)が特例拡大再算定の対象となる。
効能変化再算定は、主な適応に変更があった医薬品の薬価を、薬理作用の類似した薬に近づくよう引き下げるルール。従来は変更後の適応に類似薬がない場合は対象とならなかったが、特例の新設によって類似薬がなくても適用できるようになった。ゾレアは昨年12月、季節性アレルギー性鼻炎への適応拡大が承認されており、「適応の変更に伴って患者数が最大10倍以上に拡大する」などの要件に該当すると判断された。
特例拡大再算定を受けるキイトルーダは、「年間販売額が1500億円超かつ予測販売額の1.3倍以上」の要件に該当し、最大で50%の薬価引き下げを受ける。キイトルーダは特例拡大再算定のもう1つの要件である「年間販売額1000億円超かつ予測販売額の1.5倍以上」に該当するとして2月に薬価が17.5%引き下げられることになっており、4月の薬価改定でも再び薬価の引き下げを受けることになる。リクシアナは1000億円超・1.5倍以上の要件に該当し、最大25%の引き下げとなる。
市場拡大再算定 サムスカ、フェブリクなど14成分40品目
通常の市場拡大再算定の対象となるのは14成分40品目で、
▽トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬「ビンダケル」(ファイザー)
▽利尿薬「サムスカ」(大塚製薬)
▽高尿酸血症・痛風治療薬「フェブリク」(帝人ファーマ)
▽多発性骨髄腫治療薬「レブラミド」(セルジーン)
▽卵巣がん・乳がん治療薬「リムパーザ」(アストラゼネカ)
▽乾癬・クローン病治療薬「ステラーラ」(ヤンセンファーマ)
▽乳がん治療薬「パージェタ」(中外製薬)
▽乳がん治療薬「フェソロデックス」(アストラゼネカ)
▽気管支喘息・アトピー性皮膚炎治療薬「デュピクセント」(サノフィ)
▽血友病A治療薬「ヘムライブラ」(中外製薬)
▽関節リウマチ治療薬「アクテムラ」(中外製薬)
▽ドライアイ治療薬「ジクアス」(参天製薬)
――など。
このほか、三和化学研究所の「ウリアデック」と富士薬品の「トピロリック」はフェブリクの類似品として、サノフィの「ケブザラ」がアクテムラの類似品として、それぞれ市場拡大再算定による引き下げを受ける。