今年は、アトピー性皮膚炎と血友病にそれぞれ初めての抗体医薬が登場するなど、各社が大型化を期待する製品が相次いで発売される見通しです。
2018年に国内で発売が予想される主な新薬を、領域別に2回に分けて紹介します。
【2018年に発売予想の新薬まとめ1】はこちら
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【中枢神経系】エビリファイ後継品の「レキサルティ」 減酒薬も登場
中枢神経系領域では、大塚製薬が今年、新薬ラッシュを迎えます。
昨年1月に申請した抗精神病薬「レキサルティ」(ブレクスピプラゾール)は、かつて世界で年間6000億円規模の売り上げを誇った「エビリファイ」(アリピプラゾール)の後継品。1月に承認となる見通しです。昨年7月にはアリピプラゾールと塩酸セルトラリンとの配合剤をうつ病・うつ状態の適応で申請しています。
大塚がもう1つ年内にも発売を見込むのが、アルコール依存症に対する「減酒」をコンセプトとした国内初の薬剤ナルメフェン。オピオイド受容体に作用することで、飲酒欲求を抑え、飲酒量を減らす薬剤で、臨床第3相試験では過量飲酒の日数や総飲酒量をプラセボに比べて有意に減少させました。これまで「断酒」が主流だったアルコール依存症治療を大きく変えそうです。
武田薬品工業にとって初めてのパーキンソン病治療薬となるラサギリンは、イスラエル・テバからの導入品。塩野義はADHD治療薬リスデキサンフェンタミンを申請中で、昨年発売した同「インチュニブ」とともに、中枢神経系領域の強化を狙います。
【皮膚科・呼吸器など】アトピーに「デュピクセント」 喘息向け抗体も
皮膚科領域では、アトピー性皮膚炎治療薬としては初めての抗体医薬となるサノフィの「デュピクセント」(デュピルマブ)の承認が間近。アトピー性皮膚炎の炎症に中心的な役割を果たすIL(インターロイキン)-4とIL-13を阻害する薬剤で、臨床第3相試験(SOLO1、SOLO2)では、患者の4割近くが治験医師による評価で「皮膚病変なし」「皮膚病変ほぼなし」を達成しました。
ヤンセンファーマの抗IL-23抗体グセルクマブは、乾癬(尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、完成紅皮症)と掌蹠膿疱症の適応で申請中。ここ数年、乾癬には複数の生物学的製剤が発売されていますが、IL-23をターゲットとしたものは初めてです。尋常性乾癬を対象に海外で行われた臨床第3相試験(VOYAGE2)では、抗TNFα抗体「ヒュミラ」を有効性(皮膚病変スコア)で有意に上回りました。発売後は大鵬薬品工業とコ・プロモーションを行うことになっています。
呼吸器領域では、アストラゼネカの重症気管支喘息治療薬「ファセンラ」(ベンラリズマブ)が1月に承認の見込み。IL-5受容体αに対する抗体医薬で、すでに販売されている抗IL-5抗体「ヌーカラ」(グラクソ・スミスクライン)や抗IgE抗体「ゾレア」(ノバルティスファーマ)と競合することになります。
関節リウマチ治療薬の抗IL-6抗体「ケブザラ」(サリルマブ)はサノフィが昨年9月に承認を取得し、同11月に薬価収載済み。同12月には旭化成ファーマと国内販売のライセンス契約を結び、旭化成ファーマが販売と流通を担うことになりました。販売体制が整ったことで、今年2月下旬までに発売されるとみられます。
【血液・アレルギー・その他】グローバル2000億円を狙うエミシズマブ
その他の領域では、中外製薬の血友病A治療薬エミシズマブが注目。活性型血液凝固第IX因子と第X因子に結合するバイスペシフィック抗体(2つの異なる抗原に結合する抗体)で、血友病Aで欠損または機能異常をきたしている第VIII因子の機能を代替する薬剤です。
血友病治療薬としては初の抗体医薬で、中外製薬はピーク時に世界で2000億円を超える売り上げを見込んでいます。米国では昨年11月に承認を取得しており、欧州でも申請中です。
久光製薬の抗アレルギー薬「アレサガテープ」は、第2世代の抗ヒスタミン薬エメダスチンを貼付剤にしたもの。シャイアーのイカチバントは、遺伝性血管性浮腫と呼ばれる指定難病に対する治療薬で、承認されれば同疾患として28年ぶりの新薬となります。