協和キリン、腎疾患治療薬バルドキソロンメチルの開発を中止
協和キリンは5月10日、糖尿病性腎臓病などを対象に開発を進めてきたバルドキソロンメチル(一般名、開発コード・RTA402)の開発を中止すると発表した。同疾患を対象に行った国内臨床第3相(P3)試験では、eGFRの改善が認められ、主要評価項目と重要な副次評価項目を達成したものの、末期腎不全の発症を抑制する結果は得られなかった。これを踏まえて専門医やPMDA(医薬品医療機器総合機構)と協議した結果、糖尿病性腎臓病での承認申請は困難と判断した。2021年7月に行ったアルポート症候群を対象とした申請も取り下げ、同疾患と常染色体優性多発性嚢胞腎を対象に行っている臨床試験への参加も終了する。協和キリンは09年、米リアタ・ファーマシューティカルズから同薬のアジアでの開発・販売権を取得。糖尿病性腎臓病の適応では、先駆け審査指定制度の対象に指定されている。
ロート製薬、リアルワールドデータ事業に参入…藤田学園と合弁会社
ロート製薬は5月10日、リアルワールドデータ事業に参入すると発表した。藤田医科大などを経営する学校法人藤田学園の子会社フジタ・イノベーション・キャピタルと合弁会社「FirstReal Healthdata Systems」(東京都中央区)を設立。データの利活用を促進するためのプラットフォーム構築・サービス設計からデータ分析・開発コンサルタント業務など行う。合弁会社の社長には、藤田医科大学長の湯澤由紀夫氏が就任した。
東和薬品、23年3月期業績予想を下方修正
東和薬品は5月10日、2023年3月期の業績予想を下方修正したと発表した。修正後の予想は、売上高2089億円(従来予想比36億円減)、営業利益55億円(24億円減)。限定出荷の解除は進んだものの、想定より販売数量が回復しなかったことが響く。
GHIT Fund、ゲイツ財団から32億円の支援
グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は5月10日、ビル&メリンダ・ゲイツ財団から3年で2400万ドル(約32億円)の支援を確保したと発表した。GHIT Fundは今年4月にスタートした5カ年計画で、マラリア、結核、顧みられない熱帯病などの研究開発の効率化と加速化を目指している。
決算
小野薬品工業(2023年3月期、5月10日発表)
売上収益4471億8700万円(前期比23.8%増)、営業利益1419億6300万円(37.6%増)。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が26.6%増の1423億円を売り上げ、SGLT2阻害薬「フォシーガ」も54.3%増の565億円と好調だった。24年3月期の業績予想は売上収益4750億円(6.2%増)、営業利益1530億円(7.8%増)。オプジーボは1550億円(8.9%増)、フォシーガは650億円(15.0%増)の売り上げを見込む。
塩野義製薬(2023年3月期、5月10日発表)
売上収益4266億8400万円(前期比27.3%増)、営業利益1490億300万円(35.1%増)。新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ」が1047億円を売り上げ、売り上げ、各利益とも過去最高を更新した。抗HIV薬を主とするロイヤリティー収入は1747億円(前期比3.6%減)。国内医療用医薬品(ゾコーバ除く)の売上高は750億円で15.8%減となった。24年3月期は売上収益4500億円(5.5%増)、営業利益1500億円(0.7%増)を予想。ゾコーバと申請中の新型コロナワクチンで計1050億円の売り上げを見込んでいる。
旭化成(2023年3月期、5月10日発表)
医薬・医療事業の売上高は2002億円(前期比14.9%増)、営業利益は229億円(5.0%増)。骨粗鬆症治療薬「テリボン」の売上高は399億円(4.4%増)で、関節リウマチ治療薬「ケブザラ」も26.6%増の93億円と伸びた。24年3月期の医薬・医療事業は売上高2180億円(8.9%増)、営業利益211億円(7.9%減)を予想している。
科研製薬(2023年3月期、5月10日発表)
売上高729億8400万円(前期比4.0%減)、営業利益79億9800万円(53.1%減)。薬価改定による減収に加え、導入品の契約一時金で研究開発費が大きく増えたことが利益を圧迫した。24年3月期は売上高731億円(0.2%増)、営業利益76億円(5.0%減)を見込む。
扶桑薬品工業(2023年3月期、5月10日発表)
売上高510億1500万円(前期比2.8%増)、営業利益22億600万円(14.7%増)。後発医薬品の販売が好調だった。24年3月期の業績予想は、売上高533億円(4.5%増)、営業利益20億円(9.4%減)。