IQVIAは8月17日、2021年4~6月期の国内医療用医薬品市場が前年同期比2.5%増の2兆6449億1700万円だったと発表した。四半期ベースで前年を上回るのは20年1~3月期以来、5四半期ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、診断用検査試薬の販売が急増し、薬効として初めて売上高トップ10に入った。
市場の内訳を見ると、▽病院(病床100床以上)1兆2322億600万円(前年同期比4.7%増)▽開業医(100床未満)4790億3500万円(0.6%増)▽薬局その他9336億7600万円(0.7%増)――。3市場とも前年を上回ったのは19年7~9月期以来、7四半期ぶり。新型コロナの影響が長期化する中、4月には初めてとなる薬価の中間年改定が行われたが、抗がん剤などのスペシャリティ領域の製品が市場を牽引した。
製品トップはキイトルーダ
製品別売上高(薬価ベースで集計)では、MSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が315億4000万円(13.1%増)でトップ。2位は小野薬品工業の同「オプジーボ」(306億6800万円、13.3%増)、3位は武田薬品工業の抗潰瘍薬「タケキャブ」(274億7500万円、13.0%増)だった。キイトルーダとオプジーボは、中外製薬の「テセントリク」の類似品として市場拡大再算定が適用され、8月1日に薬価が10%以上引き下げられた。
売り上げ上位の製品は軒並み好調で、トップ3製品のほかにも5位の抗凝固薬「リクシアナ」(第一三共)や8位の利尿薬「サムスカ」(大塚製薬)が2ケタ増。ARB「アジルバ」(武田)や抗がん剤「タグリッソ」(アストラゼネカ)も8%を超える売り上げ増となった。
診断用検査試薬が上位10薬効に
薬効別売上高では、「抗腫瘍剤」が4180億6100万円(11.3%)で首位。以下、「糖尿病治療剤」(1624億5900万円、4.1%増)、「免疫抑制剤」(1293億2200万円、10.6%増)と続いた。
新型コロナの感染拡大を受け、昨年以降、関連製品が相次いで発売されている「診断用検査試薬」は、前年同期比58.9%増の682億2200万円で9位にランクイン。診断用検査試薬が上位10薬効に入るのは、IQVIAが売り上げデータの発表を始めて以来、初という。