中央社会保険医療協議会(中医協)総会は5月12日、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンの抗がん剤「ペマジール錠」やJCRファーマのムコ多糖症II型治療薬「イズカーゴ点滴静注用」など新薬13成分23品目の薬価収載を了承した。収載は5月19日。セルジーンのCAR-T細胞療法「ブレヤンジ静注」も再生医療等製品として収載が了承され、新薬とあわせて収載される。
有用性加算 ペマジールに35%、イズカーゴに40%
「ペマジール錠」(一般名・ペミガチニブ)は、国内初のFGFR阻害薬。適応は「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」で、インサイトにとっては日本で自社展開する初の製品となる。薬価は原価計算方式で算定され、4.5mg1錠2万5631.20円に決定。新規作用機序を持ち、標準的治療法になる可能性があることが評価され、35%の有用性加算がついた。ピーク時に7億円の売上高を見込む。
「イズカーゴ点滴静注用」(パビナフスプ アルファ)は、ムコ多糖症II型に対する酵素製剤。独自の血液脳関門通過技術を適用した薬剤で、中枢神経への作用が評価され、40%の有用性加算がついた。先駆け審査指定制度加算(10%)も適用され、薬価は10mg1瓶25万1030円となった。ピーク時の売上高予測は85億円。
ダラキューロ ピーク時に370億円を予測
このほか、5月19日に収載されるのは、
▽抗がん剤「ヴァイトラックビカプセル/内用液」(ラロトレクチニブ硫酸塩)=バイエル薬品
▽多発性硬化症治療薬「ケシンプタ皮下注」(オファツムマブ)=ノバルティスファーマ
▽変形性関節症治療薬「ジョイクル関節注」(ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム)=生化学工業
▽抗がん剤「ポライビー点滴静注用」(ポラツズマブ ベドチン)=中外製薬
▽抗がん剤「レミトロ」(デニロイキン ジフチトクス)=エーザイ
▽多発性骨髄腫治療薬「ダラキューロ配合皮下注」(ダラツムマブ/ボルヒアルロニダーゼ アルファ)=ヤンセンファーマ
▽視神経脊髄炎スペクトラム障害治療薬「ユプリズナ点滴静注」(イネビリズマブ)=田辺三菱製薬
▽マイコバクテリウム・アビウムコンプレックスによる肺非結核性抗酸菌症治療薬「アリケイス吸入液」(アミカシン硫酸塩)=インスメッド
など。
ヴァイトラックビは国内2剤目のTRK阻害薬。小児用の内用液をラインアップしており、5%の小児加算を取得した。ケシンプタは、多発性硬化症では国内初となるB細胞を標的とした治療薬。抗CD79b抗体薬物複合体のポライビーには5%の有用性加算がついた。
5月19日に薬価収載される新薬で、ピーク時の売上高予測が100億円を超えたのは、ポライビー、ダラキューロ、アリケイスの3剤。370億円を見込むダラキューロは、ダラツムマブにボルヒアルロニダーゼ アルファを配合することで皮下注を可能としており、5%の有用性加算を取得。アリケイスも、治療抵抗性の患者に対する有効性が示されていることなどが評価され、10%の有用性加算が適用された。
ブレヤンジ、イエスカルタと同額に
再生医療等製品では、国内3製品目のCAR-T細胞療法となるセルジーンの「ブレヤンジ静注」(リソカブタゲン マラルユーセル)の収載が了承された。薬価はノバルティスファーマの「キムリア」を類似薬とする類似薬効比較方式で算定。同額の1患者あたり3411万3655円となったが、キムリアの薬価が費用対効果評価の結果に基づいて引き下げられることに基づき、ブレヤンジも同額の3264万7761円に引き下げられた。
4月に収載された第一三共の「イエスカルタ」でも同様の対応がなされており、2剤は収載日から同じ薬価となる。キムリアの薬価引き下げは7月1日に行われる。