参天 持株会社に移行へ、グローバル化を推進
参天製薬は2月4日、2022年4月1日をめどに持株会社体制に移行すると発表した。2030年とその先を見据えた長期ビジョン「Santen 2030」を達成するため、グローバルな視点でコーポレート機能を強化し、地域間・事業間の連携を強化する。持株会社の設立に伴い参天は上場廃止となるが、持株会社は東証一部にテクニカル上場を申請し、実質的に上場を維持する予定。あわせて、決算期を1~12月期に変更する。
中外、奥田氏がCEO就任へ…新体制で新たな成長戦略
中外製薬は2月4日、奥田修社長COO(最高執行責任者)が3月23日付でCEO(最高経営責任者)に就任すると発表した。小坂達朗氏はCEO職を退くが、引き続き代表取締役会長を務める。中外は4日、2030年に向けた成長戦略「TOP I 2030」を発表。中分子医薬品の早期実用化やデジタルの活用による各バリューチェーンの改革などを掲げており、新体制で成長戦略を推進する。2012年12月期までの中期経営計画「IBI20」は、目標を達成したとして1年前倒しで終了した。
第一三共 抗HER3 ADC「U3-1402」のEGFR変異非小細胞肺がんのP2開始
第一三共は2月4日、抗HER3抗体薬物複合体(ADC)「U3-1402」(開発コード)について、EGFR変異を有する切除不能な非小細胞肺がん患者を対象とする臨床第2相(P2)試験を開始したと発表した。主要評価項目は客観的奏効率で、米国、欧州、日本を含むアジアで最大約420人の患者を登録する予定。U3-1402は、大腸がんや乳がんの適応でも臨床試験を行っている。
アステラス「ゾスパタ」中国で承認
アステラス製薬は2月4日、FLT3阻害薬「XOSPATA」(一般名・ギルテリチニブ、国内製品名・ゾスパタ)について、中国で再発・難治性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病の適応で条件付き承認を取得したと発表した。同薬は日本や米国で2018年に、欧州で19年に発売された。
富士フイルム 医薬品の心毒性評価予測開始…創薬支援の受託サービスに参入
富士フイルムは2月4日、医薬品候補化合物の心毒性評価試験サービスを今月26日から始めると発表した。子会社フジフイルム・セルラー・ダイナミクス(FCDI)のiPS細胞由来心筋細胞を使い、心毒性の1つである致死性不整脈の発生リスクを予測するもので、富士フイルム和光純薬で受託する。富士フイルムは、同サービスの開始で創薬支援の受託サービスに参入。今後、試験サービスの拡充などを目指す。
大正製薬HD、通期予想を下方修正
大正製薬ホールディングス(HD)は2月4日、2021年3月期の通期業績予想を修正した。修正後の業績予想は、売上高2830億円(従来予想比65億円減)、営業利益210億円(10億円増)。新型コロナウイルス感染症の影響で総合感冒薬の販売やアジア地域の売り上げなどが想定を下回った。一方、利益面は第3四半期までの販管費と営業外損益などを踏まえ、上方修正した。
持田、テリパラチドBSを科研とコ・プロ
持田製薬と科研製薬は2月3日、骨粗鬆症治療薬「フォルテオ」のバイオシミラー「テリパラチドBS『モチダ』」について、国内でのコ・プロモーション契約を結んだと発表した。販売はこれまで通り持田が担当し、4月以降、プロモーション活動を両社共同で行う。
決算
中外製薬(2020年12月期、2月4日発表)
売上収益7869億4600万円(前期比14.7%増)、営業利益3012億3000万円(43.0%増)。薬価改定の影響で国内売上高は減少したものの、新型コロナウイルス向けを含む抗IL-6受容体抗体「アクテムラ」や血友病治療薬「ヘムライブラ」、視神経脊髄炎スペクトラム障害治療薬「エンスプリング」などの輸出増で海外売上高が拡大。ロイヤリティ収入も大幅に増加した。21年12月期は売上収益8000億円(1.7%増)、コア営業利益3200億円(3.9%増)を見込む。
協和キリン(2020年12月期、2月4日発表)
売上収益3183億5200万円(前期比4.1%増)、コア営業利益599億5500万円(1.0%増)。バイオシミラーの普及に伴い腎性貧血治療薬「ネスプ」が大幅に売り上げを落としたものの、主力の抗FGF23抗体「クリースビータ」が北米を中心に海外で売り上げを拡大し、増収となった。海外売上収益の合計は1517億円(26.8%増)。21年12月期は、売上収益3510億円(10.3%増)、コア営業利益650億円(8.4%)を予想している。
鳥居薬品(2020年12月期、2月4日発表)
売上高417億円(前期比3.0%減)、営業利益47億3800万円(231.2%増)。アレルゲン領域の販売数量の増加で薬価改定の影響をカバーしたものの、抗HIV薬の流通経過措置終了に伴って手数料収入が減少し、減収となった。営業利益は、販管費や研究開発費の減少に加え、19年に行った早期退職の効果もあり大幅な増益。21年12月期は売上高457億円(9.6%増)、営業利益38億円(19.8%減)を見込む。
スイス・ロシュ(2020年12月期、2月4日発表)
売上高583億2300万スイスフラン(約6兆8238億円、前期比1%増)。うち、医薬品事業の売上高は2%減の445億3200万スイスフランだった。免疫チェックポイント阻害薬「テセントリク」(27億3800万スイスフラン、55%増)や血友病A治療薬「ヘムライブラ」(21億9000万スイスフラン、68%増)、多発性硬化症治療薬「Ocrevus」などが伸長し、「アバスチン」「リツキサン」など主要製品のバイオシミラー浸透による落ち込みをカバーした。21年12月期は1~5%の増収となる見通し。
米アッヴィ(2020年12月期、2月3日発表)
売上高458億40万ドル(約4兆8094億円、37.7%増)。抗IL-23p19抗体「スキリージ」(15億9000万ドル)やJAK阻害薬「リンヴォック」(7億3100万ドル)、血液がん治療薬「ベネクレクスタ」(13億3700万ドル)などが好調だった。21年12月期は、EPS(1株当たり純利益)のプラス成長を見込んでいる。
英グラクソ・スミスクライン(2020年12月期、2月3日発表)
売上高340億9900万ユーロ(約4兆2965億円、前期比3%増)。医薬品事業の売上高は176億5600万ユーロ(1%減)で、うち「Juluca」「ドウベイト」など抗HIV薬の売り上げは48億7600万ユーロ(1%増)だった。「テリルジー」「ヌーカラ」といった呼吸器疾患治療薬の成長が寄与。21年12月期は調整後のEPS(1株当たり純利益)で5~9%の減少となる見通し。
米アムジェン(2020年12月期、2月2日発表)
売上高254億2400万ドル(約2兆6695億円、前期比9%増)。販売価格の落ち込みや新型コロナウイルス感染拡大の影響があったものの、販売量の増加で増収となった。骨粗鬆症治療薬「イベニティ」(3億5000万ドル、85%増)や同「プラリア」(27億6300万ドル、3%増)、関節リウマチ治療薬「エンブレル」(49億9600万ドル、4%減)などが貢献した。21年12月期は売上高258~266億ドルの見込み。
デンマーク・ノボ ノルディスク(2020年12月期、2月3日発表)
売上高1269億4600万デンマーククローネ(約2億1580万円、前期比7%増)。2型糖尿病治療薬の「オゼンピック」(212億1100万デンマーククローネ、93%増)や同「リベルサス」(18億7300万デンマーククローネ)が伸長した。21年12月期は5~9%の増収を見込む。
米バイオジェン(2020年12月期、2月3日発表)
売上高134億4500万ドル(約1兆4117億円、前期比6%減)。多発性硬化症治療薬(86億7800万ドル、6%減)、脊髄性筋萎縮症治療薬「スピンラザ」(20億5200万ドル、2%減)など主力製品の売り上げが落ち込んだ。21年12月期は売上高104.5~107.5億ドルと減収を予想する。
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