中央社会保険医療協議会(中医協)総会は8月19日、ノバルティスファーマの慢性心不全治療薬「エンレスト錠」や同社の気管支喘息治療薬「エナジア吸入用カプセル」など新薬13成分25品目の薬価収載を了承した。8月26日に収載する。
ピーク時売上高 エンレスト141億円、エナジア251億円
ノバルティスファーマの「エンレスト錠」(一般名・サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)は、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害作用を持つ慢性心不全治療薬。薬価は、小野薬品工業の「コララン」を比較薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、▽50mg1錠65.70円▽100mg1錠115.20円▽200mg1錠201.90円――となった。ピーク時売上高は141億円を予測している。
ノバルティスの「エナジア吸入用カプセル」(インダカテロール酢酸塩/グリコピロニウム臭化物/モメタゾンフランカルボン酸エステル)は、気管支喘息では世界初となる長時間作用性β2刺激薬/長時間作用性抗コリン薬/吸入ステロイドの3剤配合剤。COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬の3剤配合剤「テリルジー」(グラクソ・スミスクライン)を比較薬とする類似薬効比較方式Iで薬価算定され、中用量1カプセルが291.90円、高用量1カプセルが333.40円となった。ピーク時の売上高予測は251億円。
腎性貧血治療薬のHIF-PH阻害薬2製品の薬価収載も了承された。グラクソ・スミスクラインの「ダーブロック錠」(ダプロデュスタット)と田辺三菱製薬の「バフセオ錠」(バダデュスタット)で、いずれもアステラス製薬の「エベレンゾ」を比較薬とする類似薬効比較方式Iで薬価算定。ピーク時売上高は、ダーブロックが111億円、バフセオが141億円を見込む。
エンスプリングに35%の有用性加算I
このほか8月26日付で薬価収載されるのは、
▽二次性進行型多発性硬化症治療薬「メーゼント錠」(シポニモド フマル酸)=ノバルティス
▽非小細胞肺がん治療薬「タブレクタ錠」(カプマチニブ塩酸塩水和物)=ノバルティス
▽乾癬治療薬「イルミア皮下注」(チルドラキズマブ)=サンファーマ
▽視神経脊髄炎スペクトラム障害治療薬「エンスプリング皮下注」(サトラリズマブ)=中外製薬
▽低血糖治療薬「バクスミー点鼻粉末剤」(グルカゴン)=日本イーライリリー
――など。
昨年3月に承認を取得しながら薬価収載が見送られていたゼリア新薬工業の鉄欠乏性貧血治療薬「フェインジェクト静注」(カルボキシマルトース第二鉄)も収載される。一方、今年6月に承認されたノボノルディスクファーマの経口GLP-1受容体作動薬「リベルサス錠」(セマグルチド)は収載を見送った。
エンスプリングは、初回再発までの期間を有意に延長したことなどが評価され、有用性加算I(加算率35%)を取得。メーゼントとバクスミーには、有用性加算II(加算率はいずれも5%)がついた。
新薬創出加算の対象となったのは、メーゼントやエンスプリングなど6成分。エンレストとエナジアは費用対効果評価の対象となった。