中央社会保険医療協議会(中医協)総会は11月13日、アステラス製薬の腎性貧血治療薬「エベレンゾ」や武田薬品工業のうつ病治療薬「トリンテリックス」、協和キリンの低リン血症性くる病・骨軟化症治療薬「クリースビータ」など新薬14成分33品目の薬価収載を了承した。11月19日に収載する。
エベレンゾは61.9億円、トリンテリックスは227億円の売上高予測
アステラス製薬の「エベレンゾ」(一般名・ロキサデュスタット)は、HIF-PH(低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素)阻害薬で、適応は透析施行中の腎性貧血。薬価は協和キリンのESA製剤「ネスプ」を再類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、20mg1錠387.40円、50mg1錠819.20円、100mg1錠1443.50円(1日薬価は465.80円)となった。ピーク時に61.9億円の売り上げを見込む。
中医協では2020年度の次期診療報酬改定で、HIF-PH阻害薬の薬剤料をESA製剤と同様に透析の技術料に包括化するかどうか検討している。改定までの当面の対応として、エベレンゾの薬剤料は技術料に包括するものとして取り扱い、出来高算定はできないこととする。
武田薬品工業の「トリンテリックス」(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)は、セロトニン再取り込み阻害作用とセロトニン受容体調節作用を持つうつ病・うつ状態の治療薬。薬価は持田製薬の「レクサプロ」を比較薬とする類似薬効比較方式Iで算定。海外ガイドラインで、認知機能障害を伴う大うつ病患者に対して最高のエビデンスレベルで推奨されていることが評価され、有用性加算II(加算率5%)がついた。薬価は10mg1錠168.90円、20mg1錠253.40円(1日薬価168.90円)。ピーク時の売上高は227億円と予測している。
クリースビータ、コララン、リティンパに有用性加算I
協和キリンの「クリースビータ」(ブロスマブ)は抗FGF23抗体で、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に対する治療薬。薬価は原価計算方式で算定。新規作用機序の薬剤であることに加え、臨床試験で既存治療に対する有意な改善が示されたことが評価され、有用性加算I(45%)がついた。市場性加算I(10%)もつき、外国平均価格調整による引き上げも行われた結果、薬価は10mg1mL1瓶30万4818円、20mg1mL1瓶60万8282円、30mg1mL1瓶91万1812円。ピーク時の売上高予測は74.5億円。
このほか有用性加算Iがついたのは、小野薬品工業の慢性心不全治療薬「コララン」(イバブラジン塩酸塩)と、ノーベルファーマの鼓膜穿孔治療薬「リティンパ」(トラフェルミン)。コラランは、審査報告書で「新たな治療選択肢として臨床現場に提供する意義はある」とされたことなどが評価され、35%の加算を獲得。リティンパの加算率も35%で、市場性加算II(5%)もついた。
トリンテリックスとコララン 費用対効果評価の対象に
このほか薬価収載が了承されたのは、
▽パーキンソン病治療薬「エクフィナ」(サフィナミドメシル酸塩)=MeijiSeikaファルマ
▽抗がん剤「ベネクレクスタ」(ベネトクラクス)=アッヴィ
▽抗菌薬「ラスビック」(ラスクフロキサシン塩酸塩)=杏林製薬
▽セロイドリポフスチン症2型治療薬「ブリニューラ」(セルリポナーゼ アルファ)=BioMarin Pharmaceutical Japan
▽抗がん剤「ポートラーザ」(ネシツムマブ)=日本化薬
▽パーキンソン病治療薬「ハルロピ」(ロピニロール塩酸塩)=久光製薬
など。ブリニューラには有用性加算II(5%)と市場性加算I(10%)がついた。
新薬創出・適応外薬解消等促進加算が適用されるのは、▽トリンテリックス▽ブリニューラ▽クリースビータ▽リティンパ――の4品目。トリンテリックスとコラランは費用対効果評価の対象となった。