薬価改定や後発医薬品の浸透で前年度比3.8%減の10兆4307億円となった2016年度の国内医療用医薬品市場(クインタイルズIMS調べ)。免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」が売り上げを急激に伸ばし、高額な薬剤をめぐる問題が大きな注目を集めました。
AnswersNewsでは、製薬各社が決算資料で公表した製品売上高などをもとに、16年度の国内医療用医薬品の売上高を製品別に集計。年間売上高50億円以上の212品目をランキングしました。
2年連続でトップとなったのは、1647億円を売り上げたC型肝炎治療薬「ハーボニー」。2位は前年比4.9倍に急成長した「オプジーボ」で、3位はARB「ミカルディス(配合剤含む)」でした。
「ハーボニー」4割減も首位キープ「オプジーボ」は1039億円
2016年度の国内医療用医薬品売上高トップとなったのは、ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬「ハーボニー」。昨年4月の薬価改定で特例拡大再算定を受け、売上高は前年度比38.8%減の1647億円(薬価ベース)に落ち込んだものの、2年連続で首位をキープしました。
2位は、1039億円を売り上げた小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」。患者数の多い肺がんに適応が広がったことで、売上高は前年度の4.9倍に急拡大しました。ただ、17年度は一転して28.8%減の740億円を予想。今年2月に薬価が50%引き下げられたことが打撃となります。
3位には932億円(前年度比4.1%減)でアステラス製薬のARB「ミカルディス」(配合剤を含む、単剤では576億円で13位)が入りました。4位は中外製薬の抗がん剤「アバスチン」、5位はファイザーの疼痛治療薬「リリカ」でした。
上位製品は軒並み売り上げ減
売上高上位20品目を見ると、前年度から売り上げを伸ばしたのは「オプジーボ」やPPI「ネキシウム」、抗凝固薬「イグザレルト」など4品目のみ。薬価改定や後発医薬品の浸透で、上位品目は軒並み売り上げを減らしました。
前年度2位だったギリアドのC型肝炎治療薬「ソバルディ」は、特例拡大再算定を受けたことで52.7%の大幅減。前年度3位だったサノフィの抗血小板薬「プラビックス」も、特例拡大再算定に加えて後発品の影響を受け、55.5%減と落ち込み、トップ20の圏外となりました。
「サイラムザ」「タケキャブ」など3桁増
前年度からの伸び率が大きかったのは、898.0%増となった特発性肺線維症治療薬「オフェブ」や812.3%増のGLP-1受容体作動薬「トルリシティ」、391.3%増の「オプジーボ」など。抗がん剤「サイラムザ」や酸関連疾患治療薬「タケキャブ」、抗血小板薬「エフィエント」なども3桁成長となりました。
オーソライズド・ジェネリックに勢い
2016年度のランキングで特筆すべきは、オーソライズド・ジェネリック(AG)が2品目ランクインしたことです。
あすか製薬のARB「カンデサルタン」(先発医薬品・ブロプレス、配合剤を含む)は、前年度比39.9%増の128億円と100億円の大台を突破。昨年9月に発売されたキョーリン製薬ホールディングスの喘息・アレルギー治療薬「モンテルカスト」(同・シングレア/キプレス)は発売半年で82億円を売り上げました。17年度は、カンデサルタンが136億円(7.0%増)、モンテルカストが103億円(25.6%増)を予想しています。
DPP-4阻害薬「トラゼンタ」好調
領域別に見ると、糖尿病では日本ベーリンガーインゲルハイムのDPP-4阻害薬「トラゼンタ」が好調です。ほかのDPP-4阻害薬が軒並み売り上げを落とす中、「トラゼンタ」は前年度比10.4%増の385億円と売り上げを拡大。「エクア」と「ネシーナ」を抜き、「ジャヌビア」に次ぐDPP-4阻害薬2番手に浮上しました。DPP-4阻害薬では、第一三共の「テネリア」も46.1%増の242億円と大きく伸びています。
一方、次世代の糖尿病治療薬として期待されたSGLT-2阻害薬には、まだ思ったほどの勢いが見られません。ランキングにはアステラス製薬の「スーグラ」(95億円、30.2%増)と、小野薬品工業の「フォシーガ」(78億円、82.6%増)の2品目がランクイン。いずれも売り上げを大きく伸ばしたものの、期初に立てた予想には達しませんでした。
市場が急拡大する経口抗凝固薬では、バイエル薬品の「イグザレルト」が673億円(23.8%増)で初のトップ10入り。「プラザキサ」は売り上げを落としたものの、第一三共の「リクシアナ」は倍増しました。「リクシアナ」は17年度も50%を超える成長を予想。激しい競争が続きます。
【ランキング】年間売上高50億円以上の212品目を一気に
ここからはランキングです。2016年度の国内売上高が50億円以上の医療用医薬品212品目を一気に紹介します。
ランキングは、▽国内製薬会社の17年3月期(16年12月期、17年2月期の企業もあり)▽外資系企業の業績発表資料(データ元はクインタイルズIMS)▽クインタイルズIMSの市場データ(国内上位10品目)―などをもとに作成。これらのデータから編集部が算出した数値も含まれます。集計対象は年間売上高が50億円以上の先発医薬品とバイオシミラー、オーソライズド・ジェネリック。それ以外の後発医薬品は除外しました。
外資系企業の多くは国内の製品売上高を公表しておらず、ランキングに反映されない品目もあります。外資系企業の製品売上高は薬価ベースのため、医薬品卸しへの販売額をベースとする国内企業の数値に比べて売上高が高めに出る傾向にあります。こうした点に留意した上でご覧ください。 |
【AnswersNews編集部が製薬会社を分析!】 |
AnswersNews編集部が製薬企業をレポート
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