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第2回 CRAと治験と医学統計の身近な関係 治験は医学統計抜きでは語れない!

[ 2014年01月22日(水) ]

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医薬品などの人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に臨床開発試験または「治験」と呼ばれています。

さくらさん、ちなみに、治験はなんの略称か知っていますか?

『ええと、治療試験の略でしたよね?』

その通り。治験は治療試験の略称です。では、治験を英語で言うと、なんでしょう?

『ええ!!英語ですか?臨床試験は、clinical trial だけど。治験は…。』

意外に知られていませんが、日本では、制度上、臨床試験と治験は別のものですが、海外では区別されません。 英語で言えば、治験も臨床試験もどちらも同じ、trialなんです。

『初めて知りました。』

今回は、この治験と医学統計がどんな関係にあるのか、CRA のお仕事と医学統計がどんな関係があるのかについて、お話ししたいと思います。

この治験には、GCPというルールがあり、それにのっとって、治験は行われます。 製薬会社は、治験が適正に行われていることを確認しなければならず、その確認作業を行うのが、CRA=臨床開発モニターになるわけです。 CRAは、治験の進行を調査して、「治験実施計画書」やGCPの規則を守って適正に行われていることを確認するわけですよね?

『ええ。私たち、モニターの仕事は、治験が、GCPの規則や「治験実施計画書」に従って実施・記録・報告されていること、また被験者の人権・安全・福祉が保護されていることを保証すること、です。患者さんの役に立つ医薬品の開発に携われる素晴らしい仕事だと思います。』

その通りですね。 そのためには、治験から得られたデータは、正確で信頼できるものでなくてはならない。 治験が、正しい計画、正しい手順の下に実施されて初めて、患者さんの役に立つことができるわけです。 では、その「正しい計画、正しい手順」って、なんだと思いますか? どうして、その治験から得られたデータが、正確で信頼できるものだって言えるんですか?

『え!?そんなこと、考えたこともなかったです…。』

CRAの皆さんは、治験に参加する医療機関を訪問して担当医師と面談し、治験の目的やデザイン、方法、統計学的な考察、組織・責任体制を記載した「治験実施計画書」の説明を行いますよね。 そして、臨床試験の進行状況を調べて、症例報告書の記入依頼・回収・精査までを行っている…。

『はい、その通りです。』

実は、 CRAさんが取り扱う「治験実施計画書」の中の治験の目的やデザイン、方法の正しさを支えているのが、医学統計の考え方なんですよ。

『え、そうなんですか!?』

実は、そうなんです。 みなさんの業務は、ドクターとのやりとりがメインだと思いますが、医薬品開発に携わっている立場から、エンドユーザーは患者さんと考えることができます。 治験を依頼するドクターの立場になって、考えてみましょう。 患者さんの治療方法を考えるために、臨床現場のドクターは、治療法を選択する際に臨床試験の医学論文を吟味したりします。 論文の作者が出してきたデータが正しいのか正しくないのか、自分の患者に合っているのかいないのか、そういったことを判断するために、ドクターは、まず、統計のデータを読んでいきます。 こんなことを考えたくはありませんが、もし、その臨床試験が、でたらめな実施計画で行われていたとしたら?

『そんなことはないと思いますけど…。出てきたデータもでたらめになってしまうかも知れませんね。最終的に患者さんの不利益になるかも…。』

もちろん、基本的に「ない」と思います。 でも、「正しい計画、正しい手順」が実現されないと、最終的に患者さんの不利益になる可能性があるわけです。 ここに、CRAのみなさんが取り扱う「治験実施計画書」を支えている医学統計の概念や考え方を理解しておく意義があります。 自分が担当している治験から得られたデータが、どうして、正確で信頼できるものと言えるのか? 知りたいと思いませんか?

『それは知りたいです!! でも、まだ、正直ピンときてないです…。いろいろな意味で自信がなくて…。』

そうですか。 でも、大丈夫。 医学統計を学ぶと、自分の「治験実施計画書」にも、より自信を持つことができるようになるはずです。 では、次回は治験における医学統計の重要性について、別の視点からもう少し考えてみることにしましょう。

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