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  3. CRAの仕事内容

CRA(臨床開発モニター)の仕事内容

パソコンで業務をするCRAのイメージ

CRAの業務内容は、治験が適切に行われているか監視(モニタリング)することです。
ここでは、そんなCRAの業務内容をひとつひとつ解説していくほか、1日の流れや1週間の流れなど、さまざまな角度から、CRAの仕事をわかりやすく説明していきます。

1. CRA(臨床開発モニター)の仕事内容

CRAの仕事内容は役職によって異なる

CRA(臨床開発モニター)の業務内容は、スタッフクラスかリーダークラスかなど、役職によって異なります。

スタッフクラスのCRAが行う仕事

・ 治験実施に関わる契約・諸準備
・ 治験モニタリング業務
・ 治験終了手続き
・ 業務報告書の作成

リーダークラスのCRAが行う仕事

・ プロトコールのレビュー
・ 治験を実施する医療機関および責任医師の選定
・ 治験に関する管理業務

2. スタッフクラスのCRAが行う仕事

治験実施に関わる契約・諸準備

治験を行う医療機関を決定した後は、医療機関側に治験の内容を説明し、同意を得る必要があります。CRAは製薬メーカーの用意したプロトコール(治験実施計画書)を元に、治験内容の説明・モニタリングスケジュールの確認をし、その上で、施設と契約を締結します。
契約締結後は、治験薬の搬入を行うなどして治験実施に備えます。

契約手続きだけでなく交渉も業務のうち
契約条件の設定にあたっては、CRAの交渉力が重要です。医療機関に治験に協力してもらいつつ、費用負担などがあまりにも製薬メーカー側にとって不利な契約条件にならないように、製薬メーカー側の代表者として交渉するのもCRAの業務の一つになります。
被験者の登録促進は重要な準備の一つ
治験基準に合致する患者がいたとしても、治験に協力してくれるとは限りません。患者に治験について理解・同意してもらうには、治験責任医師やCRCとの連携が欠かせません。患者への直接の説明はCRC(治験コーディネーター)などのスタッフが行いますが、一人でも多くの被験者に協力を得るために、CRAは治験資料の作成やカルテのスクリーニングによる候補者探しを行います。
誤った処方がされないよう管理を行うことも
治験薬との併用が禁止されている薬を服用している患者に用いてしまったり、薬の取り違えが起きてしまったり…。処方のミスがないよう、薬のリストを作成したり管理体制の整備に協力したりするのもCRAの仕事です。

治験モニタリング業務

治験モニタリング業務とは、治験がプロトコール通りに行われているかをチェックすること。CRAにとって重要な業務です。
被験者の安全が守られているかはもちろん、薬事法およびGCPを遵守しているか、治験から得られたデータが正確で信憑性があるものか…治験が正しく行われるよう、入念にチェックを行います。

モニタリング業務の具体的な進め方

・医師へのヒアリング
プロトコールに違反することなく治験が進められているか、効果が出ているか、副作用が起きていないかを、医師へのヒアリングによって確かめます。被験者へのヒアリングはCRCが行います。
・CRF(症例報告書)のチェック
CRFは、ケースカードまたは調査票とも呼ばれるカルテのようなもの。患者さんの体型や診断内容、薬の効き目など、治験に必要なデータをすべて記した重要書類です。治験の進行とともに治験責任医師が作成するものですが、CRAはカルテなどの原資料と付き合わせを行うなどして内容に不備がないか確認します。
・CRFの回収
内容に不備がなければ、CRFを回収します。

治験終了手続き

プロトコールに沿って治験が行われていることや回収したCRFに不備がないことが確認されたら、CRAは治験の終了を医療機関側(治験責任医師)に伝え、医療機関側のSOP(標準作業手順書)に従って治験を終了します。

報告書の作成

CRAは、自身の所感を交えた業務報告書を作成します(回収したCRFとは別)。報告書の作成は会社に戻って行います。加えて、次回の治験に備えた準備や振り返りも実施します。

このほかにも、万が一治験中に有害事象(副作用)が発生した場合は、その内容と状況を確認します。重篤な場合は治験審査委員会(IRB)へ報告を行い、薬との因果関係を調査します。

3. リーダークラスのCRAが行う仕事

プロトコールのレビュー

書類を扱うCRAのイメージ

プロトコールとはどのような治験をどのような手順で実施するかをまとめた規定書のことです。治験実施計画書とも呼ばれます。
製薬メーカーが治験進行中に問題が起きないよう計画した規定が、数十ページにわたって細部に至るまで記されています。

プロトコールの作成方法は製薬メーカーによりさまざまですが、よくあるのはまず開発企画が中心となって社内案をまとめ、それをベースにプロジェクトマネージャーやリーダークラスのCRAが社内の関係者や医師と協議をして完成形に導いていくという流れです。完成したプロトコールは社内IRB審査(治験が科学的・倫理的に正しく実施できるかを審査する委員会)にかけられ、承認を得た後に責任医師や医療機関との治験実施合意へと向かいます。

コラム:製薬メーカーのCRAもプロトコールの作成までは行わない

よく「プロトコール作成がしたいから製薬メーカーに転職したい」という声が聞かれますが、実際にはメーカーのCRAがプロトコールの作成まで行うことはほぼありません。
プロトコールの作成は、開発企画(臨床企画)が行うため、作成業務に携わるには開発企画へキャリアアップする必要があります。

治験を実施する医療機関および責任医師の選定

治験を実施するにあたって最初に行うのは、その薬に見合う医療機関の選別です。医療機関の適格性評価を行い、どこの施設で・どの医師の下で治験を行うかを確定します。
病院・医療機関によって診療科目も患者も異なるため、しっかりと調査をした上での選定が重要です。

医療機関の選定は製薬メーカー・医療機関双方の観点から総合的に行う
医療機関の選定は、プロトコールのみならず各種法規制などを基に総合的に行われます。医療機関側で定められているSOP(標準作業手順書)の内容や治験に掛かるコスト、賠償・補償関連のルール、医療機関側が院内に設置している治験審査委員会(院内設置審査委員会)の活動記録や構成員などを確認します。
治験責任医師の選定は、抱えている被験者候補の数で
被験者への投薬やデータ記入など、実際に治験を進めるのは医療機関側です。そのため医療機関側の責任者となる治験責任医師の選択においては、GCP(国が定めた治験の実施基準に関する規則)の責任医師の要件に合致すること、治験の経験が豊富なことはもちろん、最終的には被験者となりそうな患者をどれくらい抱えているかが、判断の鍵になります。

治験に関する管理業務

メンバーのマネジメントや進捗管理、予算に対する出張費をはじめとする各種費用の管理など、治験を円滑に進めていく上でのマネジメント業務を行います。加えて、グローバルや上層部に治験の進捗状況を報告するのも仕事の一つです。

4. CRAの仕事量

業務内容がわかったところで、次は実際の仕事量がどれくらいかを見ていきましょう。

一度に手がける治験は1~3件(1~3プロトコール)

治験は薬の効能別にプロトコールを単位として数えます。例えばAという薬の「肺がんに効く」という効能で1プロトコール。同じAという薬でも「肺がんに効く」「大腸がんに効く」と効能が二つあれば、2プロトコールとなり、肺がんの被験者と大腸がんの被験者の二つに分かれて治験が行われます。

一人のCRAが担当するのは、一般的に1~3プロトコール程度。1プロトコールあたり数ヶ月~1年程度投薬が続くため、CRAはしばらくの間同じプロトコールと向き合うことになります。

担当する施設は3~4施設

CRA一人あたりの担当分は、製薬メーカー・CRO問わず、プロトコール1件あたり病院3~4施設となります。
より偏りのないデータを得られるように、治験は1プロトコールあたり数十単位の施設で一斉に行われます。その全てを1人が担当するのは困難なため、実際は複数のCRAで、3~4施設ずつ分担してモニタリングを進めます。
一部の多忙なメーカーでは、プロトコール数が3、施設数が10以上ということも。ただしその場合は、「品質管理(QC)」「治験管理」と呼ばれるサポート部隊に書類作成業務や契約に関するやりとりなどを任せるなどして、業務量を調整するのが一般的です。

5. CRAの1週間

CRAの仕事には外勤(治験実施医療機関を訪問)と内勤(報告書の作成など)の双方があります。遠方へ外出する際は直行直帰となる場合も多く、内勤の日と外勤の日がある程度はっきりと分かれるのが特徴です。下記はその一例です。

あるCRAの1週間のスケジュールの一例。月曜日は某県のA病院に直行。11時から20時まで勤務してそのまま家に直帰。火曜日は都内のB病院に直行し10時から16時まで勤務。その後オフィスに戻って報告書を作成、19時に退社。水曜日はオフィスに出社し10時から15時までCRFをチェック。その後報告書を作成し19時に退社。木曜日は飛行機で某県のC病院に直行。12時から18時まで勤務し、そのまま直帰。金曜日は10時から19時まで終日オフィス勤務。CRFチェックなど事務作業に取り組む。

外出時は、事前にアポイントを取っていくことが一般的なため、予定を立てて行動しやすい環境といえます。
プロジェクトの立ち上げ期は忙しい、治験開始後数ヶ月間は訪問頻度が高いなど、治験の状況によってスケジュールの詳細は変わります。

CRAの服装

外出の日はスーツ、内勤時は服装自由またはオフィスカジュアルということが多いです。

6. CRAの残業時間・出張・休日

残業時間は月20~30時間

CRAの平均的な残業時間は月20~30時間と言われています。ただし、治験の立ち上げ直後は50時間程度、ある程度軌道に乗ると10時間程度になるなど、状況によって変動します。
「忙しい」と感じる要因の大半は出張・外出が理由とも言われます。例えば担当の病院が遠方の場合は、移動に時間がかかる分、拘束時間が長くなったりします。

こうした事情ゆえに、業務の状況次第で遅くなる日がしばらく続いたかと思えば定時上がりが続くようになるということもしばしばあるようです。極端な例ですが、製品が少ない製薬メーカーのCRAや派遣型CROのCRAのなかには、ほぼ毎日定時上がりという人もいるのだとか。
なお、残業代は全額支給が一般的です。

転勤はナシ、出張はアリ

出張に向かうCRAのイメージ

治験は全国各地の病院で行われますが、拠点の場所は決まっているため、転勤はほとんどありません。
ただしその分遠方に足を運ぶことになるため、出張が発生します。担当施設によっては飛行機での出張も珍しくありません。移動時間がちょっとしたリフレッシュタイムになることもあるそうです。

平日勤務・土日祝休みが一般的

CRAの勤務はカレンダー通りの土日祝休み。担当する医療機関の都合などで、稀に休日出勤が発生する場合があるものの、年間休日は平均120日前後と決して少なくはありません。

CRAの大変さは出張とプレッシャー

業務量は激務というほど多くないCRAですが、その大変さは出張や納期間際のプレッシャーにあるようです。実際にCROでCRAとして従事されている方に調査を行うと「出張が重なったときや納期が近づいたときは大変に思うことがある」という回答が返ってきました。

CRAになると出張が日常的に発生することもしばしば。また複数の出張が重なると、稼働時間がどうしても長くなります。こうした生活に慣れるまでは、体力的に厳しさを覚える人もいるようです。逆に色々な場所へ行けることを楽しめる人にとっては、むしろ魅力的かもしれません。

また納期が迫ったときや治験の進行が計画書より遅れてしまった際に大変さを感じるCRAもいるようです。また、治験審査委員会(IRB)や社内の関係各所に対してプレッシャーを感じる場面も少なからずあるようです。とはいえ、計画通りに進んでいれば特に感じることはないとのことです。

7. CRAの仕事はどれくらい営業的か?

出張や訪問と聞いて「CRAの仕事は営業に近いのでは?」という印象を持つ人も多いと言われますが、実情はどうなのでしょうか。

ノルマは無いが目標はある

CRAには獲得症例数という目標が定められています。これはメーカー・CRO問わずどの会社でもあるものです。
よく営業のノルマと混同されがちですが、CRAの獲得症例数はあくまで目標値。目標に届かなかったとしても、ペナルティがあるわけではありません。症例獲得数の目標は、治験に必要な症例数に対してできるだけ多くの症例を集めることが望まれています。

とはいえ、症例獲得件数は給料などの評価に繋がるのは事実。CRAの多くは目標を意識して働いています。

営業活動はしないが、コミュニケーション力は大切

CRAは営業のように商品の提案や受注といった売り込み活動は行いません。ただし、より多くの症例獲得に向けて1人でも多くの被験者を募るべく、症例組み入れの啓蒙活動を行うことはあります。

症例組み入れの啓蒙活動とは、治験対象となり得る患者を掘り起こした上で担当施設の医師にいまいちど治験内容の詳細を説明し「この患者さんに治験協力を促してくれませんか」とお願いすることをいいます。

他にも、全ての人に気持ちよく協力してもらえるような気配りとコミュニケーション力が大切です。医師や看護師といった協力者、CROであればクライアントである製薬メーカーなど、治験は多くの人々と関わりながら進めていきます。関わる相手への気配りとコミュニケーション力はCRAにとっての大切なポイントです。

8.まとめ

以上がCRAの仕事内容です。治験が円滑に進む上でのモニタリング業務がメインですが、ポジションによって、他にも幅広い業務を担うことがおわかり頂けたと思います。

1週間のおよそ半分を内勤、残り半分を施設訪問・出張などの外勤で過ごすCRA。遠方への出張が多くなると、帰宅時間は少々遅くなりがちですが、業務量は激務というほど多くありません。

CRAは営業職とは一線を画する仕事ですが、目標数字を意識して働くことがあります。コミュニケーション力も大切です。