CRA(臨床開発モニター)の仕事内容・働き方
CRA(臨床開発モニター)の仕事は、治験が適切に行われているかモニタリング(監視)することです。ここでは、CRAの仕事内容や1週間の流れ、残業時間・休日の実態などを解説します。
CRA(臨床開発モニター)の仕事は、治験が適切に行われているかモニタリング(監視)することです。ここでは、CRAの仕事内容や1週間の流れ、残業時間・休日の実態などを解説します。
CRA(臨床開発モニター)は、新薬の有効性や安全性を確かめる治験(臨床開発試験)の円滑な進行をサポートするのが仕事です。開発中の薬を実際の患者(被験者)に投薬する治験の場で、主に症例データの収集や進捗状況の管理を担います。
CRAの仕事は、治験を行う医療機関と治験責任医師の選定、実施依頼・契約手続き、モニタリング業務、報告書の作成、終了手続きの流れで進められます。
治験開始前
治験実施中
治験終了時
最初に行うのは、治験を行う医療機関と治験責任医師の選定です。医療機関の適格性評価を行い、どこの施設で・どの医師の下で治験を行うかを確定します。
CRAは製薬メーカーの用意したプロトコール(治験実施計画書)を元に、医療機関に治験内容やスケジュールの説明をし、契約を結びます。
※プロトコール(治験実施計画書)…治験進行中に問題が起きないよう計画した規定。治験の目的・根拠、統計学的な考察、治験を行う組織、実施方法などが記載されている。
契約締結後は、治験薬の搬入をはじめ被験者の登録を促したり薬の管理体制を整えたりして治験開始に備えます。
モニタリング業務では、医療機関を訪問し、治験がプロトコール通りに行われているかチェックします。CRAにとって最も重要な業務です。
被験者の安全はもちろん、薬機法(医薬品医療機器等法)およびGCP(Good Clinical Practice/医薬品の臨床試験の実施基準)など各種規定を遵守しているか、得られたデータが正確で信憑性があるものかなど、入念にチェックを行います。
CRAは、医師からのヒアリング内容や被験者の情報、業務内容の詳細を記した業務報告書を作成します(回収したCRFとは別)。
万が一治験中に有害事象(副作用)が発生した場合は、症状の詳細を確認します。重篤な場合は治験審査委員会(IRB)へ報告を行い、薬との因果関係を調査します。
全被験者の治験参加が終了し、プロトコールに沿って治験が行われていることや回収したCRFに不備がないことが確認できたら、手続きを行って治験を終了します。
CRAの仕事には外勤(医療機関を訪問)と内勤(報告書の作成など)の双方があります。遠方へ外出する際は直行直帰となる場合も多く、内勤の日と外勤の日がある程度はっきりと分かれるのが特徴です。下記はその一例です。
外出時は、事前にアポイントを取っていくことが一般的なため、予定を立てて行動しやすい働き方といえます。治験の立ち上げ期は忙しい、治験開始後数ヶ月間は医療機関への訪問頻度が高いため外勤の割合が多いなど、治験の状況によってスケジュールは変わります。
1人のCRAが担当する治験は、一般的に1~3件程度。1件あたり数ヶ月~1年程度投薬が続くため、CRAはしばらくの間同じ案件と向き合うことになります。
治験は薬の効能別に「プロトコール」を単位として数えます。例えばAという薬の「肺がんに効く」という効能で1プロトコール。同じAという薬でも「肺がんに効く」「大腸がんに効く」と効能が2つあれば、2プロトコールとなり、肺がんの被験者と大腸がんの被験者の2つに分かれて治験が行われます。
担当する医療機関の数は1プロトコールあたり病院3~4施設が一般的です。より偏りのないデータを得られるように、治験は1プロトコールあたり数十単位の医療機関で一斉に行われます。モニタリングは複数のCRAで、3~4施設ずつ分担して進められます。
企業によっては、プロトコール数が3、施設数が10以上と1人あたりの担当数が多い場合も。ただしその場合は、「品質管理(QC)」「治験管理」と呼ばれるサポート部隊に、書類作成業務や契約に関するやりとりを任せるなどして、業務量を調整します。
CRAの平均的な残業時間は月20~30時間。ただし、治験の立ち上げ直後は50時間程度、ある程度軌道に乗ると10時間程度になるなど、状況によって変動します。
出張・外出も残業時間が変動する要素のひとつです。例えば担当の医療機関が遠方の場合は、移動によって拘束時間が長くなります。
なお、残業代は全額支給が一般的です。
CRAの場合、転勤はほとんどありません。ただし治験は全国各地の病院で行われるため、担当施設によっては出張が発生します。エリアによっては飛行機での出張も珍しくありません。
CRAの勤務はカレンダー通りの土日祝休み。年間休日は平均120日前後です。担当する医療機関の都合などで休日出勤が発生することはあります。
外出の日はスーツ、内勤時は服装自由またはオフィスカジュアルということが多いです。
どの企業でも、基本的なCRAの仕事内容は同じです。ただし、製薬メーカーとCROとでは、働き方や対応する業務の幅がやや異なります。
製薬メーカーで働くCRAは、モニタリング業務や試験進捗管理、CROの管理など幅広い業務を担います。CROを活用する企業の場合、CROへの委託業務ボリュームが大きいほど、モニタリング以外の仕事の割合が高くなります。
CROで働くCRAは、製薬メーカーから受託した治験を担当し、主にモニタリング業務を行います。
CROには受託型と派遣型の2種類ありますが、受託型の場合、自社のCRAと協力しながら、モニタリング業務を中心に仕事を進めるスタイルが一般的です。一方で派遣型の場合は、クライアントである製薬メーカーのCRAとともにモニタリング業務に臨みます。プロジェクトによっては、試験進捗管理など製薬メーカー側の仕事を担当することもあります。
CRAがキャリアアップすると、モニタリング業務以外の仕事に携わるようになります。具体的には治験に関するマネジメント業務やプロトコール(治験実施計画書)のレビューなどが挙げられます。
CRAの仕事は治験が円滑かつ適切に進むようサポートすることです。
薬の有効性や安全性を立証するために、症例データを収集したり治験の実施状況を確認したりします。
1週間のおよそ半分を内勤、残り半分を施設訪問・出張などの外勤で過ごすのがよくあるCRAの働き方。治験の状況や担当施設の場所によって外勤の頻度や残業時間が変わります。