IQVIAは8月20日、2024年4~6月の国内医療用医薬品市場が前年同期比0.8%増の2兆8169億円だったと発表した。製品別では、MSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」が472億円でトップ。4月の薬価引き下げが響いた小野薬品工業の同「オプジーボ」は363億円で3位となり、2位には第一三共の抗凝固薬「リクシアナ」がランクインした。
伸び率鈍化
市場が前年同期を上回るのは21年4~6月期以降、13四半期連続だが、伸び率は鈍化した。市場の内訳は、▽病院(病床数100床以上)1兆3488億円(前年同期比1.6%増)▽開業医(100床未満)4894億円(1.6%減)▽薬局その他9787億円(1.0%増)――だった。
「リクシアナ」13.8%増で売り上げ2位
製品別売上高(薬価ベース)では、キイトルーダが前年同期比18.1%増の472億円でトップ。2位のリクシアナは13.8%増の380億円を売り上げて前の四半期から順位を上げた一方、オプジーボは4月の薬価改定で市場拡大再算定(共連れ)による引き下げを受けた影響で13.8%減の363億円にとどまった。
アトピー性皮膚炎などの治療薬「デュピクセント」(サノフィ)は55.8%増の288億円で、前の四半期から3つ順位を上げて5位にランクイン。中外製薬の免疫チェックポイント阻害薬「テセントリク」もトップ10入りした。
抗腫瘍剤市場 4年ぶり低成長
薬効別では、「抗腫瘍剤」が0.8%増の5019億円でトップ。2位は「糖尿病治療剤」(1945億円、5.5%増)、3位は「免疫抑制剤」(1619億円、4.8%増)だった。抗腫瘍剤は20年7~9月期のマイナス1.5%に次ぐ低成長。前年同期は新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴って受診患者数が急回復した時期にあたり、その反動が出たとみられる。
6位に入った「その他の治療を目的とする薬剤」は13.5%増。アストラゼネカの高カリウム血症治療薬「ロケルマ」(31.2%増)や漢方の「大建中湯」(45.1%増)、「抑肝散」(45.8%増)などが市場を牽引した。