田辺三菱、神経精神疾患治療薬候補をオランダ企業に導出
田辺三菱製薬は11月8日、神経精神疾患治療薬候補「MT-5356」について、オランダのKynexisに導出するライセンス契約を締結したと発表した。Kynexisに全世界での開発・販売とそれらに必要な研究活動の独占的実施権を許諾。契約一時金、開発マイルストン、販売ロイヤリティを受け取る。同薬は田辺三菱が創製したKynurenine aminotransferase 2(KAT-II)阻害薬。KAT-IIはトリプトファン代謝系の酵素で、キヌレニンからキヌレン酸を生成する。キヌレン酸は統合失調症に伴う認知機能との関連性が示唆されており、MT-5356はKAT-IIを阻害することで脳内キヌレン酸濃度を低下させ、統合失調症の認知機能障害を改善することが期待される。
大塚、販売権持つ神経心理検査用プログラムが承認
大塚製薬は11月8日、国内販売権を持つ神経心理検査用プログラム「ミレボ」について、開発元のアイ・ブレインサイエンス(大阪府吹田市)が薬事承認を取得したと発表した。アイトラッキング(視線計測)技術を使ったアプリで、認知症の診療支援に使用。被験者が画面に表示される質問に沿って正解の部分を見つめると、データを自動的にスコア化する。従来の問診式の検査は約20分の時間がかかり、検査をする側にも専門的な知識・経験が必要だが、ミレボは約3分で済み、検査者の知識や経験によらず客観的に評価できるという。今後、保険適用の手続きを行い、準備が整い次第、発売する。
大塚メディカルデバイス、米国初の腎デナベーションデバイスが承認
大塚メディカルデバイスは11月8日、米国子会社Recor Medicalが開発した「Paradise超音波腎デナベーションシステム」が米国で承認されたと発表した。腎交感神経の過活動を抑制することで血圧を下げる医療機器で、既存治療で十分に血圧をコントロールできない患者が対象となる。腎デナベーションシステムの承認は米国初。
決算
杏林製薬(23年4~9月期、11月8日発表)
▽売上高549億3700万円(前年同期比11.9%増)▽営業利益11億4400万円(47.2%増)▽経常利益13億8700万円(18.4%増)▽純利益17億5700万円(41.4%増)。主力の過活動膀胱治療薬「ベオーバ」やニューキノロン系抗菌薬「ラスビック」が大幅に伸び、新製品の咳嗽治療薬「リフヌア」や後発医薬品も好調に推移した。24年3月期の業績予想は、従来予想(売上高1162億円、営業利益60億円)を据え置いた。
科研製薬(23年4~9月期、11月8日発表)
▽売上高361億7100万円(前年同期比1.8%減)▽営業利益55億1200万円(32.8%減)▽経常利益57億2200万円(33.1%減)▽純利益40億6800万円(31.8%減)。原発性腋窩多汗症治療薬「エクロック」や関節機能改善剤「アルツ」などの売り上げが増加したものの、競合品や薬価改定の影響に加え、戦略投資をしたことで減収減益となった。24年3月期の業績予想は、従来予想(売上高731億円、営業利益76億円)に変更はない。
生化学工業(23年4~9月期、11月8日発表)
▽売上高180億6100万円(前年同期比4.7%増)▽営業利益14億8200万円(43.2%減)▽経常利益23億2700万円(35.4%減)▽純利益21億200万円(33.1%減)。関節機能改善剤「アルツ」は競合品からの切り替え施策が奏功し、販売数量が増加。ロイヤリティの増加もあって増収となった一方、原価率の上昇や販管費の増加が利益に響いた。24年3月期の業績予想は、売上高361億円(従来予想比35億5000万円増)、営業利益13億円(12億円増)に上方修正。中国向けアルツや国内医薬品の増加により、売り上げ、利益とも従来予想を上回る見通しとなった。