大塚とタカラバイオ、TCR遺伝子導入T細胞療法の提携を終了
大塚製薬とタカラバイオは11月10日、NY-ESO-1・siTCR遺伝子治療薬mipetresgene autoleucelの共同開発・販売に関する契約を終了すると発表した。申請に向けた準備を行っていたが、方針や戦略を両社で総合的に検討した結果、契約を終了することで合意した。決定は有効性や安全性の問題によるものではないという。同薬はタカラバイオが創製したTCR遺伝子導入T細胞療法で、先駆け審査指定制度の対象品目。両社は2018年に契約を結び、滑膜肉腫に対する同薬の国内臨床第1/2相(P1/2)試験を進めてきた。大塚はタカラバイオから許諾された権利を返還する。両社は昨年11月にも、CAR-T細胞療法と腫瘍溶解性ウイルスに関するライセンス契約を終了している。
アキュリス、てんかん発作に対する経鼻投与スプレーのP3試験開始
アキュリスファーマ(東京都港区)は11月10日、抗けいれん薬ジアゼパムの経鼻投与スプレー製剤(開発コード・NRL-1)について、国内P3試験を開始したと発表した。適応は「てんかん重積状態またはてんかん重積状態にいたるおそれのあるけいれん発作」で、小児患者15人を対象に実施する。同薬は米Neurelisが開発した製剤で、アキュリスは日本とアジア太平洋地域での権利を持つ。米国では「VALTOCO」の製品名で販売されている。
MICINと中外、eSourceによる臨床試験の効率化を検証
MICIN(マイシン、東京都千代田区)は11月10日、中外製薬と共同でeSourceを活用した臨床試験データ管理手法の検証を行い、有用性が期待される結果が得られたと発表した。eSourceは、原資料(Source Data)を電子的に作成するツールで、EDC(Electronic Data Capture)システムと連携することで原資料の直接閲覧(SDV)プロセスを削減できると期待される。今回、MICINのDCT(分散型臨床試験)プラットフォーム「MiROHA」を使って両社が検証したところ、eSourceとEDCの連携で効率的にデータを収集・管理できる可能性が示唆された。結果をもとに、MICINはeSourceの普及を進めていくとしている。
アムジェン 18日付でスギノ社長が辞任
アムジェンは11月9日、スティーブ・スギノ社長が18日付で辞任すると発表した。後任には、米国本社シニア・バイスプレジデント兼日本アジア太平洋地域ゼネラルマネージャーのミー・リン・カー氏が暫定的に就任する。スギノ氏は2017年から日本法人社長を務めていた。
科研、ベンチャーファンドに最大10億円出資
科研製薬は11月9日、アクシル・キャピタルが設立したファンド「アクシル・ライフサイエンス&ヘルスケアファンド2号投資事業有限責任組合」に最大10億円を出資すると発表した。出資を通じて未上場ベンチャーとのネットワークを構築し、開発パイプライン拡大につなげるねらい。
決算
富士製薬工業(2022年9月期、11月10日発表)
売上高354億2600万円(前期比4.2%増)、営業利益37億7700万円(12.8%増)。女性医療領域を中心とするホルモン剤(133億100万円、13.1%増)の売り上げ増や、タイ子会社OLICが手掛けるCMO事業の拡大で増収増益となった。2023年9月期の通期予想は売上高433億1100万円、営業利益40億4800万円を見込む。
大正製薬HD(2022年4~9月期、11月10日発表)
売上高1445億1800万円(前年同期比11.0%増)、営業利益122億700万円(427.6%増)。前年に契約一時金を計上した反動で医薬事業は4.2%減の187億円だったが、海外で解熱鎮痛薬(OTC)の需要が高まったことなどから、全体としては増収増益となった。インバウンド需要の回復や為替の動向など不確定な要素もあるとして、23年3月期の通期予想は従来予想(売上高2805億円、営業利益160億円)を据え置いた。
日本新薬(2022年4~9月期、11月10日発表)
売上収益711億3600万円(前年同期比0.6%減)、営業利益191億6100万円(12.1%減)。デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬「ビルテプソ」(68億5600万円、118.2%増)などが好調だったものの、前年同期に米FDA(食品医薬品局)の優先審査バウチャーの売却収入を計上していた反動もあり、減収減益となった。製品売上高が当初予想を上回る見込みだとして、23年3月期の通期予想を売上収益1410億円(従来予想比70億円増)、営業利益300億円(30億円増)に上方修正した。