中央社会保険医療協議会(中医協)総会は11月9日、ブリストル・マイヤーズスクイブの乾癬治療薬「ソーティクツ錠」やアストラゼネカの気管支喘息治療薬「テゼスパイア皮下注」など新薬16成分20品目の薬価収載を了承した。収載は16日付。9月に承認を取得し、大型化が見込まれている日本イーライリリーの糖尿病治療薬「マンジャロ皮下注」は収載が見送られた。
「ソーティクツ」ピーク時に225億円
ブリストルの「ソーティクツ錠」(一般名・デュークラバシチニブ)は、TYK2を阻害する新規の作用機序を持つ乾癬治療薬。薬価はアムジェンの「オテズラ」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定され、有用性加算I(40%)がついた結果、6mg1錠2770.90円となった。ピーク時に225億円の販売を見込む。
アストラゼネカの重症喘息治療薬「テゼスパイア皮下注」(テゼペルマブ)は、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)阻害する新規作用機序の薬剤。薬価はグラクソ・スミスクラインの「ヌーカラ」を最類似薬とする類似薬効比較方式Iで算定。有用性加算I(5%)と小児加算(5%)がつき、210mg1.91mL1筒17万6235円となった。ピーク時に145億円の売り上げを予測している。
ピーク時の売り上げ予測が100億円を超えたのは、▽ソーティクツ▽テゼスパイア▽Alnylam Japanのトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬「アムヴトラ皮下注」(ブトリシランナトリウム)▽帝人ファーマの骨粗鬆症治療薬「オスタバロ皮下注」(アバロパラチド酢酸塩)▽アッヴィのクローン病治療薬「スキリージ皮下注」(リサンキズマブ)――の5成分。ピーク時に324億円の販売を見込むスキリージは、クローン病の維持療法の適応で承認された360mgオートドーザー製剤。同疾患の寛解導入療法に使用する600mg点滴静注製剤も同時に収載される。
アムヴトラは従来製剤の「オンパットロ」に比べて投与間隔を大幅に延長した薬剤。利便性が評価され、有用性加算II(5%)がついた。薬価は781万923円。
第一三共の「エザルミア」、大正の「ナノゾラ」なども収載
このほか、11月16日付で薬価収載されるのは、
▽抗てんかん薬「フィンテプラ内用液」(フェンフルラミン塩酸塩)=ユーシービージャパン
▽抗がん剤「エザルミア錠」(バレメトスタットトシル酸塩)=第一三共
▽後天性血栓性血小板減少性紫斑病治療薬「カブリビ注射用」(カプラシズマブ)=サノフィ
▽膿疱性乾癬の急性症状改善薬「スペビゴ点滴静注」(スペソリマブ)=日本ベーリンガーインゲルハイム
▽関節リウマチ治療薬「ナノゾラ皮下注」(オゾラリズマブ)=大正製薬
など。
フィンテプラは、セロトニン受容体アゴニスト作用を持つ新規作用機序の薬剤で、有用性加算I(35%)を取得。再発・難治性の成人T細胞白血病リンパ腫の適応で収載されるエザルミアには有用性加算II(5%)がついた。カブリビとスペビゴも加算を取得したが、原価の開示度によって加算係数はゼロとなった。
新薬創出加算が適用されるのは9成分。ソーティクツとテゼスパイアは費用対効果評価の対象となる。