武田と塩野義「インチュニブ」「ビバンセ」のライセンス終了…来年4月から武田が単独プロモーション
武田薬品工業と塩野義製薬は10月31日、ADHD治療薬「インチュニブ錠」「ビバンセカプセル」について、共同開発・商業化に関するライセンス契約を2023年3月末で終了すると発表した。来年4月以降は武田が単独で両剤の情報提供活動を行う。製造販売承認も武田が承継するが、時期は決まっておらず、当面は塩野義が保有する。塩野義は2011年にシャイアーと両剤の開発・商業化に関する契約を締結。シャイアーを買収した武田が同契約に基づき、両剤に関する塩野義の持ち分の一切を取得するオプション権を行使した。塩野義は24年3月期に一時金を受け取る予定。
JCR ライソゾーム病4新薬のグローバル事業化、メディパルHDに独占交渉権
JCRファーマは10月31日、開発中の4つのライソゾーム病治療薬について、日本を除く全世界での事業化に関する独占的交渉権をメディパルホールディングス(HD)に付与する覚書を結んだと発表した。4新薬の対象疾患は、フコシドーシスと神経セロイドリポフスチン症I型、神経セロイドリポフスチン症II型、ガラクトシアリドーシスで、いずれもライソゾーム病の中でも患者数が少ない疾患。フコシドーシスを対象に開発する「JR-471」については、再実施許諾権付きの実施許諾契約も結んだ。契約に基づき、JCRは一時金や売上高に応じたロイヤリティを受け取る予定。
エーザイ「アリセプト」添付文書改訂申請へ、レビー小体型認知症の再審査結果受け
エーザイは10月31日、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症(DLB)治療薬「アリセプト」(一般名・ドネペジル塩酸塩)について、DLBに関する用法・用量の一部変更申請を行うと発表した。再審査で「カテゴリー2」(承認事項の一部を変更すれば承認拒否事由のいずれにも該当しない)となったため。用法・用量欄に「投与開始12週間後を目安に有効性評価を行い、ベネフィットがリスクを上回ると判断できない場合は投与を中止すること。投与継続を判断した場合でも、定期的に有効性評価を行い、投与継続の可否を判断すること」との記載を追加する。
製造販売後臨床試験では、主要評価項目の全般臨床症状(CIBIC-plus総合評価)で有意差が得られなかったものの、認知機能(MMSE)では改善傾向が見られたという。CIBIC-plusによる評価がDLBの評価法として十分に確立していないことを踏まえ、再審査では、「有効性が期待できる患者は一定数存在する」として添付文書の変更が妥当だと判断された。
メディパルとHUHD 物流合弁「メディスケット」12月に事業開始
メディパルHDとH.U.グループHDは10月31日、医療・ヘルスケア領域で物流事業を行う合弁会社「メディスケット」の設立について、最終的な合意に至り合弁契約を結んだと発表した。両社は今年3月に合弁基本契約を締結し、協議を進めていた。メディスケットは12月1日から事業を開始し、メディパルの医療用医薬品等卸売事業の庫内・配送業務と、HUHDの臨床検査事業の物流業務を受託する。2025年3月末までに全国的なシェア・ロジスティクスの展開を目指す。
ゼリア新薬、4~9月期の業績予想を上方修正
ゼリア新薬工業は10月31日、2022年4~9月期の業績予想を上方修正したと発表した。修正後の予想は、売上高337億1000万円(従来予想比7億1000万円増)、営業利益58億8000万円(23億8000万円増)。海外で潰瘍性大腸炎治療薬「アサコール」などの主力品が好調に推移したことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で低調だった栄養剤ヘパリーゼ群の売り上げが回復基調となったことを反映した。為替や感染症の動向が不透明なため、23年3月期の通期予想は修正していない。
決算
アステラス製薬(2022年4~9月期、10月31日発表)
売上収益7621億8500万円(前年同期比17.0%増)、営業利益1198億9100万円(33.0%増)。前立腺がん治療薬「イクスタンジ」(3320億円、24.1%増)や急性骨髄性白血病治療薬「ゾスパタ」(235億円、42.5%増)などが伸びた。国内の製品売上高は1320億円(1.8%増)。骨粗鬆症治療薬「イベニティ」が好調だった。23年3月期通期の業績予想は、円安の影響を反映して売上収益を1兆5290億円(従来予想比860億円増)に上方修正。営業利益(2690億円)をはじめ利益面は従来予想を据え置いた。
第一三共(2022年4~9月期、10月31日発表)
売上収益6077億9700万円(前年同期比14.7%増)、営業利益955億8000万円(12.8%増)。グローバル製品の抗HER2抗体薬物複合体(ADC)「エンハーツ」(開発マイルストンを含めて1019億円、210.8%増)や抗凝固薬エドキサバン(1173億円、18.2%増)などが伸び、増収増益となった。営業利益には中国での抗菌薬事業売却に伴う子会社の譲渡益を含んでいる。23年3月期の通期予想は、売上収益1兆2500億円(従来予想比1000億円増)、営業利益1300億円(250億円増)に上方修正。エンハーツを中心に製品の売り上げが好調に推移していることなどを織り込んだ。
住友ファーマ(2022年4~9月期、10月31日発表)
売上収益3192億8900万円(前年同期比8.7%増)、営業利益289億1500万円の赤字(前年同期は475億7200万円の黒字)。パーキンソン病治療薬「キンモビ」の販売不振による減損損失544億円を計上したことが響いた。北米の抗精神病薬「ラツーダ」は26.3%増の1276億円と好調だったが、国内の売上収益は薬価改定の影響もあって13.1%減の666億円と落ち込んだ。23年3月期の業績予想は、売上収益6040億円(従来予想比540億円増)、営業利益300億円の赤字(540億円減)。円安で売り上げは従来予想を上回る一方、減損損失の計上で赤字となる。
小野薬品工業(2022年4~9月期、10月31日発表)
売上収益2167億100万円(前年同期比24.5%増)、営業利益802億7000万円(38.0%増)。最主力品の抗がん剤「オプジーボ」は胃がんや食道がんで使用が広がり、24.6%増の699億円を売り上げた。SGLT2阻害薬「フォシーガ」(264億円、68.8%増)も好調だった。23年3月期は、売上収益4400億円(従来予想比150億円増)、営業利益1490億円(40億円増)に上方修正。円安でロイヤリティ収入が従来予想を上回る見通し。
塩野義製薬(2022年4~9月期、10月31日発表)
売上収益1507億7900万円(前年同期比3.9%増)、営業利益282億2400万円(33.8%減)。昨年、後発医薬品が参入した抗うつ薬「サインバルタ」の販売減少などで国内医療用医薬品が29.2%の減収。抗菌薬「Fetroja/Fetcroja」が好調に推移した海外子会社/輸出や、抗HIV薬のロイヤリティ収入は増加した。新型コロナウイルス感染症治療薬・ワクチンの開発で研究開発費が膨らみ、営業利益は大幅な減益となった。24日に23年3月期通期の業績予想の修正を発表しており、売上収益4100億円(期初予想から100億円増)、営業利益1200億円(期初予想から変更なし)を見込む。
日本ケミファ(2022年4~9月期、10月31日発表)
売上高162億3700万円(前年同期比4.3%増)、営業利益1億6700万円(18.8%減)。通風・高尿酸血症治療薬「ウラリット」などは振るわなかったものの、後発医薬品の増産などで医療用医薬品は1.7%増の136億9500万円だった。薬価改定と物価上昇で利益は減少。23年3月期の通期予想は従来予想(売上高350億円、営業利益3億円)を据え置いた。
メディパルHD(2022年4~9月期、10月31日発表)
売上高1兆6853億9600万円(前年同期比2.6%増)、営業利益255億4300万円(5.2 %増)。本業の医療用医薬品等卸売事業は売上高1兆956億9900万円(1.7%増)、営業利益120億1700万円(29.4%増)。新型コロナウイルス感染症関連の検査機器や抗原検査キットの販売が増加した。23年3月期の通期予想は従来予想(売上高3兆3330億円、営業利益465億円)から変更していない。