IQVIAの医薬品市場統計によると、2022年4~6月期の国内医療用医薬品市場は前年同期比1.3%増の2兆6793億円となった。国内市場が前年を上回るのは5四半期連続。4月の薬価改定では薬剤費ベースで6.69%の薬価引き下げが行われたが、抗がん剤や糖尿病治療薬、免疫抑制剤などが売り上げを伸ばした。製品別の売上高は小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」がトップだった。
統計には、政府が一括購入している新型コロナウイルスワクチンの売り上げは含まれない。市場の内訳を見ると、▽病院(100床以上)1兆2463億円(前年同期比1.1%増)▽開業医(100床未満)4869億円(1.6%増)▽薬局その他9461億円(1.3%増)――で、今年1~3月期に続いて3市場ともプラス成長となった。
リクシアナなど2桁増
製品別売上高(薬価ベースで集計)では、オプジーボが373億円(21.8%増)でトップ。2位はMSDの免疫チェックポイント阻害薬「キイトルーダ」(320億円、1.6%増)、3位は第一三共の抗凝固薬「リクシアナ」(298億円、15.8%増)だった。アストラゼネカの抗がん剤「タグリッソ」(285億円、8.9%増)や大塚製薬の利尿薬「サムスカ」(255億円、11.5%増)も売り上げを大きく伸ばした一方、中外製薬の抗がん剤「アバスチン」は2桁の売り上げ減となった。
診断用検査試薬 薬効別5位に
薬効別では「抗腫瘍剤」が4424億円(5.8%増)で首位。2位は「糖尿病治療剤」(1712億円、5.4%増)、3位は「免疫抑制剤」(1400億円、7.1%増)だった。上位10薬効で最も伸びが大きかったのは、27.5%増となった「診断用検査試薬」(870億円)。新型コロナウイルス感染症の流行で市場拡大が続いており、順位も前年同期から4つ上がって5位となった。
糖尿病治療剤では、アストラゼネカのSGLT2阻害薬「フォシーガ」が前年同期から売り上げを74.0%増やし、2011年7~9月期から薬効内トップを維持してきたDPP-4阻害薬「ジャヌビア」に代わって首位に立った。SGLT2阻害薬では、日本ベーリンガーインゲルハイムの「ジャディアンス」とその配合剤「トラディアンス」も30%の売り上げ増となっている。
前年の圏外から10位にランクインした「その他の治療を目的とする薬剤」では、20年5月発売の高カリウム血症改善薬「ロケルマ」(アストラゼネカ)が125.5%増と好調。薬効全体の売り上げ増加分の84%を同薬が占めた。