新薬15成分、8月12日収載…国内初の腫瘍溶解性ウイルスも
中央社会保険医療協議会(中医協)総会は8月4日、中外製薬の経口脊髄性筋萎縮症治療薬「エブリスディドライシロップ」(一般名・リスジプラム)やアルナイラム・ジャパンの急性肝性ポルフィリン症治療薬「ギブラーリ皮下注」(ギボシランナトリウム)など新薬15成分23品目の薬価収載を了承した。収載は12日。国内2剤目、3剤目となる片頭痛向けの抗体医薬や、昨年5月に特例承認された新型コロナウイルス感染症治療薬「ベクルリー」(レムデシビル)なども収載される。第一三共の腫瘍溶解性ウイルス製剤「デリタクト注」(テセルパツレブ)も再生医療等製品として薬価収載が了承され、あわせて収載される。くわしくはトピックスで。
「オフェブ」に市場拡大再算定、薬価10%引き下げ
中医協総会は8月4日、日本ベーリンガーインゲルハイムの特発性肺線維症治療薬「オフェブ」(ニンテダニブエタンスルホン酸塩)に市場拡大再算定を適用し、薬価を引き下げることを了承した。今年3月のNDBデータをもとに検討したところ、「年間販売額350億円超かつ基準年間販売額の2倍超」の要件に該当すると判断された。改定後の薬価は、100mgカプセルが3968.90円(現行薬価4440.80円)で引き下げ率10.6%、150mgカプセルが5953.50円(同6676.40円)で引き下げ率10.8%。11月1日から適用する。
うつ病薬「トリンテリックス」費用対効果評価で薬価引き下げ
中医協総会は8月4日、武田薬品工業のうつ病治療薬「トリンテリックス」(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)について、費用対効果評価の結果に基づいて薬価を4.3%引き下げることを了承した。引き下げ後の薬価は、10mg錠が161.70円(現行薬価168.90円)、20mg錠が242.50円(同253.40円)。新薬価は11月1日から適用される。一方、小野薬品工業の慢性心不全治療薬「コララン」(イバブラジン塩酸塩)とノバルティスファーマの同「エンレスト」(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)は、費用対効果評価の結果、価格調整は行わないことになった。
田辺三菱「カナグル」慢性腎臓病への適応拡大申請
田辺三菱製薬は8月4日、2型糖尿病治療薬「カナグル」(カナグリフロジン水和物)について、2型糖尿病を伴う慢性腎臓病への適応拡大を申請したと発表した。同薬は田辺三菱が創製したSGLT2阻害薬。日本では2014年9月から販売されている。SGLT2阻害薬では、アストラゼネカの「フォシーガ」(ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)が近く慢性腎臓病の適応で承認を取得する見通しで、日本ベーリンガーインゲルハイムの「ジャディアンス」(エンパグリフロジン)も開発の最終段階に入っている。
協和キリン、オランダ企業とADC技術のライセンス契約
協和キリンは8月4日、オランダのSynaffixと抗体薬物複合体(ADC)創製技術に関するライセンス契約を結んだと発表した。協和キリンは、一時金を支払い、2つの標的に対するADCを創製する権利を取得。Synaffixの独自技術を使って2つの自社抗体をADCに変換し、研究を行う。協和キリンが開発・商業化のためのオプション権を行使した場合、Synaffixに標的ごとにオプション料を支払うとともに、マイルストンと売り上げに応じたロイヤリティを支払う。
オンコリス テロメライシンの商用製造、2つ目の委託先にベルギー企業
オンコリスバイオファーマは8月4日、開発中のがんウイルス療法テロメライシンについて、製造のセカンドサプライヤーを米サーモフィッシャー傘下のヘノジェン(ベルギー)に決定したと発表した。オンコリスはテロメライシンの製造を米ロンザヒューストンに委託しているが、製造体制の充実とリスク分散を目的に、ウイルスベクターの製造経験が豊富なヘノジェンと契約することにした。
エーザイ、22年3月期業績予想を上方修正
エーザイは8月4日、2022年3月期の通期業績予想を上方修正したと発表した。修正後の予想は、売上収益7010億円(従来予想比200億円増)、営業利益760億円(180億円増)。抗体薬物複合体「MORAb-202」に関する提携で米ブリストル・マイヤーズスクイブから契約一時金を受け取ったことや、抗がん剤「レンビマ」などの販売が順調に推移していることを反映した。この日発表した4~6月期決算は、売上収益1988億9400万円(前年同期比20.1%増)、営業利益554億700万円(72.5%増)と大幅な増収増益となった。