「テセントリク」市場拡大再算定で薬価11.5%引き下げへ
中央社会保険医療協議会(中医協)総会は5月12日、中外製薬の免疫チェックポイント阻害薬「テセントリク」について、新薬の薬価収載に合わせて四半期ごとに行われる市場拡大再算定を適用し、薬価を11.5%引き下げることを了承した。「年間販売額350億円超かつ基準年間販売額の2倍超」の要件に該当すると判断された。小野薬品工業の「オプジーボ」、MSDの「キイトルーダ」、アストラゼネカの「イミフィンジ」も類似品として引き下げられる。今回の四半期再算定では、ファイザーのトランスサイレチン型心アミロイドーシス治療薬「ビンダケル」も対象となり、11%の薬価引き下げを受ける。新薬価の適用は8月1日。
「ペマジール」「イズカーゴ」など13新薬、5月19日収載
中医協総会は5月12日、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパンの抗がん剤「ペマジール錠」やJCRファーマのムコ多糖症II型治療薬「イズカーゴ点滴静注用」など新薬13成分23品目の薬価収載を了承した。収載は5月19日。セルジーンのCAR-T細胞療法「ブレヤンジ静注」も再生医療等製品として収載が了承され、新薬とあわせて収載される。くわしくはトピックスで。
「ユルトミリス」費用対効果評価で薬価引き下げ
中医協総会は5月12日、費用対効果評価の結果に基づき、アレクシオンファーマの抗補体(C5)抗体「ユルトミリス」の薬価を引き下げることを決めた。8月1日付で4.3%引き下げる。
大日本住友、22年度までの中計を見直し…利益目標を下方修正
大日本住友製薬は5月12日、2018~22年度の中期経営計画を見直したと発表した。6000億円の売上収益目標は維持したが、コア営業利益の目標は1200億円から600億円に引き下げた。同社は19年12月に英ロイバントと戦略提携を結んだ一方、昨年3月には大型化を期待していた抗がん剤ナパブカシンの開発を中止。ナパブカシンで期待していた売り上げはロイバントとの提携で獲得した製品群で補うが、販売費用などがかさむため利益は当初の目標を下回る。
田辺三菱 買収で獲得の潰瘍性大腸炎向け核酸医薬、開発を中止
田辺三菱製薬は5月12日、潰瘍性大腸炎を対象とした核酸医薬「MT-5745」の開発を中止すると発表した。同薬は2017年度にステリック再生医科学研究所を買収して獲得。非臨床試験で十分な効果を確認できず、プロジェクトを中止することにした。開発中止に伴い、同薬に関する無形資産の減損損失39億円を21年3月期決算に計上した。
大日本住友、「住友ファーマ」に社名変更…来年4月
大日本住友製薬は5月12日、来年4月1日付で社名を「住友ファーマ」に変更すると発表した。合併から16年目を迎え、グローバルに通用する住友ブランドを最大限活用し、新たな事業ステージに向けて変化するためとしている。2022年半ばには、東京本社を「東京日本橋タワー」(中央区日本橋2丁目)に移転する予定。同じビルには、親会社である住友化学の東京本社も移転を予定している。
決算
エーザイ(2021年3月期、5月12日発表)
売上収益6459億4200万円(前期比7.1%減)、営業利益517億6600万円(58.8%減)。主力の抗がん剤「レンビマ」は前期比19.7%増の1339億円と好調だったが、新型コロナウイルスの感染拡大や国内の薬価改定、提携先からのマイルストンの減少で売り上げは減少。販売費や研究開発費の増加が利益を圧迫した。22年3月期の業績予想は、売上収益6810億円(5.4%増)、営業利益580億円(12.0%増)。
大日本住友製薬(2021年3月期、5月12日発表)
売上収益5159億5200万円(前期比6.9%増)、営業利益712億2400万円(14.4%減)。国内で糖尿病治療薬「エクア」「エクメット」が通期で寄与し、北米で抗精神病薬「ラツーダ」が伸びたことで増収となった。利益は、前期に費用の戻入を行った反動で減少。22年3月期は、売上収益5780億円(12.0%増)、営業利益610億円(14.4%減)を予想している。
田辺三菱製薬(2021年3月期、5月12日発表)
売上収益3778億円(前期比0.5%減)、営業利益585億円の赤字(前期は61億円の赤字)。パーキンソン病治療薬の開発の遅れに伴って減損損失を計上し、大幅な赤字となった。22年3月期は、売上収益4075億円(7.9%増)、営業利益300億円を見込む。
扶桑薬品工業(2021年3月期、5月12日発表)
売上高492億5100万円(前期比5.0%増)、営業利益23億5100万円(132.6%増)。後発医薬品の販売が好調だった。22年3月期は、売上高485億円(1.5%減)、営業利益12億円(49.0%減)を予想している。
日本化薬(2021年3月期、5月11日発表)
医薬事業の売上高は504億4100万円(前期比5.6%増)、セグメント利益は74億4300万円(13.2%増)。バイオシミラーが伸び、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う販売費用の減少が利益を押し上げた。22年3月期は医薬事業で451億円(2.0%減)を見込んでいる。